その演奏は、まるで魔法のよう・・・ 崔宗宝音楽事務所主催 「ニューイヤーコンサート」

崔宗宝音楽事務所では「誰もが気軽に楽しめる華やかなひととき」をモットーに、森麻季氏をゲストに迎えたガラコンサートや、各国より招いたテノール歌手10人による10大テノールコンサート(いずれもサントリーホール)から、地域密着の小コンサートまで、多岐にわたる声楽コンサートの企画制作を行っている。中でも人気が高い「ニューイヤーコンサート」は、海老名で9回、大和で5回を数え、例年イベントとして定着した。

これまでのニューイヤーコンサートはピアノ伴奏だったが、今回はエレクトーンを採用し、神田将氏に演奏を依頼した。かねてよりエレクトーンの実用性や演奏効果の大きさは認識しつつも、ピアノに不足がないことからエレクトーン導入には至らなかったのだが、昨年、神田将氏によるSTAGEA ELS–02Cと声楽の共演を聴き、エレクトーンと奏者双方の目覚ましい進化に触れ、即座に「エレクトーンを使おう」と決断した次第である。

今回出演した歌手6名のうち、半数はエレクトーンと初共演だった。初合わせの際は、ピアノとの違いに若干の戸惑いがあったかもしれないが、それ以上に、豊かな響きや生き生きとした音楽に触発されるほうが勝っているように見受けられた。

演奏曲はオペラアリアや民俗的な歌曲などから全23作品におよんだ。オペラアリアがオーケストラさながらであることは言うまでもないが、シンプルな構成の歌曲にこそエレクトーン奏者のセンスがくっきりと浮かび出る。作品の持ち味に調和する色彩感やスケール感がたった1台の楽器から自在に醸し出され、さらには歌手それぞれの個性をも引き立たせていく様は、まるで魔法のようであった。

そして、何より重要なのは、エレクトーンが観客に大好評とともに受け入れられことである。回収したアンケートでもエレクトーンが大きな話題となっていたのは、主催者としてもうれしい限りだ。この成功を踏まえ、今後も積極的にエレクトーンを交えたコンサートを企画していきたい。

著・バリトン歌手、企画・制作/崔宗宝

エレクトーン演奏/神田将

2020年1月18日 海老名市文化会館、19日 やまと芸術文化ホール