【導入事例】JRタワーホテル日航札幌 様 / ホテル / 北海道
Japan / Sapporo Apr. 2019
JR札幌駅直結という抜群の便利さと、リゾートのような寛ぎを満喫できるJRタワーホテル日航札幌。その36階にある「たいよう」は約155mの高さから札幌市街を一望できるスカイバンケットルームで、宴会、会議など様々な用途に対応しています。このたびスカイバンケットルーム「たいよう」にマトリクスプロセッサー「MTX3」とスピーカーシステム「VXSシリーズ」「VXCシリーズ」を中心としたヤマハのサウンドシステムが導入されました。その導入の経緯について、JRタワーホテル日航札幌 料飲支配人 鳴海博喜氏、プランニング、施工を担当されたケイズサウンド株式会社 品田康貴氏、永田菜々美氏にお話をうかがいました。
(左)JRタワーホテル日航札幌 料飲支配人 鳴海博喜氏
(中央)ケイズサウンド株式会社 品田康貴氏
(右)永田菜々美氏
JRタワーホテル日航札幌のコンセプトについてご紹介いただけますでしょうか。
鳴海氏:
JRタワーホテル日航札幌は2003年に開業したホテルで、4つのショッピングモールと百貨店、映画館、医療施設などで構成される札幌のランドマークともいえるJRタワーの一部です。ホテルのコンセプトは「さっぽろスカイリゾート」です。JR札幌駅真上の市街地にありながら、北海道らしいリゾートのくつろぎを味わっていただけるようなおもてなしをコンセプトとしています。たとえば22階に天然温泉のスパがありますが、これは札幌駅南口の地下から汲み上げたものです。駅の真上の22階にある天然温泉スパというのは、他ではなかなか味わえないと思います。また、客室も23階から34階に位置しており、客室の窓からは雄大な山並み、美しい夜景、日本海など、札幌ならではの風景がご堪能いただけます。
スカイバンケットルーム「たいよう」はどのように使われている場所なのでしょうか。
鳴海氏:
中央での分割が行える304平米のバンケットルームで、様々な用途に対応しています。会食のご宴会、たとえば結婚式や立食パーティなどですね。また会議、セミナーなどの用途でもお使いいただいています。
また1年に5回、音と食を発信するホテルのイベントとして「摩天楼音食倶楽部」を開催しています。「音楽」「食事」「札幌の夜景」の3つの要素が味わえるイベントで、ドレスコードがありまして、お客様にはドレスアップしてきていただきます。音楽は主にジャズで、ジャズピアニストの大西順子さんなどにもご出演いただきました。100名限定で行っていますが、70名ほどのお客様がリピーターで、毎回楽しみにしていただいています。
JRタワーホテル日航札幌 飲料支配人 鳴海博喜氏
結婚式から会議、コンサートまでまさに多目的に活躍しているバンケットルームなのですね。そのほかに特長はあるのでしょうか。
鳴海氏:
このバンケットルームは36階ということで、ご覧のように三方が窓に面しています。北海道は四季の色彩が楽しめますので、窓から見える眺望を効果的にアピールできるような使い方をしています。
バンケットルーム「たいよう」の音響システムについておうかがいします。今回ヤマハの機器を導入されたのはどうしてですか。
鳴海氏:
オープンから15年を経て、我々現場側として、音響面で使い勝手があまり良くない面もありましたし、お客様からのニーズにも十分に応えられていなかったケースもあったので、機材の更新をしようということになりました。機材選定と施工はジャズイベントやその他の催事でも音響全般をお任せしているケイズサウンドさんにご相談し、施工後のアフターフォローも含めお願いしました。
品田氏:
ホテル側からの要望としていただいたのが、会場の分割を簡単にしたいということ、さらにホワイエにも音を流したいとういことがありました。今までも音響の分割はされていたのですが、アナログ回線でしたし、切り換えは別の場所にあるアンプ室にあり、それも不便だということでした。それでヤマハのシステムで、確実で、かつ簡単に操作ができるシステムをご提案しました。
具体的にはマトリクスプロセッサーMTX3を核としたシステムを提案しました。決め手は設定が柔軟に行えることと、施工のしやすさでした。拡張性に関してはMTX3ならLANケーブル1本でシステムが拡張でき、追加も容易です。分割の切り換え作業に関してはデジタルコントロールパネルDCP4S-USを使うことで、スイッチ操作でどなたにでも簡単に操作ができるようにしました。
ケイズサウンド株式会社 品田康貴氏
(左)バックヤードの音響ラックに設置されたマトリクスプロセッサーMTX3
(右)デジタルコントロールパネルDCP4S-US
MTX3は以前にもお使いになったことはありましたか?また、アンプにはXMV8140とXMV4280をご採用いただきましたが、いかがでしたか。
品田氏:
MTX3を触ったのは、実は初めてでしたが、すぐに使えました。オフラインでも使える点などが馴染みやすく、気が利いたソフトだなと思いました。自由にルーティングが組めて、エディターも使いやすく、文字を日本語で入れられるのも良かったです。ホテルなどでは特に漢字表記の会場名が多いため、漢字表記はとても作業しやすかったです。
XMVシリーズは省電力でありながら、バンケットや商業施設に最適な出力が出せて、しかも操作性も良いと思います。設備用途でありながら、フロントパネルで音量の操作できるメリットは大きいですね。しかもMTX3とYDIF接続でき、エディターでプロセッサーと一括管理できるのも非常に便利だと思いました。
パワーアンプXMV8140とXMV4280
スピーカーについてはシーリングスピーカーのVXC4WとVXS8Wをご採用いただきました。
品田氏:
ヤマハには大小さまざまなサイズのスピーカーがラインナップしていて、いずれもコストパフォーマンスに優れています。サーフェスマウント型のVXS8Wでは主にBGMなどの音楽を再生していて、声の拡声は主にシーリング型のVXC4Wを使っています。以前は声と音楽は分けずに再生していましたが、VXS8Wは低音がよく出ますので、こちらを音楽専用としました。
鳴海氏:
素人感覚ですが、いままでは音がちょっと歪んでいたように感じていましたが、ヤマハに入れ替えて歪みが解消されたように思います。
左側にサーフェスマウント型のVXS8W、天井にはシーリング型のVXC4W
設置の作業を実際にオペレーションなさっている永田様はいかがでしたか。
永田氏:
ヤマハはスピーカー自体が軽いので、取り扱いやすかったです。スピーカーの角度調整も、一人が角度を調整して、もうひとりがカバーエリアを確認しながら設定していきました。天井内部の構造は場所によって様々で、スピーカーを取り付ける際の制限がありますが、ヤマハのスピーカーは簡単に設置できました。
ケイズサウンド株式会社 永田菜々美氏
スピーカーのデザインに関してはいかがでしょうか。
鳴海氏:
このバンケットルームは空間を大事にしていますので、あまりスピーカーが主張しすぎるのはよくないと思っていました。ヤマハは白のモデルがありましたし、色味もここの天井と合っていたので、ちょうどよかったと思います。
品田氏:
ヤマハのスピーカーは、見た目としては「ここにスピーカーがあります」という存在感が強いわけではありません。その控えめなところがこの空間にマッチしていたと思います。それでいてカバーできる音場が広いので使い勝手がいいと思います。また今回は色味があっていたのでフェイスグリルの塗装はしませんでしたが、内装によっては塗装可能なので、その点も大きなプラスとなると思います。
実際にヤマハの音響機器を使ってみて、感想をお聞かせください。
永田氏:
私はバンケットの音響システム更新の施工も行い、ここで音響オペレートをすることもありますが、常に安定した動作で安心して作業ができるので良かったと思っています。
品田氏:
ヤマハの機器は音質が良く、コストパフォーマンスに優れていると思いますが、私たちがヤマハを提案した理由は安定性や信頼性にもありました。ホテルのバンケットルームは大切な催し物を行う場所ですから「音響の機材が壊れて使用できない」ということは、絶対あってはならないわけです。その点、ヤマハは国内メーカーですから信頼性も高く、バックアップ体制もしっかりしています。それに私たち自身もヤマハ製品であれば故障したとしても次の日には修理できる体制を持っています。そんなこともあり、今回ヤマハのシステムをプッシュした、という経緯もありました。
鳴海氏:
おっしゃるとおり、我々ホテルのバンケットルームでの催し物は、およそ2時間という枠組みの中で、なにごともなく、つつがなく終わるのが当たり前なのです。その一要素としての音響機器ですが、今回使いやすいだけでなく、信頼性の高い機器を導入していただきましたので、今後も安心してお客様をお迎えできると思います。
本日はご多忙の中、ありがとうございました。
JRタワーホテル日航札幌 : https://www.jrhotels.co.jp/tower/
ケイズサウンド株式会社 : http://kssound.net/company/