八洲秀章の名曲で綴る さくら貝の歌コンサート

「さくら貝の歌コンサート」は鎌倉で作られた「さくら貝の歌」を鎌倉で歌い継いでいきましょう!と2010年に倍賞千恵子さんをゲストにお迎えし てスタートしました。おかげさまで今回4回目を迎えることができました。わたくしの父・八洲秀章は「さくら貝の歌」のほかにも「あざみの歌」「山のけむり」「マリモの歌」「高原の旅愁」「チャペルの鐘」など数多くのヒット作を世に送り出してきました。そのほとんどの曲に感動的なエピソードがあります。

昭和15年、父は初恋の相手が亡くなったことを知り、絶望の中、とぼとぼと、鎌倉の海岸を歩いていました。その時ふと目にしたさくら貝。父はもう二度と会えない恋人を想い、「我が恋のごとき悲しきさくら貝片ひらのみぞ寂しくありて」と詠みました。この和歌を歌詞にしてもらいその歌詞にメロディーをつけて「さくら貝の歌」ができたのです。

しかし世に出るまでは時間がかかりました。世に出たのは昭和24年でした。NHKラジオ歌謡で取り上げてくれたのです。放送されてすぐに大評判となり大ヒットとなりました。

コンサートはメインゲストの宝田明が歌う「さくら貝の歌」からスタートしました。流石!の歌でした。若き日の愛唱歌だったというだけあり実に良いのです。情感がじわーっとつたわり心に滲みる歌でした。長谷川幹人さんのエレクトーン名演奏に支えられて父の作曲作品を中心に全30曲。最高のコンサートになりました。

アンコールは出演者全員とお客様の「さくら貝の歌」の大合唱でした。来年もやってほしいとのご要望にお応えして早くも来年の5月31日に5回目をやらせていただくことになりました。

私事ですが近く、父の曲を中心に昭和の名曲を20曲選ばせていただきレコーディングする予定です。伴奏は長谷川幹人さんのエレクトーンです。長谷川さんと二人三脚でがんばりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

沢木順

エレクトーン演奏/長谷川幹人 Photo/後藤和美

2015年5月15日 鎌倉芸術館