エレクトーンと歌の調和とその迫力に感動 横浜オペラ公演 オペラ『ドン・カルロ』

小川を流れるせせらぎのようなストリングスの美しい調べ。地の底からわき出るようなコントラバスの重厚な低音。そして、天空を切りさくトランペットの響き。さまざまな音色を見事に調和させたオーケストラのサウンド。

ここは、横浜の関内ホール、第4回横浜オペラが開催されている。響きわたるオーケストラの音と歌声。しかし、ステージにはエレクトーンとその奏者・神田将氏のみ。

「横浜オペラ」は、日本で初めてオペラが行われたのは横浜ということに由来して、2016年に始めたコンサート。年1回の公演で今年4回目を迎えた。今回は、ソプラノ太田小百合、メゾソプラノ鮎澤由香理、テノール城宏憲、バリトン上江隼人、バス ジョン ハオの出演で、オペラ名曲選とヴェルディ作曲オペラ『ドン・カルロ』をコンサート形式で行った。

今回の目玉はなんといってもエレクトーン。

これは私が神田将さんのエレクトーン演奏を初めて耳にした時、その音のすばらしさと迫力に、すっかり魅せられ、ぜひ、エレクトーンで「横浜オペラ」をやりたいと神田さんにお願いして実現したもの。私は「絶対すばらしい演奏会になる」と確信し企画したが、果たして観客の反応はどうか、少し気になっていた。

しかし、そんな心配は演奏が始まった瞬間に消し飛んでしまった。静まりかえった場内で聴き入っている観客、そして曲が終った時の大拍手。「オーケストラに代わってエレクトーンが代替できるとは驚きでした」「オーケストラのサウンドを表現できる進化したエレクトーンに感動した」など大好評。出演したソリストたちも「すばらしい演奏に自分の力を思う存分発揮できた」と大満足。

私のねらいは見事的中、エレクトーンと歌の調和とその迫力に私自身も感動し、その感動をお客様と共有できた。そして、皆様から「今後も続けてほしい」との要望が。そんな声を力にして、ますます進化していくエレクトーンと共に新しいオペラの形態を作り上げたいと願っています。

著・「横浜オペラ」プロデューサー・「横浜の文化を愛する会」代表/宮川眞壽美

エレクトーン演奏/神田将

2019年6月1日 横浜・関内ホール