昭和歌謡に新たな命を吹き込む!懐かしき昭和を歌う

コンサートフィナーレ、雅叙園の大会場「舞扇の間」にお客様の大きな歌声で「東京ラプソディー」が響く。お客様の満面の笑みを拝見する度「昭和歌謡」の持つ大きな力を再認識する。昭和3年に開業し日本の戦前・戦中・戦後の歴史を見続けてきた「雅叙園」で開催してきた「懐かしき昭和を歌う」公演も今回で5回目、最終公演となった。

クラシック出身の私が両親霧島昇・松原操のヒット曲をはじめとした「昭和歌謡」を歌いだしてから早いもので30年。30年前地方公演の折、強いご要望がありプログラムに数曲、両親の歌った歌謡曲を入れた。幼い頃から、家のなかで父の歌う歌謡曲と3人とも音大声楽科の兄姉が練習するクラシックが「同居」するなかで育ってきたので、クラシックと歌謡曲の垣根がほとんどなかった私ではあったが、最初にステージで歌うときはやはり戸惑いがあった。両親の歌を汚してしまうのではないかと。でもお客様が大喜びしてくださる姿に「私の拙い歌謡曲でもお客様の想い出の扉を開ける役目だけはできる」と確信した。勝手の違う「昭和歌謡」と夢中で格闘しているうちにいつの間にか30年も経ってしまった。

様々な会場で「懐かしき昭和を歌う」公演を開催させていただいているが、素晴らしいアレンジで古い昭和歌謡に新たな命を吹き込み、卓越した技術でお客様を魅了するエレクトーン長谷川幹人氏は12年前から私の公演をいつも要となって支えてくれている。彼との出会いはエレクトーンに少々偏見のあった私にとって正に「目から鱗」。彼がいなければもう歌っていなかったかもしれない。

ほかにも和楽器や洋楽器の若い共演者に力をいただき今日まで歌ってくることができた。

クラッシックと歌謡曲、洋楽と邦楽といった垣根を取り払ってのコンサート活動を目指してきたが、これからもお客様に「驚き」を感じていただけるような構成・演出を模索していきたい。

また若い世代の方々に、「演歌」とはまったく違う「昭和歌謡」の素晴らしさを伝えていくことができたら望外の幸せと思っている。

著・二代目松原操 霧島昇・松原操(ミス・コロムビア)三女

エレクトーン演奏/長谷川幹人

2018年3月28日 ホテル雅叙園東京