打楽器の重要さを知った、あの音

アーティストインタビュー

生きる、ということが私の音 打楽器奏者 山口多嘉子
いつも明るく吹奏楽コンクールの課題曲をアドバイスしてくださる山口多嘉子先生に、打楽器との出会い、学生の頃のお話などをうかがいました。

山口 多嘉子
東京藝術大学器楽科打楽器専攻卒業、同大学大学院修了。
ソリストとしてNHK交響楽団、東京交響楽団他と共演。
また準ソリストとして読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団他、国内外の著名オーケストラと多数共演。
ピアノとのデュオ「パ・ドゥ・シャ」やユーフォニアム、ピアノとのトリオ「トリオ・デ・ジャンボウ」など、異種楽器とのアンサンブルにも意欲的に取り組み、打楽器の可能性を広げている。
東京佼成ウインドオーケストラ 打楽器奏者。
  1. 1 打楽器の重要さを知った、あの音
  2. 2 たくさん触って、動いて、元気になろう!
  3. 3 ネコちゃんと小さな失敗
  4. 4 いい音楽は健康になる!
  5. 5 打楽器は、縁の下の力持ち
  6. 6 いい楽器が人を育てる

打楽器の重要さを知った、あの音

幼稚園の時に園内の一角にヤマハ音楽教室があって、遅くまでいると音楽が聞こえてくる。その様子をレッスンが終わるまで窓の外からジーと見ていたらしいんです。迎えに来た母がその様子に「やる?」「うん」って、もう次の週から始めました。
私が入ったことで、教室のオルガンが1台足りなくなり、オルガンの代わりに元々あったピアノを1台使うことになったんです。そのピアノは一番後ろの席に置かれたので、「遅れていけばピアノが弾ける!」と思い、わざと遅く行ってピアノの席に座るようにしていました。でも、しばらくすると先に来ていた別の女の子がピアノに座っちゃうようになったんです。それで次からはダッシュ(笑)。とうとう先生が「交互にしましょうね」と言って交代で弾くようになったんですよ。それが、初めての音楽との出会いでしょうね。

その後はピアノ一筋。高校に入る頃には「音大に行こう」と既に決めていたこともあり、“部活は軽いもので”と思っていました。そんな時、入学式で新入生歓迎の吹奏楽部の演奏を聞いたんですよ。いろいろな楽器がいい音で盛り上がってきた時にサスペンデッド・シンバルが鳴って、その途端に××××…。シンバルひとつで音楽が変わるんですよ。シンバルが重要だということをまざまざと感じちゃったんですよね。縁の下の力持ちであり、それが醍醐味でもある。それで一転、「吹奏楽部に入ろう!」と決めました。私が“希望者の少ない”打楽器を選んだら、即入部OK。その時のシンバルの先輩に「どうして打楽器を選んだの?」と聞かれ、「すごく面白そうなので」と誤魔化したのを今でも覚えています。先輩ゴメンナサイ!(笑)。ただ打楽器については、今でも演奏の中で “みんなのお役に立てる”みたいなのがすごく好きですね。