ありがとうエレクトーン! おめでとうエレクトーンシティ! 東京シティオペラ協会公演 喜歌劇『La Serva Padrona奥様女中』 落語オペラ『しばはま』

本当に長い間のお付き合いになりました。私がハイティーンの頃からですから、そろそろ50年になります。自身が微妙な音色を追求する声楽家であるために、電気の音とは相容れないものを感じていたことも確かでした。しかし、この楽器のおかげで、少ない予算でオペラを上演することができるようになりました。ピアノ1台の伴奏よりも面白く、いろいろなことができますから。そして、エレクトーンシティを提供していただくおかげで、不十分ながら(失礼)、コンパクトにオペラを上演できました。そして、今回の開設20周年記念公演として取り上げていただき、喜びもひとしおに感じています。

演目は、ペルゴレージの名作『奥様女中』と、落語オペラ『しばはま』という組み合わせでした。4年前に古澤利人が演出家としてデビューした『奥様女中』は、以来演出家として、次々と優れた舞台を出現させている古澤利人が、ますますその手腕にさえを見せ、これがオペラデビューという大橋絵里を、あたかもベテランの歌手であるかのように見事に動かし、本来バリトン歌手であるのに、黙役で出演した海下智昭と3人の呼吸もぴたりと合わせ、流れるような見事な出来上がりを見せていました。

『しばはま』は、昨年秋に続いて、古澤泉の演出による上演でしたが、おっかあ役の前原加奈がますます磨きのかかった表現を見せ、とと屋の親父役を演じた私を十分助けて、舞台を締めてくれて、舞台を終えることができました。満員の聴衆の、大満足の顔をロビーで見送りながら、出演者・スタッフ一同、これもまた大満足の一夜を経験でき、この記念コンサートの公演は、無事幕を下ろしました。

9月下旬に『こうもり』を上演したばかりだったために、出演者・スタッフ一同、そのあわただしさ、大変さは言葉に表せないほどのものでした。チャンスを与えてくださったエレクトーンシティの皆さんをはじめ、周りの方々すべてに感謝の気持ちをささげたいと思っています。ありがとうございました。

東京シティオペラ協会 理事長/川村敬一

エレクトーン演奏/赤塚博美

2012年10月21日 エレクトーンシティ渋谷