エレクトーン伴奏で上演 歌劇「天空の町 別子銅山と伊庭貞剛」

今から20年前、オペラ『忘れられた少年』(柴田南雄作曲)をイタリアのローマで公演した時、ヤマハのミラノ支店からEL-90をお借りして伴奏し、イタリアのお客様がビックリ仰天されたことを思い出します。その後もエレクトーンは、日本のみならず、ポルトガル、スペイン、中国などでもオペラの伴奏マシーンとして活躍してもらいました。今はSTAGEAの時代ですが、エレクトーンの可能性は無限と言ってもよく、耳を驚かせるばかりです。

エレクトーンをオーケストラの代用品と考えると発想が貧困になりますが、私はまったく新しい楽器と考え、オーケストラではできないことがエレクトーンでは可能になる、ということをオペラ伴奏で追求しています。

昨年5月、私が作りました新作歌劇『天空の町』を愛媛県の新居浜で初演したのですが、その後内外での公演がいろいろ決まり、忙しく準備に追われています。昨年11月16日は、国立オリンピック記念青少年総合センターカルチャー棟小ホールでの公演でしたが、D-DECKと和楽器の混成伴奏で上演しました。西欧のオペラのイメージを最初から取り去って、日本のオペラ(私は歌劇と呼びます)を創作しようとしたわけですから、木霊は出てくる、お経も出てくる、日本民謡も出てくる、詩吟もあり、即興演奏もあり、と普通のオペラ伴奏感覚では対処しづらいところがあります。今回演奏してくれた菊地友夏、晴夏姉妹は、これからの期待される星として頑張ってほしいものですが、作曲されたばかりの作品ですから適当なサンプルもなく、楽譜も急遽変更したりで、二人にはいろいろ苦労をかけました。

この歌劇の今後の年内公演予定は、7月20日からヨーロッパ音楽祭参加、9月16日は新宿文化センター大ホール、9月27~28日は愛媛県新居浜市市民文化センター、10月20日は愛媛県八幡浜市文化会館、11月2~3日は滋賀県近江八幡市文化センター、12月8日は長崎県松浦市文化会館、以上です。ご期待ください。

東京オペラ協会 芸術監督/石多エドワード

エレクトーン演奏/菊地友夏、菊地晴夏

2012年11月16日 国立オリンピック記念青少年総合センターセンターカルチャー棟小ホール