初めてエレクトーンを主体の公演が実現 ブルーアイランド版 オペレッタ『こうもり』

「ブルーアイランド版」とは、音楽生活50年を迎えようとする青島広志の趣旨に賛同する演奏家たちが集まって、年1回のオペラ公演と、それに準ずる演奏会を開催する、趣味性の高い催しです。会員組織ではなく、毎回出演者を募って上演していますが、現在のところ、私の先達、同僚、東京藝大での生徒が中心となり、ある程度のレギュラーが生まれています。現今の団体には珍しく、相互の人間関係は密接で、それが良い成果に結びついています。去る3月23・24日に、日本橋公会堂において、『こうもり』を、1年前の予定を延期して、全6回(Wキャスト)上演をし、他団が羨むほどの好演となり、感染者も舞台・客席ともに確認されませんでした。

もとより、財政困難のためにオーケストラを可能な限り縮小しなければなりません。これ迄はピアノを主体とし、そこに小編成の弦楽器を加えての編成でしたが、今回初めてエレクトーンを主体としました。青島が勤務先での同僚・赤塚博美先生を誘ったからです。実はそれ以前から声楽の伴奏をうかがったりして、ただ驚嘆するばかりでしたが、その豪華さを摂り入れたかったのでした。幸いに赤塚先生のお人柄の良さも手伝って、何回も楽器持参で稽古に来ていただき、他の楽器奏者からの信頼も厚く、当回はこの方、この楽器あっての本番だったと断言できました。

ただ、古いタイプの音楽家である青島の意見を申し上げれば、実演の際、客席に届く楽器同士のバランスが難しく、位置によって異なるようで不安だったこと、本来の楽器の音を想定してしまうとやはり少しは違うこと、とくに打楽器などにそう感じる部分がありましたが、驚いたことに、これが録音や録画になると全く違和感がないのです。電子楽器ならではの特性なのだろうと理解しました。実は、1964年に小学校で購入した箱形エレクトーンを弾いたことがあり、こんな日が来るとは夢のようでした。ありがとうございます!

著・公演主催者/青島広志

エレクトーン演奏/赤塚博美

2021年3月23・24日 日本橋公会堂