【導入事例】株式会社ドリーム 様 / SRカンパニー / 神奈川県
Japan / Kanagawa, Aug 2012
神奈川県横浜市に拠点を構え、ライブPAと同時にTEQSASを初めとした海外音響機器製品の輸入・販売も手がけるSRのカンパニー・株式会社ドリーム。M7CL、LS9、02R96などを所有するヤマハデジタルコンソール・ヘビーユーザーの同社は、今回新たにCL5/Rioを中核としたDanteネットワークシステム一式を導入。その背景を取材させていただいた。
まずは則行社長に導入背景をお聞きした。「デジタルコンソールが当たり前の時代になり、次はネットワークの時代が来るという確信がありました。当社は、”cyberTEQ-m”スイッチを初めとする独TEQSAS社製品の国内輸入代理店ということもあり、ネットワークに対し高い意識を持っております。Danteネットワークを基幹とするCLシリーズには強い興味を抱いておりました。ネットワークオーディオであれば、いわゆるポイント・トゥ・ポイント(1:1)の伝送とは異なり圧倒的な拡張性があります。それが魅力であり、導入の一番の理由です」と語っていただいた。
実際に使用した際の使い勝手の部分をお聞きした。「CLシリーズの基本的な使い方は定番コンソールのM7CLと変わらないため、全く苦労はありませんでした。乗り込みのエンジニア様にもすんなり使っていただけますし、またConsole File Converterを使えば従来のM7CLなどで作られたデータも簡単に変換出来、やりとりがスムースです」「M7CLと大きく違うポイントはバンク構造を採用しているところですが、自分で使いやすいようにチャンネルポジションを自在にカスタマイズ出来るので、オペレートしやすいですね」(長屋氏)
2012年の発表以来、こま目なバージョンアップにより機能追加が行われたCLシリーズ。特にV1.5で追加されたインプットチャネルの-6dB/octのHPF(ハイ・パス・フィルター)は、地味ながら大きなポイントだったようだ。「何気なく使ってみたら、非常に良かったです。通常の-12dB/octのカーブですと、もう1ポイント使って膨らんだところを切りたくなるのですが、この-6dB/octであれば少し高い周波数から浅めにかけることで、PEQのポイントをセーブすることが出来ます。」(長屋氏)
株式会社ドリームが国内輸入代理店となっている、独TEQSAS社のスイッチ”cyberTEQ-m”。通常ドリームではRio*1台に対しcyberTEQ-m*1台をマウントし、FOH・ステージ上下にラックを配置して運用している。本来、リダンダント(二重化)配線を行うにはプライマリとセカンダリそれぞれのネットワークに対して独立したスイッチが必要となる。しかしcyberTEQ-mにおいては、1台のスイッチの中に仮想的な複数のネットワークを構築する「VLAN」がデフォルトで設定されており、半数のスイッチでリダンダントシステムを構築可能なのが魅力。またQoSの設定など、出荷時からDanteに最適化された形で提供されている。光メディアコンバータを内蔵したモデルを使用すれば、光ケーブルにて長距離伝送を行うことが出来るほか、スロットインに各種メディアコンバータモジュールの装着も可能である。
写真は、ドリームが輸入・販売を行うASL社製のアナログインカム。従来型のデジタル伝送システムでは、アナログインカム回線だけはマイクケーブルを別引きする必要があったが、cyberTEQ-mならばその問題も解決する。アナログインカムモジュールを装着すれば、インカム回線もオーディオ信号と同様にLANケーブルや光ケーブルに重畳させて伝送することが可能だ。
このように独自の取り組みで音響システムにおける「ネットワーク」の力を最大限活用しているドリーム。近年SRの現場では、音響知識だけでなく高いネットワーク・スキルが求められる時代に変化してきている。今後の展望として「CLの持つネットワークの利便性を活かし、様々なネットワーク・ソリューションや新しい技術を積極的に導入していきたい」と則行社長に語っていただいた。