多くの人々の協力を得て喜びと感動の旗揚げ公演は大成功! リベルテ旗揚げ公演 オペラ『カルメン』

2021年2月19日、石川県立音楽堂交流ホールにおけるオペラ『カルメン』は、オペラ団体リベルテ(liberté)の旗揚げ公演となり、コロナ禍における北陸の音楽界の話題となった。

2020年に始まったコロナ禍で、以前のように自由に歌い触れ合うことが困難な状況が続き、オペラ公演も中止が相次ぐ中、改めてオペラ文化のすばらしさや、自由に表現すること、そして舞台を愛する者どおしの繋がりを持つことの重要性を感じ、「『オペラ』という舞台芸術をとおして、その繋がりを取り戻したい」という意欲ある音楽家が集った。その中で、石川県という同じふるさとを持つメゾソプラノ歌手・鳥木弥生とソプラノ歌手・石川公美が中心となり、リベルテは産声を上げた。

しかし本当にコロナ禍でオペラ公演が開催できるのか。東京を中心とした歌手と北陸を拠点に活動する歌手が、どんなふうに稽古をするのか。さまざまな不安や問題点を抱えながら、ICTを駆使し、できうる最大限の感染予防策やソーシャルディスタンスを取り入れた演出などの工夫を凝らし、多くの人々の協力で本番の日を迎えることができた。

今回演目として選んだのは『カルメン』。観る者、聴く者を魅了し続ける名作だ。奇しくもオペラ『カルメン』の大きなテーマの一つである〈抑圧からの解放、自由であることの大切さ〉は、コロナ禍という苦境に立ち向かおうとする私たちリベルテの理念と合致していた。演目は絶対にこれしかないと思った。

主役はもちろん、これまでにも多くの舞台で魅惑的な歌と美しい舞台姿で観客を魅了してきた鳥木弥生。ホセ役には、高いクオリティーでこれまでに国内外の重要なプロダクションでこの役を演じてきた村上公太。そして世界を知る人気演出家・太田麻衣子を迎え、北陸を中心に活躍するアーティストも多数参加し、これまでにない舞台を創り上げた。

特筆すべきは、今回北陸の聴衆の心を奪い、これまでもさまざまなオペラ公演で演奏を重ねてきたエレクトーンの名手清水のりこ。オーケストラ役を一人で引き受け、楽器の多彩な音色を表現し、歌手との絶妙な間合いを取る様子は、まるで指揮者のようでもあり、歌手にも大きな安心感を与えるとともに、本格的なオーケストラを感じさせる名演奏で公演を成功に導いた。

石川県立音楽堂交流ホールには300席用意され、満席のお客様中には、コロナ禍で初めてオペラに足を運ばれた方も多く見受けられ、会場は熱気と大きな喜びと感動に包まれた。またオペラ公演に先駆けて、同ホールにおいてオペラ出演者による「ランチタイムコンサート」も開催。オペラではエスカミーリョ役を演じた原田勇雅の優雅なナビゲートのもと、歌手たちが得意のオペラアリアを披露。サプライズゲストの登場もあり、客席を大いに湧かせ、リラックスした楽しい公演となった。リベルテは、これからも、自由の羽を持って、いろいろな活動を展開していきたいと考えています。いつかどこかで会いましょう!

著・ソプラノ歌手、リベルテ代表/石川公美

エレクトーン演奏/清水のりこ

2021年2月19日 石川県立音楽堂交流ホール