関西二期会の新企画 リリカ・イタリアーナ Vol.1が開催 オペラ「愛の妙薬」G.ドニゼッティ

オペラの余命は、後何年あるのでしょうか! 特に関西のこの地で、私ども関西二期会が現在のままの規模や形態でのグランドオペラ公演を上演し続けることは……。そんなことを考える毎日の中からこのオペラ公演の企画は生まれました。

公益社団法人関西二期会は、会員約570名(歌手)に加え法人賛助会員約50社、個人賛助会員約60名、会友約35名からなる法人です。2014年をもって創立50周年となります。当法人主催事業として、年に2回のグランドオペラ、2回のサロンオペラ、7回の各種コンサートを開催してきました。

これらに加え、新たに企画した今回の「リリカ・イタリアーナ」は、これまでのオペラではない、しかもオペラとしての上演を目指した新しいオペラ公演です。目的遂行のため、演出に演劇界よりウォーリー木下氏を起用し、彼からの大胆な提案を受け入れた結果、字幕に映像《プロジェクション・マッピング》を取り入れました。従来の単に点いては消えるを繰り返すのみであった字幕に、ドラマと連動した表情を持たせることに成功しました。一方オーケストラには"STAGEA"を中心に、生の弦や管楽器をかぶせました。しかもこれら十数人のオーケストラも舞台上中央に配し、写真のように、視覚的にはこれまでに例を見ない実験的なオペラ公演となりました。

音楽(音響)的には、"STAGEA"奏者の芦谷さんのお人柄と、熱心かつバランス感覚に優れた音楽性の下、生の楽器との調和も良くとれた素晴らしい響きを醸し出しました。疑似オーケストラではない、新しい演奏形態による音楽コンテンツを見出したとの思いを深くしています。

来年度は、同企画Vol.2として『ドン・パスクァーレ』を予定しています。このシリーズでは実験的な新しい試みを続け、未来型オペラの世界を構築していきたいと考えています。今回成功した《プロジェクション・マッピング》を舞台芸術にどのように効果的に取り入れることができるのか。《エレクトーン》と生の楽器との効果的な組み合わせは…等々、今後まだまだ解決していかなければならない問題は多いものの、オペラの将来への新しい道筋を見出していきたく、ますます工夫を重ねていきます。オペラの世界を現実的な夢のある世界へと拡大し、一般大衆のお客様方に理解しやすい、楽しい世界を提供していきたいと考えています。

今回、協力いただき、とてもお世話になった各方面関係の方々に、心より感謝を申し上げるとともに、私どもの夢をともに叶えていくため、今後もお力をお貸しいただきますよう、お願い申し上げる次第です。

公益社団法人関西二期会 事務局長・声楽家(テノール)/清水光彦

(上から)写真4:エレクトーン演奏/芦谷真由美

2013年3月9・10日 大阪国際交流センター