十数人を演じ分けるソロミュージカルに挑む!山本芳樹ソロミュージカル ロートレック

ソロミュージカル『ロートレック』は、元劇団四季のミュージカル俳優・沢木順さんが日本の話芸とブロードウェイミュージカルの融合により、新しいジャンルのソロミュージカルを作りたいという発想をもとに2009年から上演されてきた作品です。

この度、俳優としての大大大先輩である沢木さんからお話をいただき、エジンバラ演劇祭でも批評家に高く評価されたこの作品を僕が演じる運びとなり、昨年末に無事に上演することができました。

ロートレック自身はもとより、彼の両親、愛した女性、娼婦など十数人を演じ分けながら20曲以上の歌で描くこのステージは、僕の役者人生の中で間違いなく一番の挑戦でした。そして、2018年に役者生活25周年を迎える僕の集大成のようなものでもあり、また新たな世界(ステージ)に向かって踏み出す大切な一歩でもありました。

僕はスタジオライフという東京の劇団に所属し、舞台活動をメインにやっていますが、その多くがストレートプレイです。もちろん出演者が何人もいます。しかし今回のこの舞台は、一人芝居! しかもミュージカル! よく考えると、いくつもの段階をいっぺんに飛び越える凄い挑戦でした。

準備からリハーサル、そして本番。全てが新鮮な状況の中、今まで感じたことのないようなプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、画家ロートレックの人生に思いを馳せました。

リハーサルではこれまでに味わったことのない孤独感、幕が上がる直前の客席からも伝わってくるとてつもない緊張感、そして幕が下りたあとの充実感と、新たな世界へ向かってのスタート地点に立ったかのような期待感。この公演を通して感じたことや経験できたことの全ては、僕のこれからの役者生活にとって大きな糧になることは言うまでもありません。

この舞台はソロミュージカルではありますが、エレクトーン奏者の長谷川幹人さんの素晴らしい演奏に支えられ、作曲家の玉麻尚一さん、脚本家のさらだたまこさん、歌唱演出の沢木順さん、皆さんの作品への想いに、そしてなんといっても足を運んでくださる皆様の温かい応援に包まれて、務めることができました。

この場をお借りしまして改めて感謝いたします。劇場スタッフ、関係者スタッフのみなさん、長谷川さん、玉麻さん、さらださん、沢木さん、そして足を運んでくださった皆様、本当に、本当にありがとうございました。

そして偉大な画家アンリ・ドゥ・トゥールーズ・ロレートレック様、貴方様を演じることができ、僕は幸せ者です。これからもこの作品を育んでいけるよう精進します。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

1996年劇団スタジオライフ入団。作品へ誘う圧倒的な存在感と繊細な演技力には定評がある。「トーマの心臓」「PHANTOM」「アドルフに告ぐ」など劇団の代表作で主演を務める他、翻訳劇、ミュージカル、ダンスパフォーマンス公演などにも出演し、シリアスからコメディまで幅広い。「PHANTOM」では幼少期から亡くなるまでの全人生など、作品によって少年役から老婦人までを演じ分ける。定期的にソロライブ活動を行い、作詞作曲も手がける。

俳優/山本芳樹

エレクトーン演奏/長谷川幹人

2017年12月5日・6日 内幸町ホール