【導入事例】株式会社インフィールド 様 UDXカンファレンス UDXギャラリー / 東京
Japan/Tokyo, Mar 2018
先進の街、秋葉原で2006年にオープンした秋葉原UDXは、レストラン&ショップ、カンファレンス、イベントスペース、シアター、クリニック、駐車場など、あらゆる機能を持った秋葉原の新たなシンボルとも言える複合型オフィスです。その6階の貸し会議室「UDXカンファレンス」と4階のイベントスペース「UDXギャラリー」ではオープンから11年を経て改修が行われて2017年5月にリニューアルオープンし、デジタルミキシングコンソールTF1が計5台、シグナルプロセッサーMRX7-Dが計2台導入されました。その導入の経緯や選定理由について、施設の運営管理を担当されている株式会社インフィールド マネージャー⾚坂 拓也氏、そして映像・音響システムの設計を担当されたエスパテクノ株式会社 技術本部 エンジニアリング部 第3グループ 川島 英治氏にお話を伺いました。
まずUDXカンファレンス、UDXギャラリーについてご紹介いただけますでしょうか。
赤坂氏:
「UDXカンファレンス」がフォーマルな貸し会議室で、「UDXギャラリー」が大型イベントスペースです。広さはUDXカンファレンスが350平米くらいで天井高が2.85m、UDXギャラリーは725平米で天井高が4mほどあります。
UDXカンファレンス、UDXギャラリーはどのような用途で使われているのでしょうか。
赤坂氏:
UDXカンファレンスは主にセミナー、研修、会議などの用途で使われています。UDXギャラリーはイベントスペースとして、展示会やプレゼンテーション、セミナー、さらにケータリングを入れたレセプションなど、多目的にご利用いただいております。
今回の改修の目的はデジタルシステムへの切り替えとうかがいました。以前はアナログだったということでしょうか。
赤坂氏:
改修前は映像も音声もアナログでした。映像に関してはHDMIや16:9にも対応していませんでした。でもここは「秋葉原」ですから、お客様は最先端のものを求めてきます。そこで改修に際しては、そういった “ お客様の声 ” を反映させた、最新のデジタル機器を揃えるべきだと考えました。
川島氏:
音声に関して、改修前はアナログミキサー1台で対応しており、イベントにあわせて部屋を統合・分割する際にはアナログパッチを切り換えていました。もしミキサーを置いていない部屋で何かあれば、ミキサーを設置した部屋がイベントの最中だったとしてもスタッフが入っていかざるを得ません。
赤坂氏:
そういう事態は極力避けたいですから、いつも事前に回線チェックなどをしっかりと行っていました。そのため運用にはかなりの時間と労力がかかっていました。その点、改修後はデジタルオーディオネットワークであるDanteでシステムを構築していますので、ボタンを押すだけで瞬時に、そして確実に統合・分割などのシステムを切り換えることができます。
導入いただいたTF1とMRX7-Dのシステムについて教えていただけますか。
川島氏:
UDX カンファレンスの6部屋のうち、Room A、B、Cの3部屋にそれぞれTF1が入っています。そして3台のTF1はラウンジスペースにあるAV架のMRX7-DにDanteで接続しています。Roomを結合したA+B+Cを「シーン01」、A+BとCの2分割を「シーン02」、A、B、Cと3分割で使う場合を「シーン03」としてプリセットしてあり、MRX7-Dでシーンリコールを行うだけで瞬時にオーディオシステムが切り替わります。またUDXギャラリーも同様に、Type S、Type Nの各部屋に1台ずつ設置されたTF1がMRX7-DにDanteで接続しており、シーンリコールで部屋の統合パターンに合わせた音響システムに瞬時に切り替えられます。
デジタルオーディオネットワークにDanteを採用されたのはどのような理由ですか。
川島氏:
高品位なデジタル音声の伝送が行える最新技術、ということが第一です。過去にEtherSoundを扱ったことがあったので、最初はそれも考えました。しかし運用面でDanteがかなり安定してきていること、Dante対応のデバイスが安価になってきたこと、そしてなにより標準で機能のロスなくリダンダント接続で二重化できるという信頼感から、Danteを選択しました。実際運用中にトラブルが発生したことがありましたが、Secondary回線が機能して支障なく運用できたという実績もあります。万一の際でも大きなトラブルにならないように運用するために、Primary回線とSecondary回線を使って強固なリダンダントシステムが容易に構築できるDanteには大きなメリットがありました。
MRX7-Dを選定いたただいた理由を教えてください。
川島氏:
MRX7-Dを選んだ主な理由はTF1との親和性の高さです。また私自身が過去にDMEを数多く導入した経緯があり、使い勝手が良さそうだと思いMRX7-Dを導入しました。
ミキサーにTF1を選定いただいた理由をお聞かせください。
川島氏:
今回の改修は、ヤマハのTF1により実現した、と言ってもいいと思います。デジタル化に向けた改修計画が動き始めた2014年当初は、ミキサーにQLシリーズを中心としたシステムを検討しました。しかしコスト面や使い勝手の面で折り合いがつかず計画が頓挫しかけた経緯がありました。その後コストパフォーマンスが高く操作性の面で扱いやすいTF1が発売されたおかげで計画を練り直すことができ、その結果UDXカンファレンス、UDXギャラリーの計5部屋にTF1を導入することができました。
赤坂氏:
川島様のお話にもありましたが、改修は投資ですからコストは非常に重要な側面でした。この1、2年でデジタル映像機器を含めて、高機能でリーズナブルな価格の新製品が発売されてきましたので、当初の設計のこだわりを妥協することなく、改修計画を練り直すことができました。この改修によって秋葉原UDXというビルの資産価値を高めることができたと思っております。
実際にTF1を導入して、お客さまからの反響はいかがでしょうか。
赤坂氏:
機器を使うのは我々ではなくお客様なので、使い勝手が悪いと、いくら設備が整っていても「また使いたい」とは思っていただけません。ご利⽤いただく前にお客様に機材の使い方のオリエンテーションをするのですが、催事中などにお客様が操作に困る様子はありません。タッチパネルが搭載されている点も、お客様にとってわかりやすく・操作しやすいようです。
川島氏:
それとユーザーアカウント機能により、設定を変更されたくない操作⼦は触れないようにできる点も良いですね。こちらとしては触ってほしくないパラメーターについてはユーザーアカウントを設定することで一般のユーザー様にはアクセスできないようにしています。
今回TF1、MRX7-Dとヤマハ製品を導入いただきましたが、ヤマハを選んだ理由はありますか。
川島氏:
ヤマハさんのサポート体制の良さは機材を選定する上で重要な要素でした。実際、仕様検討の時期から導入後に至るまで、一貫して丁寧にサポートしていただきました。こちらの工期はわずか1週間と非常にタイトだったのですが、ヤマハさんのレスポンスの良さに助けられた面もありました。
赤坂氏:
これはカンファレンスの管理・運営も同じですね。私たちも「人」をすごく大事にしています。ヤマハさんのような⾳響機器のメーカーにしても、我々のような会議室を管理・運営する仕事にしても、結局は「人対人」だと思うんです。貸し会議室というサービスは差別化が難しいサービスですが、結局どこで選んでいただくかというと「人」ではないかと感じております。それらが、結果として高稼働と高いリピート率を実現しているんだと思います。
ありがたいことに、我々の会場のお客様は、リピート率が約8割なんです。「また使いたい」と思ってもらえる人であるか、会場であるか。私たちは「人=会場」というプライドを持って仕事に取り組んでいます。「いかに愛される会場を作るか」というところは、各スタッフがいつも気に掛けている点ですし、それはヤマハさんの信頼感の高いサポート体制と共鳴する部分だと思います。
本日はご多忙のところお時間をいただきありがとうございました。
秋葉原UDX
http://udx.jp/
株式会社インフィールド
http://infield95.com/
エスパテクノ株式会社
http://www.espa-techno.co.jp/