ありがとうのメリークリスマス TAEKO FUJII the Last Christmas Concert No.30

アメリカ生活から帰国して初めてのクリスマス、日本では「ジングルベル」と「ホワイトクリスマス」くらいしか歌われていないのが残念で、アメリカのすてきなクリスマスの歌を紹介しよう、絶対に30回まではやりたい、と自分に誓って、とうとう2017年に30回目を迎えました。そして私は何と86歳になって居り、お客様の前で2時間立って居られるかぎりぎりの年でした。途中家族の介護や看取りもありましたが、何と200曲以上を紹介し続け、最後はエレクトーンとやりたい、と1年前から奥野由希子さんにお願いしてありました。奥野さんと私はとても気が合うと言うか、音楽作りの感性が似ていて、何度も細かいことまで納得する練習を重ねてくださいました。その都度完成に近づいてゆくのは楽しく、貴重な経験と成りました。

クリスマス音楽は唯楽しいラブソングではなく、

1 イエスの誕生にちなんだ内容

または、

2 家庭で家族と共にクリスマスを楽しむ歌

でなければなりません。

今回は東京オペラシティのリサイタルホールで満席の中、I部をクリスマス物語“ダビデの町にイエスは生まれ”、II部はミュージカルドラマ“ホームカミング クリスマス”、そしてⅢ部はサンタやコーラスも入って楽しいフィナーレ、としました。皆さまのお蔭で本当に最高のコンサートになりました。

何度かエレクトーンと演奏しましたが以前は気になった弦楽器の音も目を見張るような進歩で、今回特にポピュラー系のものはビッグバンドと歌っているようで実に良い気分でした。

桜丘の坂をのぼり、胸突き八丁の階段を登山の覚悟でのぼることももうない、と聞くとなんともなつかしく、とてもよい空間のホールだったので残念です。目黒にはこういうホールはないようですが多くの人たちに演奏経験を与えてくださった渋谷での業績は人々に感謝の記憶として残るでしょう。

声楽家/藤井多恵子

エレクトーン演奏/奥野由希子

2017年12月5日 オペラシティ リサイタルホール