大規模なDanteネットワークでの多チャンネル長距離伝送に適した10Gアップリンクポートを新搭載
ヤマハ L2スイッチ『SWP2 シリーズ』
2019年2月
プロフェッショナルオーディオ機器の新製品として、オーディオネットワーク規格「Dante」を使用した機器の接続に最適なL2スイッチ『SWP2シリーズ』を2019年5月に発売します。
<価格と発売時期>
品名 | 品番 | 価格 | 発売時期 |
---|---|---|---|
ヤマハ L2スイッチ | SWP2-10SMF | オープンプライス | 2019年5月 |
SWP2-10MMF | オープンプライス | 2019年5月 |
関連オプション
ACアダプター | PA-700 | オープンプライス | 2019年5月 |
<製品の概要>
ホールやスタジアム、野外などで行われるライブコンサート用の音響システムでは、広大なステージや会場に設置された多くの機材を繋ぐためにオーディオネットワークの普及が進んでいます。当社は、2012年に発売したデジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」を筆頭に、Audinate社が開発し多チャンネルのデジタル音声信号を低遅延で送受信できる「Dante」を多くのプロオーディオ機器で採用し、オーディオネットワークの普及を牽引してきました。
一方、当社が1995年にルーター市場に参入して以来、中小規模ネットワーク・SOHOを中心とした多くの企業で当社のネットワーク機器が導入されてきました。なかでもスイッチ製品は、ネットワーク管理者の保守・管理の負担を軽減できる「ネットワークの見える化」で高い評価を獲得しています。
このたび発売する『SWP2シリーズ』は、「Dante」に最適化したオーディオネットワークシステムの設定・運用がより便利に行えることで評価を得た「SWP1シリーズ」の操作性と信頼性を維持しつつ、新たにopticalCON端子の10Gアップリンクポートを2ポート標準搭載したL2スイッチです。サンプリング周波数を96kHzに設定した「Dante」ネットワークにおいても、帯域不足による音声の途切れや遅延を回避し、長距離伝送でも安定した通信を実現します。
詳細は、以下の通りです。
主な特長 – L2スイッチ『SWP2シリーズ』
1. より高速な10Gアップリンクに対応
『SWP2シリーズ』はより高速な10Gアップリンクポート※をopticalCON端子で2ポート標準搭載しました。1Gの速度では48kHz時のDanteネットワークで512chの伝送が可能ですが、96kHz時には半分の256chになります。また、基幹配線となるスイッチ間接続においては、多くのDante機器の信号が行き来するため、96kHz時の大規模なDanteネットワークでは帯域が不足する場合があります。そういった場合に、10Gアップリンクポートを基幹配線で使用することで、そのような帯域不足を心配せずに運用することが可能となります。
※10ギガビットイーサネット(10Gbps)のリンクポート。1ギガビットイーサネットの10倍の速度をサポートしています。
2. Danteの推奨設定を用意
より安定したDanteネットワークを構築するためには、スイッチの設定を“「Dante」に最適化”する必要があります。インテリジェントスイッチを使用することで必要な設定を行えますが、これらの設定はネットワークに精通したIT技術者でなければ難易度が高いのが実情です。『SWP2シリーズ』は、Danteネットワークを安定動作させるための推奨設定(QoSやIGMP Snooping最適化、EEE無効化など)をディップスイッチ1つで設定できます。
3. 設置柔軟性を高める長距離伝送に対応
『SWP2シリーズ』は、マルチモードファイバー対応の『SWP2-10MMF』、シングルモードファイバー対応の『SWP2-10SMF』の2モデルをラインアップ。端子には仮設用途でも安心のopticalCONを2ポート標準搭載し、100mを超えるスイッチ間の長距離伝送をサポートします。また、この2ポートを光配線し、リンクアグリゲーションを設定することで基幹回線の2重化が可能になり、スパニングツリー(MSTP)による冗長化にも対応します。
4. ネットワーク内の通信を切り分けることができる3タイプのVLANプリセットを内蔵
「StageMix」を使用した機器の遠隔コントロール目的やネットワークの有効活用をしようとした際に、スマートデバイスなどの機器をDanteと同じネットワークに接続することがあります。その場合、VLAN機能を利用してネットワーク内の通信を切り分ける必要があります。『SWP2シリーズ』は、3 タイプのVLAN プリセットを内蔵し、これらをディップスイッチで簡単に切り替えることができます。また、USER モードでカスタマイズしたVLAN 設定を行うことも可能です。
5. ネットワークの可視化
専用のWindows アプリケーション「Yamaha LAN Monitor※」を使用することで、ネットワーク負荷、スイッチの状態、Dante 固有のデバイス情報といったDanteネットワーク全体を管理するための情報を1 画面に集約し、可視化することができます。通常の状態をスナップショットしておけば、この状態から変化があった場合にアラートを出すことができるので、問題が発生してもすぐに原因究明して対策することが可能です。また、どの端子がどのVLANに属しているのかを『SWP2シリーズ』本体のインジケーターでも確認できます。
※Yamaha LAN Monitor V1.3.6 以上に対応
6. 安心・安全を支えるハードウェア
ケーブルが抜けやすい仮設環境も想定し、etherCONやopticalCON端子を搭載しました。電源部ではVロック対応のAC IN端子を採用しています。また、XLR-4-32タイプのEXT DC INPUT端子も装備し、オプションのACアダプター『PA-700※』など対応する外部電源(+24V)を供給することで、電源の2重化にも対応します。
※『PA-700』はEXT DC INPUTを持つ「SWP1シリーズ」、I/Oラック「RSio64-D」にも使用可能です。(スタジオモニターマネジメントシステム「MMP1」は非対応)