バイオリン:演奏の準備と片付け
- 楽器、弓、ケース、肩当て、松ヤニが用意できました。
楽器を手にしたら、どんなことに注意をして始めたら良いでしょうか? -
- まず湿度や温度は特に注意をしましょう。ケースを置く場所として最適なのは日光の当たらない乾燥した場所です。
また楽器、楽器ケースが落ちたり倒れたりしないよう気をつけましょう。
住宅事情などにより音を出すことに対し、隣近所に気遣いがあるようでしたら自宅での練習や演奏時間も考慮しましょう。音が気になるようでしたら、弱音器、消音器を使用すると良いでしょう。 - 楽器をケースから取り出しましょう。左手でネックを持つところをとり、右手を軽く添えましょう。表板・裏板は触らないようにします。
- 肩当てを楽器の裏板にとりつけましょう。肩当てのフックの部分を楽器の端に掛けます。
肩に触れる部分が、肩当ての太い部分になります。写真では、奥が太く手前側が細い。KUN肩当ての場合、KUNという文字が楽器の上を向くようになります。
肩当てを正しく使うコツ:体の正面から斜め45度の角度にします。
肩当ては、高さや幅を自分の体に合うように調節できます。
高さの調整は、フック部を回していくとネジの金属部が伸びたり縮んだりします。
肩当ての幅は、楽器のサイズによって調整することがあります。ネジ穴の位置を替えることで4段階に調節をして使用することができます。
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弓をケースから出しましょう。弓は軽く握る程度で弓の毛には触れません。毛箱側を軽く持ちましょう。
- 弓の毛を張ります。
演奏前にはネジを回して毛を張ります。時計回りは毛を張る、半時計回りは毛の張りをゆるめます。演奏時は毛を張り、ケースに収納する際はゆるめます。
毛を張るときは、棒と毛の間が、棒(さお)の太さと同じくらいが目安です。 - 松脂をつけます。
松脂をつけることで大切なのは、音がきれいに鳴ることです。つけ過ぎや少ないなどの点は注意し、弓元から弓先までまんべんなく付けます。毎日適度に塗りましょう。
※弓毛は指で触ったり、布で直接拭いたりしないように注意をして取り扱いましょう。
補足
弓の部分名称
- まず湿度や温度は特に注意をしましょう。ケースを置く場所として最適なのは日光の当たらない乾燥した場所です。
- 演奏を終えたら、どんな事に注意をして片付けをしたら良いでしょうか?
練習した後は布で拭きましょう。楽器についた松脂や指紋をふき取りこびりつかないようにしましょう。こびりつくとなかなか取れません。汗や息の湿気、油などを乾いた柔らかめの布で傷が付かないようにふき取り、指板やテールピースの汚れもふき取りましょう。現在では楽器専用、弓専用の布がありますので、それを使うのが良いでしょう。最後にポリッシュなどを使い、つや出しや楽器・弓を保護する意味で使用するのが最適です。
拭く場所用途に分けて2枚のクロスを使いましょう。
- 演奏が終わったら弓の毛を緩め、棒についた松脂はその日のうちにきれいに拭く習慣を身につけましょう。
ケースに片づける際も弓先や毛箱に物をぶつけたり、衝撃を与えないように丁寧に片づけましょう。
楽器や弓の汚れがひどい場合、市販の楽器、弓専用の磨き油を使って拭きましょう。使用前に楽器や弓に傷がないか確かめ、ある場合は使用しないようにしましょう。
ヤマハ弦楽器ポリッシュ SIP-1- 演奏が終わったら弓の毛を緩め、棒についた松脂はその日のうちにきれいに拭く習慣を身につけましょう。
- 田中 謙一郎先生プロフィール
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(社)日本弦楽指導者協会 理事
(社)日本弦楽指導者協会 関東支部 副理事長北海道に生まれ、4歳よりヴァイオリンを始める。国立音楽大学、ドイツ国立デュッセルドルフ音楽大学大学院にてヴァイオリンを学ぶ。
在学中より、オーケストラの客演や、ドイツ、オーストリア、ベルギーの国際音楽祭にて、ヴァイオリンソロ、室内楽などの演奏会に出演。オーストリア・ウィーンにてオーディションに合格し、パシフィック・ミュージック・フェスティバルに全額奨学生として参加、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ヒューストン交響楽団の首席メンバーらと協演。日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティフィルハーモニック管弦楽団、オーケストラアンサンブル金沢、広島交響楽団などにて演奏活動を行っている。
これまでにヴァイオリンソロを大関博明、尾関えりか、ゲオルグ・ハムザ、豊田耕児、ウェルナー・ヒンクの諸氏、室内楽をギュンター・ヘーグナー、ヘルベルト・ドレクセル、ウェルナー・ヒンク、クリストフ・エッシェンバッハの諸氏に師事。
2001年春と秋の荻窪の音楽祭に招かれ演奏し、いずれも好評を博す。同年9月には、セシオン杉並において洋絃会に出演し、2002年には春と秋にリサイタルを行い、2004年2月には東京において初めて自主リサイタルを開催し、あわせて高い評価を得ている。
今日に至るまで、ソロ、室内楽、オーケストラの演奏活動を幅広く行っている。また現在は、TV番組等での演奏、指導、ヴァイオリン監修や新聞、雑誌、テレビ等のメディアにおいて出演・掲載されるなど多方面で活躍している。こうした活動の一方、全国学校合奏コンクールをはじめ数多くのコンクールで審査員を務めるなど、後進の指導、育成にも意欲的に取り組んでいる。
1999年より定期的にソロリサイタルを開催している。
いままでにフランス、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカなどにて研修を行なっている。