日本人若手オペラ歌手を舞台に!ダリオ・オペラ・カンパニー旗揚げ公演 「リゴレット」

在日22年のイタリア人オペラ演出家ダリオ・ポニッスィ氏は、日伊文化&芸術の架け橋として活躍している功績がイタリア政府にも認められ、先日、カヴァリエレ(騎士)の称号を授与された。2004年に『トスカ』でオペラ演出家デビューして以来、日本人若手オペラ歌手を育成し舞台の場を与えることを目的に活動してきたが、今年からアッカデミア付きのオペラカンパニー、ダリオ・オペラ・カンパニー・ギルド&アッカデミア=D.O.C.G.&A.を立ち上げた。粒よりの質のよい若手歌手を厳選し、知識と技術を教え熟成させ、品質保証付きオペラ公演を行う、という趣旨だ。旗揚げ公演は10月15日、イタリア文化会館アニエッリホールにて、ヴェルディ作曲『リゴレット』。

演奏は氏が尊敬するエレクトーンの第一人者である赤塚博美さんと、若手イタリア人ピアニストのマテオ・ピロッラ。音楽的感性やリゴレットの解釈や表現方法も見事に一致し、素晴らしく深いオーケストラチームになった。

キャスティングは現在活躍中のプロとアッカデミアメンバーらとの混合。主役リゴレットはバリトンの上江法明。

軽やかな動きで飛び回る道化師と、父親としての苦悩や怒りの明暗の表現が素晴らしかった。マントバ公爵は情熱的演技派で長身かつ二枚目テノールの秋谷直之。ジルダやマッダレーナばかりでなく客席の女性をも魅了した。モンテローネ役の増原英也とスパラフチーレ役の伊藤貴之は、将来の日本のオペラ界を支えてゆく若手として注目される。チェプラーノ伯爵夫人を演じたアッカデミアメンバーの川原慶子、薮田瑞穂のジョバンナ、そして小姓の林田さつきもそれぞれの役柄を見事に演じた。社会人&アッカデミアメンバーらとの混合合唱は、迫力ある廷臣たちになり、アッカデミアメンバーの貴族女性たちは豪華な衣裳を着こなし、細かい演技で舞台をサポートした。

リブレットと楽譜の中にある意味を読み取り正しく芸術的に再現し、総合芸術たるオペラを創造してゆくダリオ氏の仕事は、本当に芸術的で奥が深い。エレクトーン50年記念と同じく、先日50歳の誕生日を迎えたダリオ氏のますますの活躍が期待される。

ダリオ・オペラ・カンパニー 大内弘子

(上から)写真1:リゴレットが瀕死の娘ジルダを抱きかかえ涙にむせながら歌うラストシーンに、観客は“芝居”を忘れ引き込まれた。|写真2:エレクトーン奏者/赤塚博美、 写真/満田聡

2009年10月15日 イタリア文化会館アニエッリホール