歌と演奏、舞台と客席が一体となった演奏会 新ホールでオペラを楽しむ会主催 『ラ・トラビアータ』(椿姫)の世界

今回の公演は、群馬県高崎市に2019年9月にオープンした本格的な演奏のできるホール“高崎芸術劇場”で開催しました。20年に入り、新型コロナウイルス問題でホールの稼働が少なくなってきたことから、「何とかこの素晴らしいホールで本格的なオペラを楽しみたい」という要望が寄せられて、群馬日墺交流協会の浜名敏白会長に“新ホールでオペラを楽しむ会”の会長になっていただき、実施予定であった『永井美加ソプラノリサイタル』をこのタイトルでオペラ公演ハイライト版として行うことになりました。

主役のヴィオレッタにはソプラノの永井美加さん、アルフレードはテノールの持木弘さん、ジェルモンはバリトンの泉良平さんの豪華キャスト。ハイライト版ながら合唱とバレエを除くほとんどをそれぞれの持ち味を生かして歌いあげ、久林純子さん(フリーアナウンサー)のナレーションと休憩を入れると2時間半の公演でした。

大切な音楽の部分は近藤陽子さんのピアノに加えて、長谷川幹人さんのエレクトーン演奏で、本格的なオーケストラを感じるオペラ公演ができました。会場は最高の響きを持った415席の新しい「音楽ホール」でしたが、新型コロナウイルス問題で半分の入場制限をしたため、チケットは直ぐに完売し来場したい方には迷惑をお掛けしました。この問題はこれだけでなく、リハーサルの回数やソーシャルディスタンスのために演出も制限され、演出や舞台設営には苦労がありました。その中でも出演者全員が制限された緊張感から迫真のステージが実現できて会場は大変な感動に包まれ、来場者からは拍手だけでなく、つい声が掛かってしまうほどの盛況でした。コロナ問題の中でこれだけのステージができたこと、音楽を楽しむ多くの方がいること、歌と演奏、舞台と客席が一体となった演奏会を実感しました。

著・事務局長/中森隆利

エレクトーン演奏/長谷川幹人

2020年11月1日 高崎芸術劇場 音楽ホール