3年ぶりの第九復活! 第15回第九の夕べ in 喜多院

千二百年近くの長い年月に培われてきた川越の名刹・天台宗喜多院で、10月2日に待ちに待った「第15回第九の夕べin喜多院」が開催されました。喜多院でいつか第九のコンサートをやりたいねと宮寺勇(現第九指揮者)さんと語り合ったのは今から30年前のこと、この思いを重ねつつ、「喜多院で第九を歌う会」を朝日明(現喜多院で第九を歌う会代表幹事)さんと小野澤康弘(現喜多院で第九を歌う会事務局長)を中心に結成設立、地元小仙波町自治会・演奏者・一般ボランティアの組織構成により、手づくりでホットな演奏会を実施しています。

お寺の境内での大変珍しい第九のコンサートですが、雨天は中止となる天候との戦いが大きな弱点でありますが、そこは名刹、喜多院というお寺さんの力?で台風による中止は1回ありましたが、幸い晴天が続いておりました。しかし、今回のコロナ禍は誰が想像したでしょうか。「喜多院で第九を歌う会」は、多くの議論を重ね、3年ぶりの開催を決定、今までに経験のない感染対策をしながら練習を再開させました。関係者の皆さんのご協力のもと合唱練習・実施に向けての対策を徹底、ご苦労を掛けながら準備も万端整いました。

午後6時、3年ぶりのコンサートの始まりは、宮寺勇さん指揮、川島容子さんと大畑莉紗さんの2台のエレクトーンの演奏による「フィガロの結婚 序曲」。オーケストラをしのぐ、多様な音響効果で観客の皆さんを魅了しました。続いて4名のソリスト(ソプラノ塚本正美さん・アルト長田惟子さん・テノール松原陸さん・バス堺裕馬さん)によるすばらしい独唱で「からたちの花」「待ちぼうけ」「小さな空」「マイ・ウェイ」ほか10曲。エレクトーンによる「ふるさと」の演奏を挟み、秋の夜空に響き渡りました。観客の皆さんの拍手も鳴りやみません。

休憩の後、いよいよベートーヴェン・第九交響曲第四楽章「歓喜の歌」の演奏開始です。今年の「喜多院第九合唱団」は従来の250名から124名に縮小した構成でしたが、宮寺勇さんのタクトも力強く軽快に、月も輝く満天の星の下、喜多院の夜空を突き抜けんばかり。秋の夜長の一幕を彩りました。

結びに、コロナ禍での開催に対し悩むこともありましたが、演奏者の皆さんやすべてのボランティアの方々のご理解と観客の皆様のマナーに助けられ、本当に開催してよかったと感謝しております。

著・喜多院で第九を歌う会 事務局長/小野澤康弘

エレクトーン演奏/川島容子、大畑莉紗

2022年10月2日 川越市・喜多院境内本堂前特設会場