日本人の心のどこかに潜むメロディー 目黒雅叙園創業85周年記念特別企画 二代目松原操 懐かしき昭和を歌う~霧島昇生誕百年によせて~

昭和の時代に輝かしい歌手人生を送った霧島昇の生誕百年を記念した昭和の名曲を集めたコンサートが、桜もほころびはじめた3月下旬に目黒雅叙園にて行われました。

会場一杯に400人ものお客様が詰めかけたコンサート。戦前から戦後まで昭和の歌謡曲の変遷をたくさんの名曲と共に楽しむプログラムは、そこに生きた歌手や作詞・作曲者の思い、そして数々のエピソードがまるで本人から聞くかのように織り交ぜられ、聴く人々をタイムスリップさせる、なんとも有意義な時間に包まれたコンサートでした。両親である霧島昇・松原操の作品を歌い継ぐ活動を長年されてきた二代目松原さんはご両親の歌だけでなく昭和歌謡の変遷を見て感じてこられた方。素敵な歌声と共にお母様の衣装を身につけられ、当時の映像も交えた演出、歌とお話によって時代背景や人間模様までをも映し出すステージは他に類をみない、正にコンサート全体が完成された一つの作品として感じられます。さらに松原さんは、ご自分のことのみならずエレクトーンもお客様に楽しんでいただくため、ソロ演奏をさせていただいたり、楽器の機能の紹介までしてくださったりとエレクトーンにも理解のある温かい方。常に「共演者」として傍にいさせていただけるのも演奏家としてはとてもありがたい思いです。

8年前から共演をさせていただいていますが、戦前・戦中の歌はほとんどが知らないもの。ただ不思議なことに時代を駆け抜けた昭和の名曲はどれをみても日本人の心のどこかに潜んでいたような錯覚を生み、そのメロディーは美しく心に残るものが多いのです。当時の作曲家や歌い手が今の時代にエレクトーンとの共演で歌い継がれていることは想像もつかなかったことでしょう。そんな名曲たちがいつまでも歌い継がれていくこと、この時代を知らない若い人々にも新鮮なものとして感じてもらえることを心から願っています。

エレクトーン奏者/長谷川幹人

エレクトーン演奏/長谷川幹人

2014年3月24日 目黒雅叙園