珠玉のミュージカルナンバーを堪能! 宝田座コンサートvol.2 ~宝田明芸能生活60周年記念~

東宝映画デビューが1954年、以降映画、ミュージカルと数え切れないほどの作品に功績を残されてきた宝田明さんの芸能生活60周年を記念し、出演者がステージで歌い共演することでお祝いしようというのが今回のテーマでもあった9人の舞台俳優によるミュージカル・ガラコンサートが、6月12日から15日の4日間、(延べ7公演)内幸町ホールにて行われました。宝田さんを筆頭に、数々の日本のミュージカルシーンを今もなお盛り上げている方々の共演ということもあり、一般の方からミュージカル界、芸能関係者など幅広い来場者を見ても、出演者それぞれの人気と実力を伺い知ることができました。

オープニングは宝田さんが日本でのミュージカル初演を飾った『アニーよ銃をとれ』のナンバーから「ショーほど素敵な商売はない」。今回のメンバーならではの粋な演出で華やかに幕開けしたあとは、宝田さんとの出会いや共演作などのトークを交え、それぞれの思い出の作品を歌い上げていくといった内容。そして宝田さんにおいてはミュージカル作品にとどまることなく、東宝映画時代の活躍で名高い「美貌の都」「青い山脈」など映画ファンのみならず今もなお愛され続けているご自身が歌われた主題歌を披露し、その活躍の幅広さ、奥深さを物語る内容となりました。

ショーの進行役でもある劇団四季で数々の主役を演じてこられた沢木順さんとのトークも絶妙。そして沢木さんのお父様である作曲家・八洲秀章氏の代表曲「あざみの歌」を二人が歌うというシーンもあり、会場がいちだんと和んだのは言うまでもありません。

全30曲にわたる楽曲のミュージカルタイトルを見ても、エビータ、キャッツ、コーラスライン、マイ・フェア・レディ、美女と野獣、タイタニック、サウンド・オブ・ミュージックなど、どれも名作ばかり。表現力豊かな俳優たちが歌い、演じることによって一瞬にして世界が変わり、そのミュージカルの名場面が次々と蘇っていく。そしてジャズやバラード、クラシカルなものからバックコーラスを従えるような壮大なものまで、ミュージカルだからこそ味わえる珠玉のナンバーは聴く人々を十二分に楽しませるものとなったのではないでしょうか。そして出演者それぞれの劇場でのリアルタイムな息づかいを表現するのには、やはりエレクトーンは優れた楽器であると改めて感じました。それはその場の雰囲気と歌い手との呼吸によって変化する何十人ものバンドやオーケストラを弾きながらにして一人で微妙にコントロールしていく… ということ。これこそがエレクトーンと歌、もしくは他の楽器とのコラボレーションの醍醐味なのだと思います。

ミュージカルスターとミュージカルナンバー、そしてエレクトーンとの出会いが、このようなコンサートを生んだことに大きな喜びを感じています。

〈出演者 五十音順〉青山明、伊東えり、鐘丘りお、久野綾希子、沢木順、宝田明、本間憲一、本間ひとし、光枝明彦

エレクトーン演奏家/長谷川幹人

(上から)写真1:沢木順との「あざみの歌」|写真2:ELS-02Cによる長谷川幹人の伴奏で歌う宝田明|写真3:豪華なメンバーが勢揃い!エレクトーン演奏/長谷川幹人

2014年6月12日~15日 内幸町ホール