大広間でオペラの響きを体感する ビゼー オペラ「カルメン」ハイライト

天井の高いホテルグランドパレスの大広間でビゼー作曲オペラ『カルメン』ハイライトを上演した。

カルメンはメゾ・ソプラノ郷家暁子、ホセはテノール高田正人、ミカエラには舟橋千尋、エスカミーリョにバリトン押川浩士という最強の布陣、そこに私が絶大なる信頼を寄せるエレクトーンの清水のりこが加わった。

前奏曲が始まり、一気に観客は物語の中へ導かれ、そしてカルメン登場。70分ほどのハイライトのため、ノンストップで最後まで息もつかせぬ展開が待ち受ける。カルメンを演じた主役の郷家の熱演は、観客の心をつかんで離さず、素晴らしいものであった。今回のキャストは誰が欠けても成立しない最強のカルメンキャストであった。

これまで、何本もオペラハイライトを行ってきたが、『カルメン』が最も人気の高いオペラの一つと言われることもうなずける。

この『カルメン』を作曲家したビゼーは、『カルメン』初演の数ヵ月後に亡くなっているので、この作品により名声を手にしたのは、残念ながら彼の死後ということになるが、フランス・オペラの代表作として魅力的な音楽にあふれ、本当に美しい旋律を多く残している。

さて、このハイライト公演では、お客様の目線を大切にした"字幕"を投影し、物語の進行は、カルメンのジプシー仲間、密輸団のダンカイロが声だけで登場する仕掛けを仕込んであったが、それが、大変に好評であった。字幕に加え、シーンの説明も臨場感豊かにどこからともなく低い声が聞こえてくる仕掛け。

そして、どの場面もエレクトーンがオーケストラのように観客を魅了した。あの迫力といくつもの楽器の音を重ねて表現する音楽の豊かさは一体どうやって作っているのだろう、とお客様のみならず、私もそのテクニックと感性をいつか解き明かしたいと思っている。

素晴らしい歌手とエレクトーン演奏、次回の上演に期待を寄せるお客様からの熱い声が、終演後から続々と寄せられている。

著・オーケストラプレゼンター 音楽イベントプロデューサー/栗原知里

エレクトーン演奏/清水のりこ

2018年12月8日 ホテルグランドパレス 「ダイヤモンドルーム」