オペラ『シンデレラ』を終えて 東京シティオペラ協会『シンデレラ』日本語上演

「あれ? かぼちゃの馬車が出てこない」「白い馬は?」いずれも客席からの子どもたちの声です。でも、狭い舞台では、かぼちゃの馬車や、6頭の白馬、そして6人の御者たちを登場させるのはやはり無理ですね。

7月30日・31日に、エレクトーンシティで私たち東京シティオペラ協会が上演した、マスネー作曲『シンデレラ』は、2日間にわたって、熱気に溢れる超満員の聴衆を得て、まずは、《大成功》といって、過言ではない公演になりました。

今回の公演に際し、総監督である私のコンセプトは、「全員の歌詞が、全部客席に伝わるようにしたい」と言うものでしたが、この点もまずまず。「話がわかってとても楽しかった」という感想を多くの方から頂戴できました。オペラ鑑賞が初めてという方からも「オペラってなんて楽しいのでしょう!」と言う感想もいただきました。

シンデレラはもちろん、情愛に満ちた父親。一見憎ったらしくも、豊かな個性を見せた継母と二人の義姉。シンデレラを幸せに導く、妖精の女王の華麗なコロラトゥーラと6人の妖精たち。

そしてヒーローの王子とその父親である国王。みな秀逸と言える、見事な歌唱演技を披露してくれました。そして、見事な棒さばきで、二人の奏者(エレクトーン赤塚博美・クラビノーバ金子渚)から重厚かつ華麗なアンサンブルを引き出し、また歌い手たちを伸び伸びと、しかし極めて叙情的に歌わせた、指揮の横山奏。芸達者ばかりとは思えない歌い手たちを、皆伸び伸びと演じさせた演出の岡田直子。極めて美しく、舞台をしっかりと引き締めてくれた合唱。それぞれが、しっかりと自分の持ち場を理解して、きちんと務め上げたからこそ、結果として《大成功》が歩み寄ってくれたに違いないでしょう。

理事長/川村敬一

エレクトーン演奏/赤塚博美

2016年7月30日・31日 エレクトーンシティ渋谷