懐かしいメロディーを伝える 第三回東京ラジオ歌謡音楽祭

「ラジオ歌謡」…若い世代の方たちには聞きなれないものとなってしまいましたが、このような「ラジオ歌謡」を研究している東京ラジオ歌謡を歌う会の皆さんのコンサートが、行われました。今回が第三回目の歌謡祭ということで、出演組数も50組と盛大なコンサートとなりました。

「ラジオ歌謡」とは戦後、昭和21年5月から37年3月にかけて放送されたNHKラジオ番組ですが、番組オリジナルの歌謡曲の楽曲を発表し、その放送総数845曲にものぼるといわれています。

有名なところでは「夏の思い出」「小さい秋みつけた」「雪の降る街を」などもあり、美しい日本語で綴られた、美しいメロディーとともに多くの方に親しまれてきました。この頃にはNHK以外局の番組でも團伊玖磨や中田喜直などの手によって子どもから大人まで歌える、すぐれた歌がたくさん生まれています。それら名曲の中には楽譜や音源などが残されているものもありますが、曲数も多く、なかには楽譜が手に入りにくいもの、音源がないものもありました。

コンサートでは、昔の情感そのままを表現するのにエレクトーンを起用していただきました。色あせることのない「美しい日本語」と「美しいメロディー」を歌い手と一緒にその楽曲の持つ味わいを大切にしながら、リアルタイムに表現することでまさに時代を超えたコラボレーションとなったように思います。

会場に足を運んでくださった皆様や今回の歌い手の方々にも広くエレクトーンの魅力が伝わったのではないかと思います。

今後、ますますこのようなすぐれた作品が歌い継がれていくこと、誰もがその素晴らしさに触れられる機会が増えていくことを切望するとともに、エレクトーンという楽器の可能性を広く伝えていくにはいろいろな方法があるのだということも、改めて感じたコンサートとなりました。

エレクトーン奏者 長谷川幹人

エレクトーン演奏/長谷川幹人

2009年4月11日 北区赤羽会館