最高の“おもてなし”を用意 富澤祥行テノールリサイタル vol.1

実は僕は小学校低学年の時に2ヵ月だけエレクトーンを習ったことがある。事情あってやめざるを得なくなり、心残してから30年以上を過ぎた今から数年前、エレクトーンシティ渋谷で歌わせていただく機会を得た。一台の楽器としては唯一、エレクトーンだけが許され持っている色彩感とレガートに、自分が歌いながら初めて包まれた時に「絶対に自分の初めてのリサイタルはエレクトーンでやる!」と決め、今回それを実現することができた。

とにかく今回のテーマは、自分とエレクトーン奏者・鈴木弥生さん、そしてエレクトーンの3つの掛け合わせでしかできないことをやろうということだった。そこでお客様への〈おもてなし〉のために「3つのお皿」をご用意した。

・正攻法でオペラアリアを歌うコーナー

・ポップス色を前面に出したミュージカル調寸劇

・プチオペラハイライト

である。

〈オペラアリアコーナー〉ではとにかく誰でもご存知のテノールアリアをご用意した。どれもが超有名曲であるため、お客様には喜んでいただけるはず。

〈寸劇〉ではストーリーむちゃくちゃのドタバタ一人芝居を用意して、演歌からJ-POPまで様々な世代の方が耳馴染みの曲を使い、エレクトーン最大の特徴をアピールできるようにした。

〈プチハイライト〉では、昼公演ではソプラノ刈田享子さんをお迎えし『蝶々夫人』を、夜公演ではソプラノ石川元子さんをお迎えして『ロミオとジュリエット』をそれぞれ演技付き演奏し“オペラらしさ”を前面に出してみた。

おそらくお客様にはあっという間の2時間であったろう。場面背景つき字幕スライドもわかりやすいと好評だった。自分の演奏の出来はともかく、今回のリサイタルは個人的には大満足である。

vol.2は…、必ずある、と思う。なぜならすでになんとなく寸劇の構想をしてしまっている自分がいるからだ。寸劇の構想の前に、まずは肝心の歌の練習をしろという声が聞こえてきそうだが。

富澤祥行

エレクトーン演奏/鈴木弥生

2014年10月30日 エレクトーンシティ渋谷