フォーマルに楽しむコンサート クラシカハヤマ~スパークリングオペラ 『カヴァレリア・ルスティカーナ』

「湘南ビーチFM:逗子・葉山コミュニティー放送」が主催する「クラシカハヤマ」は〝地元・葉山でフォーマルにおしゃれをしてシャンパン片手に楽しむ〟コンサートシリーズ。〝お客さんもフォーマル〟へのこだわりについて湘南ビーチFM代表の木村太郎は「これも一つの葉山らしさ」と語る。年に二回の開催のうち一回はオーケストラ「アンサンブル・ハヤマ」とソリストで協奏曲をメインにしたプログラム、もう一回はオペラのハイライトコンサートだ。

今回は『カヴァレリア・ルスティカーナ』全曲をコンサート形式で上演した。ビスメロVis Melodicaというユニットで酒場やライブハウスなどでも歌い、中世・ルネサンス音楽を専門にしている筆者にとって、〝フォーマル〟〝カヴァレリア〟は敷居の高い世界だ。しかし、お客さんがおしゃれと社交を楽しむのは、考えてみれば本来のオペラの楽しみでもあり、実際に、会場の雰囲気も〝粋〟な感じになる。

演技も素晴らしかったルチア・牧野真由美をはじめ、若手・ベテランそろってのソリストたちや藤原歌劇団合唱部のレベルの高さ、そしてオペラを専門に振る松下京介のみごとな仕事っぷりが印象に残った。また、楽器陣は9人の弦楽アンサンブルとピアノとエレクトーンだった。オペラのコンサートでエレクトーンが頻繁に使われていることを、筆者は実は、今回初めて知って驚き、不安すら抱いて開演を迎えたが、エレクトーンは特に打楽器の音で効果的で、教会の鐘の音が重要な役割を果たすこのオペラで、奏者のパフォーマンスそのものも印象に残った。

コミュニティーFMらしく、合唱には地元のアマチュア合唱団「葉山第九合唱団」が参加し、コンサート形式と言いつつも照明や演出も入り、語り部(筆者)も登場……。コンサート形式の上演としてできることを全部やったようなこの企ては、『カヴァレリア~』を初めて楽しむ人にも強烈な印象を残す、良い意味で敷居の低いものとなった。

歌手 辻 康介

(上から)写真1:エレクトーン演奏/伊藤佳苗

2009年12月5日 葉山町福祉文化会館