伊藤栄一 ラスト・コンサート 東京カントライ第43回演奏会

東京カントライは、二期会合唱団初代指揮者・伊藤栄一の音楽を愛するメンバーによって1973年に結成された合唱団です。第23回定演でのエレクトーン3台伴奏による「ドイツ・レクイエム」の演奏以来、エレクトーンとの協演は十数回に及び、古典派ハイドンのミサから現代ラターのレクイエム、マニフィカト等に至る数多の曲のオーケストラを受け持ってもらってきました。また、指揮者の指導の下、弦・管・打の生楽器との組み合わせなど多様な形態での演奏も試み、成功させてきました。

今回は、カントライで中心的に取り上げてきたブラームスとプーランクの曲をメインに、ブラームス「運命の歌」、髙田三郎「水のいのち」、プーランク「グローリア」というプログラムです。ブラームスはエレクトーン(伊藤佳苗)とピアノ(北矢由美)、ティンパニ(服部恵)、プーランクはエレクトーン2台(伊藤・塚瀬万起子)とティンパニ(服部)の伴奏にソプラノ(小泉惠子)が加わっての演奏でした。

ブラームスはエレクトーンによる重厚な響きの中にピアノとティンパニのメリハリの効いた音とリズムが加わることにより、地上と天上の世界の対比が明確になっていました。

プーランクは管楽器が活躍する曲ですので、エレクトーンに適していると思われます。華やかなラッパから始まり、静かなアーメンでの終わりまでフル・オーケストラに負けない充実した音楽が奏でられたと自賛しております。

伊藤栄一は92歳と高齢のため、ラスト・コンサートと銘打っての公演でしたが、その棒は全く衰えることのない的確なものでした。終演後も多くの方々から、“辞めることはない” “続けて欲しい” “もっとやるべきだ”などの声が寄せられたのです。既に合唱団は「NEUE KANTOREI(ノイエ・カントライ)」と改称して活動を続けておりますので、また伊藤栄一の音楽をお聴きいただける機会があると確信しております。

著・副指揮者/會田和夫

エレクトーン演奏/伊藤佳苗、塚瀬万起子

2018年2月17日 第一生命ホール