創作童謡をエレクトーンで 『夢は輝く/子どもたちへ~九十歳のメッセージ』CDリリース記念公演

吉祥寺にある武蔵野公会堂で、『夢は輝く/子どもたちへ~九十歳のメッセージ』CDリリース記念公演が開催されました。このコンサートは、地元の詩人・亀岡富美子さんの詩を元に、武蔵野雨情会の佐藤文行が、1年半を費やして音楽物語2話と童謡の計12曲を創作し、朗読やカラオケを加えてCD化。そのリリース記念として、CDと楽譜付き(親子ペア券とおとな券のみ)のコンサートを開催したものです。

亀岡富美子さんは80代で視力を失い、詩作をはじめました。その珠玉の言葉に込められた希望や感謝の思いが、多くの人の心に響き、楽曲の創作、CD化へとつながったのです。現在91歳です。

コンサートには、ヴァイオリン・野村栄、ソプラノ・佐藤悦子、バリトンと語り・佐藤文行、語り・中村茂美、エレクトーン・柴田薫(編曲も担当)という顔ぶれがそろいました。ソプラノの佐藤悦子は現役のベテラン保育者ですが、このCDの楽曲について「こどもたちがすぐ覚えて唄ってくれる」と目を輝かせて話しています。

プログラムはヴァイオリンとエレクトーンによるショパン作曲「ノクターン・遺作・」で始まり、亀岡さんのインタビュー、亀岡さんと作曲者・桐山百合子さん、そしてコンサート監修・佐藤による対談を挟みCDの全楽曲を演奏。さらに終曲をヴァイオリンとエレクトーンによる「シンドラーのリスト」で締めくくりました。この構成には、現代の悲惨な世界状況への《癒し》という意図があったのですが、思いがけず91歳の詩人への慰労となり、観客に深い感動をもたらしました。

さて、今回のCD制作/演奏会制作にあたり重要なコンセプトとなったのは、ほかならぬ・エレクトーン・でした。作曲者によるピアノ伴奏でCDを制作すれば経費が安くなります。しかしあえてエレクトーンを選んだ理由は、なんといってもその・多様多彩な表現力・が必要だったからです。また、編曲と演奏を兼務する優れた奏者(柴田薫)が近くにいたからです。

また、優秀な録音技術者(TTS 丹沢亜季)との出会いも大変な幸運でした。

エレクトーンは、奏者のアレンジ、音作りなどに、準備作業の多くの時間を費やさねばなりません。楽曲の様式に合わせて楽器を使いこなす知識・センスが要求されます。しかも三段鍵盤です。演奏には熟練と高度な特殊技術が必要なのです。今後は、主催する側の優秀なエレクトーン奏者の音楽的地位向上のための経費の見直し、そして、奏者サイドも自ら楽器調達に取り組み、ギャラに楽器調達費が含まれる楽器であるという社会認知と慣習化を勝ち取るべき、といった課題はありますが、エレクトーンが広く「世界」に巣立ち、永遠の楽器生命を獲得してゆくことを切望しています。

武蔵野雨情会では、今後もコンサートや講習会を通じて、このCD『夢は輝く/子どもたちへ~九十歳のメッセージ』、そして、童謡集『七つの唄』の全国普及を目指して活動を続けていきます。

スノーマン事務所/佐藤文行

(上から)写真1:ソプラノ/佐藤悦子(写真左)、バリトンと語り/佐藤文行|写真2:作曲/桐山百合子(写真左上) 朗読/中村茂美(写真左下) 詩/亀岡富美子(写真右)|写真3:編曲・エレクトーン演奏/柴田 薫

2010年8月28日 武蔵野公会堂

プログラム

ノクターン“遺作”/ショパン

演奏(1)と朗読

朝日に映えて
夢のお国
春が来ました
夢は輝く(元詩朗読)
夢は輝く

インタビュー

亀岡富美子
中村茂美

演奏(2)

大好き嬉しいな
音楽物語/かわいいネズミ
どうしよう
平和の鐘が鳴る
夕焼けに染まって

座談会

夢を追って 亀岡富美子
  桐山百合子
  佐藤文行
  司会・中村茂美

演奏(3)

音楽物語/虫たちのおしゃべり
夢の花咲く丘
シンドラーのリスト/J・ウィリアムズ