ジャンルを超えたコラボレーション・コンサート 小林由佳Autumn Concert2014

夏のなごりが残る9月26日、小林由佳が過去に編曲・演奏した数百曲に及ぶ作品の中から、秋を感じる名曲を自ら選んだコンサートが開かれました。東京音大在学中から20年以上アカンパニストとして活躍し、国内外の様々な演奏会に300回以上出演している小林ですが自主開催は初めて。「編曲と伴奏も楽しんでいただく」企画に出演を快諾したのは、長年にわたり各所で共演している茂垣裕子(メッツォ・ソプラノ:アムステルダム歌劇場専属歌手)、清水良一(バリトン:藤原歌劇団団員)、柴草幹男(フルート)。特別ゲストに小林紫英(ジャズボーカル)を迎え豪華メンバーでの演奏が実現しました。

開演前と休憩時には写真家小平尚典(写真週刊誌FOCUS創刊メンバー、米国外国写真特派員協会会員)撮り下ろしの「倭(やまと)の秋」がステージ上手のスクリーンに投影され会場はすっかり秋の気配。プログラムはクラシック、ピアソラ、日本歌曲、Jazz & Popsの4部構成。茂垣の声量ある伸びやかな歌声、柴草の華麗な指先、清水の重厚な響き、紫英の醸し出す哀愁…フルオーケストラ、パイプオルガン、ボサノバ、和楽器アレンジのエレクトーンで、時には生ピアノの繊細な旋律で、小林由佳がソリストの魅力を自在に引き出します。さらに紫英のボーカルには小平の写真が次々とスクリーンに映されるコラボレーション。16曲目からはソリストがJ-POPを披露し最後に会場全体で「見上げてごらん夜の星を/横浜開港祭2011復興応援編曲バージョン」を合唱。歌い手が気持ちよくなる仕掛けを盛込んだ編曲と伴奏に、各氏も持ち味を思いのままに披露し満席の会場も大満足。あっという間の2時間でした。

主催テーマの通り、小林のソロはオープニングの「ノルウェイの森~スカボロフェア」で自身のエレクトーン演奏を自動再生しながらピアノを奏でる演出の「一人共演」だけ。円熟味を増す小林氏の次回コンサートが待ち遠しい秋の夜でした。(敬称略)

大澤盛四郎

エレクトーン演奏/小林由佳

2014年9月26日 エレクトーンシティ渋谷