ジャンルを超える“歌"の魅力 フランス旅紀行コンサート ~三越劇場を包み込む、心震わせるバリトンの響き~

10月9日、日本橋三越本店で催される「三越フランスフェア2022」とともに、百貨店内に開場されている三越劇場にて『フランス旅紀行コンサート』を開催しました。出演者は僕と大学の同窓で、二期会のオペラでも活躍しているバリトンの今井俊輔さん。ゲストには、劇団四季の『アスペクツ オブ ラブ』で共演し、主演ローズを魅力的に演じられた佐渡寧子さん、そして、エレクトーン演奏に神田将さんが加わってくださいました。

オペラ歌手、ミュージカル俳優が歌うということで、それぞれの舞台ジャンルからはもちろん、映画音楽、シャンソンとフランスの風を感じるための楽曲で構成した楽曲の数々。オペラからは『アンドレア・シェニエ』『椿姫』『カルメン』とオーケストラと歌い手の魅力を最大限にお届けすることのできる大曲揃い。ミュージカルからは『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』とオーケストラと電子音楽の融合によって新たな音楽の形を提示された楽曲の数々。フランスフェアから辿りつかれたお客様からも「フランスの風を耳で感じることができた」と、喜びの声をいただくことができました。

このコンサートは、神田将さんこだわりのアレンジ、エレクトーン演奏をなくしては実現しませんでした。オペラの壮大なオーケストレーションはもちろん、シャンソンの中で流れる小粋なアコーディオン、ミュージカルで登場する斬新な電子音楽の力を最大限に活かす演奏。隅々の音にまでこだわる神田さんだからこそ表現できる世界観。三越劇場の音響スピーカーとの相性も抜群で、これだけ色の違う楽曲の数々を、見事に、ダイナミックかつ繊細に表現。エレクトーンのそのポテンシャルの高さに触れ、驚かれた感想もたくさんいただき、僕もとてもうれしかったです。

時代によって演奏スタイルの変化がある音楽。僕ら歌い手もその時代を感じつつ、そして今を生きている僕らだからこそできる表現を交えて演奏しています。その歌を全身で吸収し、倍増し、新しい風としてお客様に届ける神田さんの柔軟性。エレクトーンはまさに、時代の最先端を表現することのできる楽器であると、会場にいる全員が感じた公演でした。神田将さんとは11月にも共演、そして2023年の1月も予定しています。新しい音楽への挑戦を楽しみながら。

著・歌手・俳優・表現者/中井智彦

エレクトーン演奏/神田 将

2022年10月9日 三越劇場