チェロ:演奏の準備と片付け

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チェロ:演奏の準備と片付け
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楽器を手にしたら、どんなことに注意をして始めたら良いでしょうか?
  1. まず、楽器各部の名称を知ってください。

    楽器各部の名称

    ●弦は一番細い弦からA(アー)線、D(デー)線、G(ゲー)線、C(ツェー)線と呼びます。
    弦の名称

    ●弓の各部の名称です。
    弓の各部の名称

  2. では楽器と弓をケースから出しましょう。

    ソフトケースはファスナーを全部あけ、ネックを持ちながらケースから出してください。または、楽器を寝かせてファスナーをあけた後、エンドピン付近の枠からエンドピンを外し、ネックと本体を持って出してください。
    ネックと本体を持って出してください

    ハードケースは、ケースの留め金をすべて外し、ネックや渦巻きを固定している紐(ゴムやマジックテープの物もあります)を外して、ネックを持って出してください。
    出す時はネックと本体を持ち、ネックから先に出します。
    出す時はネックと本体を持ち、ネックから先に出します。

  3. 楽器の持ち方や運ぶ時の注意事項

    楽器は基本的にネックと本体を持ちます。弓はフロッシュと付近の竿を持ちます。
    ネックと本体を持ちます

    エンドピンやテールピース、指板を持って運ぶのは止めてください。
    エンドピンやテールピース、指板を持って運ばない

    弓はできる限り毛を触らないようにしましょう。
    弓はできる限り毛を触らないようにしましょう

    運ぶ時はネックと本体を持って運びましょう。
    弓を同時に運ぶ時は、 左手に楽器のネック、右手に弓と本体F字孔付近の窪みを持ちます。
    運ぶ時はネックと本体を持って運びましょう

    ケースに入っている時は、ぶつけないように、振動に気をつけて運んでください。

  4. 音を出す前に

    チェロを弾くスペースの目安は前後左右1メートルずつくらいと考えてください。あまり狭いと弓がぶつかったりして、破損の原因になります。
    チェロを弾くスペースの目安は前後左右1メートルずつくらい

    手を洗ってから楽器を弾くようにしましょう。
    譜面台は説明書の指示に従って立てます。

    椅子と譜面台を1メートルくらい離して向かい合わせます。

    楽器を出したら、ケースを椅子の後ろのあたり、邪魔にならない所に置きましょう。
    片付けやすいので、留め金やファスナーはあけたままが良いと思います。

    狭いスペースの時は、このようにケースと譜面台を置くと良いでしょう。
    狭いスペースの時は、このようにケースと譜面台を置くと良いでしょう。

    椅子の高さはご自身の膝より少し高いくらいが丁度良いでしょう。
    膝と同じくらいの高さだと…正しい姿勢で演奏できます。

    座った姿勢が膝よりお尻が低いと、身体が動かしにくいため弾きにくいですし、高すぎると中腰を続けることになるので疲れます。
    椅子が膝より低すぎると…背中が丸くなり、身体が動かしにくくなります。
    膝より高すぎると…中腰の姿勢を続ける事になり、身体の負担になります。

    また椅子にもたれかかると、姿勢が悪く、重心が後ろに向いてしまうため、きれいな音が出せません。
    椅子にもたれかかると、きれいな音が出せません

    エンドピンは後で調節しますが、とりあえず30~50センチメートルくらい出してください。(ここでエンドピンを出さなくても大丈夫です)

  5. 松脂を塗ります。

    弓を少し張っておきます。左手に松脂を持ち、右手で弓を持ち、弓を動かして毛全体に松脂を塗ります(利き手に応じて変えてください)。
    手元から弓先までムラのないよう、均一に塗ってください。毛は下に向けた方がやりやすいと思います。
    松脂を塗ります
    新しい弓の場合はたっぷり塗ってあげます。

    弓毛の張り方は、フロッシュ付近を持ち、アジャスターで調節します。
    時計周りで張れ、 反時計周りで緩みます。
    時計周りで張れ、 反時計周りで緩みます

    張り具合の確認方法は、正確に弓を持ち、弓の一番しなっている所を弦に当てます。人差し指のみで圧力を加え、竿と毛が離れるけどくっつくくらいの張りにします。
    ずっとくっついていると張らなすぎ、ちっともくっつかない場合は張りすぎです。
    季節によって毛が伸縮してしまう事などを考慮しますと、この方法がご自身とご自身の弓に一番合った張り具合を確認できると思います。
    張り具合の確認方法

演奏を終えたら、どんなことに注意して片付けをしたら良いでしょうか?
  1. 楽器を拭きましょう

    拭く前にエンドピンを楽器に収納し、エンドピンゴムを付けましょう。
    エンドピンを入れ切った状態

    乾いた柔らかいタオルを2枚準備しましょう。楽器用のクロスでも市販のタオルでも大丈夫です。
    1枚目で松脂を拭きます。演奏中に飛散した松脂の白い粉を拭き取ります。指板と駒の間の弦、指板(特に指板の末端)、駒付近一帯、テールピースにも飛び散ります。
    指板の拭き方はタオルを広げ、駒あたりで広げたタオルを指板の上、弦の下に置きます。そのまま指板に沿ってナットあたりまで拭きます。
    指板の拭き方
    指板の拭き方

    2枚目で汗や埃、手の油を拭き取ります。
    演奏中に触った場所、目に見える汚れや埃を拭き取ってあげます。
    ヘッドもたまには拭きましょう
    ヘッドもたまには拭きましょう。

    ペグボックスは基本的に拭けません。たまに息を吹きかけてあげましょう。放っておくと、吹いた時に凄い量の埃が舞い散ります。
    汚れが気になる場合は綿棒で拭いてください。

    汚れが目立つからと言って、拭きすぎは良くありません。あまりに目立つ汚れは調整に出す時に楽器屋さんにお願いしましょう。

    時間がない人は拭くのが面倒と思われるかも知れません。ですが、1週間に1度は埃の除去を心掛けてください。
    松脂は毎回拭き取ってください。

    拭き終わったら、楽器をケースにしまってあげます。
    楽器の下部からケースに入れましょう
    楽器の下部からケースに入れましょう。

    弦を緩める必要はありません。長期間(3ヶ月以上)弾かない場合は緩めてください。
    緩めすぎると駒が倒れてしまうので、4~5音くらい下を目指して緩めましょう。

    弓も拭きます。
    毛を緩める前に松脂用のタオルで、竿と毛の間にタオルを入れ、竿やヘッドを拭きます。
    毛は上に向けます
    毛は上に向けます。

    フロッシュは汗用のタオルで拭いてください。

    毛に付いた松脂は拭きません。どうしても松脂をつけすぎて気になる様なら、ヘッド付近を軽く叩いて落としてあげましょう。
    その後竿を拭きます。

    拭き終わったら、毛を緩め(反時計周り)、ケースにしまってあげます。

  2. 楽器の保管方法

    ケースに入った楽器はお休みしている(寝ている) 状態です。しっかり休ませてあげましょう。
    陽にあてず、風通しの良い場所に置いてください。立てていても寝かせていても大丈夫です。
    寝かせて保管する場合は、横板側を下にしましょう。
    ソフトケースで寝かせるスペースがない場合は、家具と家具の隙間か、部屋の隅に駒側を向けて立てかけてください。
    駒を表にして立てかけないようにしましょう。
    駒を表にして立てかけないようにしましょう。

    またチェロ用のスタンドもあるので、それを使っても安心です。
    楽器をスタンドに置いている状態
    楽器をスタンドに置いている状態

  3. 休憩中の注意

    慣れてくると、長時間弾く事ができるようになります。
    ちょっと疲れた、電話がかかってきた等、中断する事もあると思います。

    楽器は表板F字孔付近の窪みを使って椅子に立てかけるか、横板を下に向け、寝かせてください。
    楽器を椅子に立てかけている状態 楽器を寝かせている状態

    寝かせる場合はエンドピンをしまい、できればエンドピンゴムも付けてください。
    エンドピンは床に刺せる様に作られているため、とても尖っています。自分を含め、刺さらないように心掛けてください。
    特に小さな子供やペットは危険度が分かりません。ご自身で怪我防止を心掛けてください。
    ちなみに、弾いている時の弓の先端(先弓)も刺さると痛いです。気をつけましょう!

関連リンク

嶋田 真紀子先生プロフィール
嶋田 真紀子先生プロフィール

愛知県立芸術大学音楽学部音楽学科卒業。

チェロを天野武子、ルドヴィート・カンタ、平田昌平の各氏に師事。
室内楽を天野武子、進藤義武、福本泰之の各氏に師事。

在学中、ウィリアムテル序曲のチェロ五重奏にて第5チェロを担当。
ウィーン夏期国際講習会に参加、ウォルフガング・アイヒンガー氏に師事し、ディプロマを取得。

現在ダ・コーエクァルテットのメンバー。
2007年より上記クァルテットの自主演奏会を開催、好評を得る。

2008年に初のソロリサイタルを行う。

演奏活動の他、音楽教室講師等、多方面で活躍中。


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