エレクトーン伴奏の武器は、オーケストラの迫力とアンサンブルの緻密さ コンチェルトの夕べ Vol.18~エレクトーン伴奏による協奏曲の祭典~

6月9日、かなっくホール(横浜市神奈川区民文化センターホール)にて、“コンチェルトの夕べVol.18~エレクトーン伴奏による協奏曲の祭典~"を開催いたしました。

第18回となる今回までに、延べ約70人のソリストにご出演いただき、リピーターも多いコンサートです。前身の“コンチェルト・クラブ"として発足した当初は、コンチェルトを弾きたいというソリストと、生楽器と共演したいエレクトーン奏者の交わる場として、月1回ワークショップ形式での勉強会を開催していました。しかし、回数を重ねていくにしたがって、お客様に聴いてもらいたいという想いが強くなり、現在のように年に1回のコンサート開催というスタイルに変わっていったのです。

今回は、太田茂の指揮のもと、2台のエレクトーンは高橋豊、宮原美緒、宋俊儀、海津幸子が担当しました。

フリーのクラリネット奏者としてもラジオのパーソナリティとしても活躍する、大場鮎美によるモーツァルトの「クラリネット協奏曲」では、エレクトーンは軽やかで流麗なオーケストラを奏でていました。続くグリーグの「ピアノ協奏曲」では、音大の学生とはいえダイナミックに展開する曲をしっかり捉えた志村真麻のピアノと、時に対話し時に協調するかのように透明感あふれるサウンドと大迫力のオーケストラを聴かせてくれました。休憩を挟んで後半は、愛知県を中心に活躍するピアニスト加藤真弓のソロで、ショパンの「ピアノ協奏曲第1番」。自由に歌うピアノに寄り添うようなしなやかなオーケストラは、少人数のエレクトーンだからこその演奏。プログラム最後は、このコンサート・シリーズ常連の増田みなみのピアノで、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」。色彩感あふれるリズミックなこの曲を、ピアノとオーケストラが一体となって高揚感ある演奏となりました。

いずれのソリストも熱のこもった好演で、それと対峙するオーケストラも負けず劣らずの力演。その充実ぶりは後日お客様から寄せられた感想からも察せられます。指揮の太田氏にはこのコンサートの意義にご賛同いただき、大いにご協力いただきました。

オーケストラの音色感や迫力、それに奏者2名という室内楽的アンサンブルの緻密さ、それらを武器にアンサンブルとして、これからもクラシック音楽界での活動を広げていきたいと思っています。来年のコンサートに向けて、ソリストやエレクトーン奏者を募集します。ご興味おありの方、ふるってご参加ください。

著・アマラント・ミュージック・ラボ代表/海津幸子

エレクトーン演奏/海津幸子、高橋豊、宮原美緒、宋俊儀

2023年6月9日 横浜市・かなっくホール