日本の古き良き歌から歴史を知る試み 「青山恵子日本の歌教室」

日本人が忘れかけているsense "感覚・知覚" を取り戻して欲しいと企画された『青山恵子日本の歌教室』。声楽家メゾソプラノの青山恵子さんが、独自のアレンジで定評のあるエレクトーン演奏家の長谷川幹人さんの伴奏で毎回3曲ほど披露しています。番組「西部邁ゼミナール」は、評論家で隔月刊誌「表現者」顧問の西部邁氏が司会を務め、政治、経済、社会から文化まで幅広いテーマを多彩なゲストと真率にしてユーモア交え本質的な議論を展開しているTOKYO MXの看板番組です。

日本の伝統的な旋律である子守唄や唱歌、現代では歌われることが少なくなった戦前・戦後をはさんだ歌謡曲をめぐり「日本の古き良き歌には、悲哀と哀感がたっぷりと含まれている」と司会者が作詞家の繊細な言語表現力を適確に捉えて解説します。

日本語の発音ひとつひとつにまでこだわった青山恵子さんの歌声と、繊細かつ大胆な音色を組み合わせた長谷川幹人さんの伴奏によるバランスが絶妙であり、歌を囲む情景が眼に浮かんでくる表現力豊かな『日本の歌教室』です。最近放送した「失われゆく故郷」では、日本の歌百選のひとつである童謡「里の秋」〔昭和23年〕を披露。

原曲は斎藤信夫作詞の「星月夜」〔昭和16年〕で、3番の歌詞には、大東亜戦争の最中で南方へ出征した父の還りを母と子ふたりで待つ「ああ父さんのご武運を」という慰問が認められていました。実は、青山さんの父上はノモンハン事件〔昭和14年〕の戦いで負傷し帰還後、ポナペ島(現ポンペイ島)へ出征しており、母上が歌とよく似た境遇にありました。母上は、コンサートやリサイタルで青山さんが歌う「里の秋」を聴くたびにボロボロと涙を流していたそうです。

個人で言えば人生、社会ならば歴史、歌詞に認められた当時の情景、風景に想いを馳せて曲を聴く、子や孫に語り継げるような物語、つまり歴史には必ず歌が入ってくるようです。歴史を知ることを出演者自らが楽しみ、家族、親戚、地域へと歌の面白さが会話を通じて広がり、業界の方からも評判を呼びつつあり、真に薦めたい番組のひとつです。

TOKYO MX「西部邁ゼミナール」放送中

毎週土曜日 午前7時05分~ TOKYO MX1 毎週日曜日 午前8時30分~ TOKYO MX2

番組HPにて過去に放送した「青山恵子日本の歌教室」をご覧頂けます。

MXエンターテインメント株式会社/窪田哲学

エレクトーン演奏/長谷川幹人

2016年7月2日 TOKYO MX「西武遇ゼミナール」