3人のソリストとエレクトーンでコンチェルト code"M"17th Special ~和の調べ~ 『コンチェルト雪月華』

「エレクトーンを弾いてみない?」幼少からピアノを習う恩師、高野淑美先生に、そう薦められたのは、小学4年生の頃。それから6年間、一人でさまざまな音やリズムが出せるこの楽器の魅力にはまり、演奏グレード4級、指導グレード5級を取得。その後は高校受験を控え、一時期中断したものの、迷った挙句の大学選択は、グレード試験で出会った“曲を作る”行為への限りない興味でした。この心に従い、高校2年から本格的に作曲法を学び、東京藝術大学へ入学。その学生時代には、エレクトーン奏者、ライターでもある森松慶子さんと出会い、当時プッチーニのオペラをエレクトーン3台で演奏する経験を得ることもできました。

それから長い歳月が過ぎ、私は自身の曲を定期的に発信する音楽集団code"M"(コードエム)を発足し、作曲家兼ピアニストとして、音楽活動に邁進する日々を送っていました。光栄にも東京を拠点にしつつ、各地の音楽祭、企業や学校法人からコンサートに招いていただき、主催公演もさまざまな企画を展開する現在です(例えば、和洋コラボのエンタメ『美宇宙(ミソラ)』、5つの西洋楽器で奏でる癒しの『Blue Zone』、和洋中の楽器でドラマチックに綴る『和の調べ』など)。

そんな音楽人生で衝撃的な出会いとなったのが、清水のりこさんです。エレクトーン奏者としてオペラ一作を一台(一人)で伴奏する、素晴らしき方! いつかcode"M"で共演を! と虎視眈々と(笑)機会を狙っていました。その熱い想いは、この公演で成就しました。

エレクトーンをオーケストラと捉えて創作し、和の調べメンバーである箏奏者・吉永真奈さんに1楽章「雪」を、二胡奏者・沈琳さんには1楽章「月」を、ソリストとしてお願いし、3楽章「華」は私のピアノでのりこさんとコンチェルト形式で発表しました。

演奏後、客席からいただいた驚くほど長くて大きな拍手…未だに忘れられません。これは偉大なる一人オーケストラ、のりこさんあってこその評価でした。ぜひ全国の方にこのコラボレーションをいつか聴いていただきたい、と願ってやみません。

作曲家/MAKI

エレクトーン演奏/清水のりこ

2017年8月30日 ヤマハ銀座スタジオ