【導入事例】大阪市立青少年センター KOKO PLAZA様 / 公共施設 / 大阪府
Japan/Osaka, Dec 2017
大阪市立青少年センター ホールマネージャー大西啓之氏(右)と音響スタッフの照島佳宏氏(中央)
大阪市立青少年センター KOKO PLAZAは音楽、ダンス、演劇などの練習や発表、さらに研修、講演会、会議など、さまざまなニーズに応える青少年のための施設です。
このたびKOKO PLAZAのホール(練習発表室)「エクスプレス・ココ」にデジタルミキシングコンソールCL5、照明ランプ LA1L(3台)、I/Oラック Rio3224-D(1台)、I/OラックRio1608-D(1台)、インプットラックRi8-D(2台)アウトプットラック Ro8-D(1台)が導入されました。
導入の経緯や実際の運用などについて、大阪市立青少年センター ホールマネージャーの大西啓之氏と音響スタッフの照島佳宏氏にお話を伺いました。
最初に大阪市立青少年センター KOKO PLAZAという施設について教えてください。
大西氏:
KOKO PLAZAは青少年のために作られた芸術に関する総合的な施設で、ホール、音楽練習室、音楽や映像の制作が行えるスタジオ、さらに会議室などもあります。
また9階から10階は宿泊施設(新大阪ユースホステル)となっています。
このたびCL5が導入された「エクスプレス・ココ200」はどんな用途で使われているホールなのでしょうか?
大西氏:
エクスプレス・ココ200は音楽、ダンス、演劇、講演会などが一通りできるように作られたホールです。
収容人数は230名ほどで、企業の説明会や入社式、研修、セミナーなどの行事でもご利用いただいています。
扱いやすい操作性とサポート体制、そして費用対効果の高さが導入のポイント
今回デジタルミキシングコンソールCL5が導入された理由を教えてください。
照島氏:
今までこのホールで使ってきたのは14年前のオープン時に導入した48チャンネルのアナログミキサーだったのですが、そのミキサーが生産中止となり、ついにパーツ供給も終わってしまったので、今後のことを考えて更新することになりました。
新たなミキサーの選定条件としてはどんなものがあったのでしょうか?
照島氏:
まずは操作性です。このホールは催し物によっては乗り込みのオペレーターさんが入ることがありますので、外部オペレーターの方が安心して使えることが大前提でした。
その点、音響の人間であればヤマハのLS9やM7CLは誰もが使ったことがあるメジャーな卓ですし、CL5の操作性はそのヤマハの流れを汲んでいますから、どなたでも戸惑うことなく使えると考えました。
操作性に加えて、他に選定条件はありましたか?
照島氏:
KOKO PLAZAは公共ホールという性格上、信頼性やサポート体制も重要な要素でした。
大西氏:
もしトラブルが発生しても催し物のスケジュールをとめるわけにはいきませんので、即座に対処しなくてはなりません。
その点サポート体制を考えるとやはり国内メーカーでしょうし、中でもヤマハさんは特にフットワークが軽いということで安心感があり、そのあたりも選定の決め手となりました。あとはコストパフォーマンスです
コスト面でもヤマハは強かったのでしょうか?
照島氏:
今回はミキサーだけの更新でしたので、既存の機器を生かすためにも48チャンネル以上のミキサーが必要でした。
いろんな候補はあったのですが、チャンネル数、拡張性、音響室のスペース、そして予算などを考え合わせると『帯に短したすきに長し』という機器が多かった中で、CL5はここの条件にぴったりあったミキサーでした。
大西氏:
それと、たまたまこのホールでヤマハさんのPAの製品発表会をやっていただいたのも大きかったんです。実際にここでデモしていただき、当館の運用にマッチしていることを確認できました。
ステージ脇から音響室までをDanteでデジタル伝送
KOKO PLAZAのオーディオシステムはどのような構成になっているのでしょうか?
照島氏:
このホールの一番の特徴は舞台袖に48チャンネル分のマイクスプリッターがあり、入力信号をホールと4階にあるレコーディングルームに分岐していることです。さらにパワーアンプも舞台袖に設置されています。
ですからステージ脇と音響室にI/Oラックを設置し、ステージ袖と音響室の間をDanteでデジタル伝送しています。Danteを採用したことで今まで使っていたアナログマルチケーブルや膨大なパッチ盤が不要になりました。
アンプがステージ脇にあるのでDanteによる長距離デジタル伝送のメリットが生かせますね?
照島氏:
はい。ステージから音響室を往復するアナログ回線の引き回しがなくなりましたのでノイズや断線の心配がなくなりましたし、なによりパッチ盤がなくなって音響室がずいぶん広くなりました。
また以前はアウトボード類も数多くありそれらがラックにぎっしり入っていましたが、CL5は質の高いエフェクターを内蔵したオールインワンミキサーなので、アウトボードも不要となり、ラックごと減らすことができました。
CL5に変わってミキサー自体も小型化したのでしょうか?
照島氏:
とてもコンパクトになりました。以前のアナログ卓は大きかったので、48チャンネルを全部使うような催し物の時はアウトボードラックを奥へ動かして使っていました。卓もラックもコンパクトになって音響室の作業環境はずいぶん快適になりました。
iPadでリモート操作ができ、お客さまとのコミュニケーションがとりやすくなった
実際にCL5を導入してみて、作業上どんな変化がありましたか?
大西氏:
CL5はデジタルミキサーなので一度設定したデータをメモリーして瞬時に呼び出すことができます。そのお陰で仕込みのスピードがずいぶん上がりました。
イベントは普通、仕込み→リハーサル→本番という流れなのですが、仕込みが早くなると今までギチギチだったスケジュールにも余裕が生まれ、我々も休憩が取れるようになりました。
照島氏:
1つの催し物の中でバンドがあって、ダンスがあって、おしゃべりもあるといういろんな要素が混在しているケースもありますが、そういう場合アナログ卓だと48チャンネルあっても足りないことがありました。CL5ならそういったケースもメモリー機能ですぐに対応できます。
また催し物によっては1週間前にリハーサルをすることもあるんです。今までだとリハーサルで決めたミキサーの設定を全部ノートにメモして一週間後にその設定を再現する作業がありましたが、CL5なら瞬時に設定を呼び出すことができます。
エンジニアは「ミキサーをいじってナンボ」ではなくて「音を作ってナンボ」だと思うんです。そういう意味では設定がスピーディーになった分だけ音作りに時間を割けるようになり、その結果として出音も良くなっていると思います。
メモリー機能のほかに、実際の現場で使ってみて便利だった機能はありますか?
照島氏:
私にとってはiPadでリモート操作ができるようになったことが大きなポイントでした。
1人でオペレーションすることが多いのですが、iPadがあれば音響室を出ても操作できるので、実際にステージに上がってモニターのEQや音量を調整したり、客席で出音のチェックも行えるので助かります。
モニターの音決めなどは、以前は音響室でやっていたわけですよね?
照島氏:
そうです。音響室とステージだと距離がありますから、以前はついつい音響室から大声で会話していました。でもCL5にしてからは私がiPadを持ってステージに上がれるので、演奏者の方と近くで会話できるようになりました。
実際にiPadでEQや音量を調整するのも見てもらえるので、コミュニケーションが円滑にとれるようになりました。iPad用のヤマハのアプリ「StageMix」も反応がいいので、非常に使いやすいです。
デジタル伝送としてDanteを使われていますが、実際に使ってみていかがでしょうか?
照島氏:
私自身は他の仮設の現場ですでにDanteを使っていましたし、他の多くの施設でもDanteを導入していたので不安はありませんでした。
KOKO PLAZAでのDanteの使い方もオーソドックスなものですから、乗り込みのエンジニアの方も抵抗感はないようです。
最後に、今後やっていきたいことなどはありますか?
大西氏:
CL5を使い始めてまだ1年目なのですが、今後が楽しみです。というのも、KOKO PLAZAでは定期的な催し物で利用してくださるお客さまも多いので、今年やったイベントのデータが、また来年使えるじゃないですか。
そうすると来年は今年の最終データから仕込みが始められますから、より短時間で、もっといいものができるはずだと期待しています。
照島氏:
せっかくDanteを導入したので、将来的にはDanteでアンプの管理や監視もしたいですね。音声もアンプコントロールもDanteで一括してできるといいなと思っています。
本日はお忙しいところお時間いただきありがとうございました。
大阪市立青少年センター KOKO PLAZA
URL:https://kokoplaza.net/