川越の名刹に響く総勢222名の歌声 第九の夕べ in 喜多院

千二百年近くの長い年月に培われてきた天台宗喜多院は、川越にある名刹です。この喜多院でいつか第九のコンサートをやりたいね、と夢を語り合ったのは、25年ほど前、事務局長を務める私を含め有志15名がサークルとして活動をしていた「お父さんコーラス」が発端でした。当時このサークルを指導していただいていた宮寺 勇さんは現在のコンサート指揮者です。

時は流れ、13年前に「第九の夕べin 喜多院」が具体化、川越青年会議所のOB有志で組織する「未来クラブ」の例会として第1回目を開催いたしました。

その後、朝日明さん(現、喜多院で第九を歌う会代表幹事)、小野澤康弘(現、喜多院で第九を歌う会事務局長)らを中心に喜多院の地元、小仙波町で生まれたメンバーらが中心となり地元有志の方々と「喜多院で第九を歌う会」を結成し2回目が開催され、3回目以降は自治会や地元の人々の理解も年々深まり、今では会場設営や受付、駐車場の管理や会場の整備など一般のボランティアの方々も含め協力して開催し、地域の思いが結実した音楽会となっております。難点は屋外開催なので雨が降ると中止となることです。幸い、過去に台風による中止が1回ありましたが、今年も晴天に恵まれ第13回「第九の夕べin 喜多院」が開催されました。

指揮者・宮寺 勇さんによるコンサートの始まりは、2台のエレクトーンによるヨハン・シュトラウスの「ラデツキー行進曲」から。エレクトーン奏者・川島容子さんと大畑莉紗さんの演奏によりオーケストラをしのぐ多様な音響効果で観客を魅了しました。続いて4名のソリスト(ソプラノ:高橋美咲さん、バリトン:原田勇雅さん、アルト:谷地畝晶子さん、テノール:松原陸さん)による素晴らしい独唱が披露され、毎年恒例の地元川越第一小学校児童による合唱は、原田みさ子さんの指揮で喜多院ゆかりの「五百羅漢さま」を含め3曲。午後7時10分からは宮寺 勇さんの迫力ある指揮のもとに、総勢222名の“川越喜多院第九合唱団”による第九交響曲第四楽章「歓喜の歌」が、すがすがしい秋の夜空をつきぬけるように喜多院の境内に響き渡りました。

第九の演奏が終わると観客の皆様とともに全員で、日本語による「よろこびの歌」と「ふるさと」の2曲を歌い、感動の中、今年の「第九の夕べin 喜多院」も閉演となりました。

著・喜多院で第九を歌う会・事務局長/小野澤康弘

エレクトーン演奏/大畑莉紗、川島容子

2018年10月8日 川越・喜多院境内