【導入事例】水上印刷株式会社 様 / オフィス /東京
Japan/Tokyo Nov.2020
東京都新宿区、タワーマンションが建ち並ぶなど再開発がめざましい西新宿の一角にある水上印刷株式会社。印刷を基盤としながら、コンサルティング、コンテンツ制作、ICTシステム設計、製造、フルフィルメント、ロジスティクスなど、顧客のニーズに自社一貫体制によるフルサービスを展開する会社です。2020年7月には、長年のビジネスモデル変革の集大成ともいえる新社屋が竣工。その社屋にヤマハのマトリクスプロセッサー「MTX5-D」、シーリングスピーカー「VXC4W」「VXC2FW」、パワーアンプ「XMV8280-D」、デジタルコントロールパネル「DCP4V4S-US」、ページングステーションマイクロフォン「PGM1」が導入されました。
その機材選定の理由と使い勝手などについて、水上印刷株式会社 代表取締役社長 河合 克也氏、同社 管理本部 良い設計良い流れグループ インフラチーム チーフ 横田 進太郎氏、音響設計・施工に携わった株式会社USEN ICT Solutions(USEN-NEXT GROUP)サウンドデザイン部 営業課 課長 高橋 竜一氏とUSEN-NEXT HOLDINGS コーポレート統括部 USEN広報担当部長である清水 さやかさんにお話をうかがいました。
社屋の建て替えプロジェクトはビジネスモデル変革のシンボル
まず水上印刷株式会社についてご紹介いただけますでしょうか。
河合氏:
水上印刷株式会社は社名の通り生業は印刷業です。ただ昨今のデジタル化の波の中で業態変革をしなければ生き残れない時代となり、ここ15年ほどかけて変革を行ってきました。現在は「360度フルサービスカンパニー」、つまりお客さまの「面倒くさい」を全て引き受けるというスタンスで多様な業務を行っています。実際のところ印刷の売り上げは3割程度で、現在は印刷以外の分野を伸ばしており、おかげさまでこの10年ぐらいで売り上げが3倍になりました。中心はプロモーション販促の分野ですが、企画、マーケティング、デザイン、製造、フルフィルメント、ロジスティクス、ICT、ITという全ての領域を「自社一貫体制」でカバーしています。
新社屋を拝見しましたが、たしかに普通の印刷会社には見えませんでした。この新社屋のコンセプトを教えてください。
河合氏:
ビジネスモデルの変革のシンボルが今回の本社ビル建て替えのプロジェクトでした。コロナ禍の最中でもあり、このタイミングでオフィスの建て替えが本当に必要なのか悩むところはありましたが、今後もオフィスワークがゼロになるわけではなく、リモートワークとオフィスワークのハイブリッドとなるのだろうと考え、新しい時代にふさわしいオフィスを目指しました。
オフィスでの仕事は、リアルに対面し時間を共有しての協業ですから、それを意識できるように「五感」にこだわりました。「視覚」は壁面に全面ガラスを多く採用し、明るくて見通しの良いオフィスにしました。「嗅覚」については、お気づきになられたかもしれませんが館内にオリジナルのアロマを焚いています。「味覚」では1階に「Bar 5 o'clock」というバーを作りました。夕方5時以降は社員も、来客の方々も無料で飲料を提供するバーです。また屋上にはグランピング的なバーベキュー施設も用意しました。「触覚」についてはオフィス用の家具を含めて質感にこだわったものを選んでいます。
河合氏:
そして「聴覚」は、ヤマハさんの機器を使って執務中にUSENさんのBGMを流しています。執務中、オフィスも会議室も、打ち合わせ場所やプレゼンテーションラウンジも含め、全館でBGMを再生しています。これは弊社担当の横田が強くこだわったところで、私はそれに乗っかったというのが本音ですが。横田は本職DJですから(笑)。
オフィスでの生産性を上げるため社内全室でUSENのBGMを採用
では横田さんにうかがいます。どうしてオフィスでのBGMにこだわったのですか。
横田氏:
もともと新社屋には、後でお話しするプレゼンテーションラウンジでの音響機器や全館呼び出し設備も必要だということで、USENさんにお邪魔していろいろご相談しました。その時オフィスにBGMが流れていたのですが、集中力が高まるなどさまざまな効果が期待できるというお話があったので、ぜひ導入したいと思い社長に相談しました。
なぜBGMをオフィスに流したいと思ったのですか。
横田氏:
私たちのチームは開発やSE系の仕事をしていますが、自分の仕事に集中したい時はイヤホンで音楽を聴く人もいます。それなら全館でBGMを入れてみたいと思いました。
河合氏:
弊社でも特にICT部門で開発に関わる人や、デザインやクリエイティブ領域の人たちは、作業に没入することが非常に重要になります。音楽で脳に刺激を与えながら仕事をするのは良いことなのだろうなと思い、導入を決めました。
USENの広報を担当している清水さん、オフィス向けBGMの営業をする高橋さん、オフィスにおけるBGMのニーズは高まっているのでしょうか。コロナでオフィス不要論などもあるようですが。
清水氏:
確かに、コロナ禍でオフィスを縮小する動きも出ている中ではありますが、実はオフィスでのBGM需要は右肩上がりに高まっているんです。オフィスがある意味をもう一度見直している会社が増えているという言い方が正しいかもしれません。
高橋氏:
そうですね。不安払拭やストレス軽減効果を狙っての導入が多く、今全国で6万9000社のオフィスにUSENのBGMを入れていただいています。
プレゼンテーションラウンジでの統合・分割、全館でのBGM再生とページングのためにプロセッサー「MTX5-D」を導入
新社屋の音響システムについて教えてください。
高橋氏:
音響システムについては、プレゼンテーションラウンジではマイクを使いたい、しかもスペースの分割・統合を行いたいという要望がありました。加えて、全館での呼び出しもしたい、また全室でBGMを流したいが、フロアごと、部屋ごとに音量調節がしたい、という多彩な要望がありました。
これらの要望にお応えするためにどうすればいいのか、いろいろ調べる中で、プロセッサーが必要だということに行き着き、ヤマハさんにご相談したんです。ご担当からの丁寧なアドバイスもあって、マトリクスプロセッサー「MTX5-D」を中心とした音響システムを構築しました。
高橋氏:
再生系に関してはオフィスや会議室でのシーリングスピーカーには広い指向角でBGMを均一に再生する「VXC2FW」を、スピーチの拡声も行うプレゼンテーションラウンジでは高耐入力の「VXC4W」を使いました。増幅はパワーアンプリファイアー「XMV8280-D」1台で全館のスピーカーを駆動しています。そして全館呼び出し用にはページングステーションマイクロフォン「PGM1」、ページングステーションエクステンション「PGX1」を4階の総務に設置しています。
1階のプレゼンテーションラウンジでの空間の統合、分割はどう行うのですか。
横田氏:
1階の壁面に設置したスイッチを押すだけで、簡単に切り替えられるように設定していただきました。イベントの規模や趣旨に応じて主に総務が操作することが多いのですが、誰でも簡単に操作できます。
デジタルオーディネットワークDanteを採用したのはどういう理由ですか。
高橋氏:
音声のインターフェースが、マイクを使う1階のプレゼンテーションルームと、アナウンス用マイク「PGM1」とBGMの再生機がある4階という離れた場所にあります。これをアナログ回線で引き回すのは費用も手間もかかりますので、LANケーブル1本で接続でき、長距離伝送でも音質が劣化しないDanteを採用しました。1階と4階にそれぞれL2スイッチ「SWR2100P-5G」を設置し、スイッチ間とプロセッサー、アンプ間をDanteネットワークで構築しています。
BGMの活用でオフィスを快適で人が集まりやすい場所に
新社屋になって2ヶ月ほど経ちましたが、音響システムの使い勝手はいかがでしょうか。
河合氏:
プレゼンテーションラウンジは非常に音がいいと思います。私たちは「日本一勉強する会社」を目指していて、社員のための研修や講習会を日常的に開催していますので、おかげでいい環境が作れたと思っています。またBGMに関しても、実際に効果があると感じましたので、隣接している水上印刷2号棟の「ANNEX」、そして田町にあるもうひとつの拠点「T-site」でもUSENさんのBGMを導入しました。
高橋氏:
私どもも竣工後に新オフィスにうかがったとき音響システムのサウンドが非常によいと思いました。オフィスでのBGMという用途に対しヤマハさんの「VXC2FW」のナチュラルでフラットなサウンド、そして指向角の広さが非常にマッチしており、ベストな機種選定だったと思いました。
音響機器の運用面はいかがでしょうか。
横田氏:
とても使いやすいです。特にプレゼンテーションラウンジでの部屋の統合・分割の設定やボリュームの設定、研修が終ったらBGM再生に戻す、といった切り換えが簡単にできるのでありがたいです。またBGMに関しても時間帯ごとに自動的にチャンネルが変わるように設定してもらったので、こちら側の手間はまったくかかっていません。
高橋氏:
USENのBGMは、タイマー登録ができるので、自動的に朝8時になったらこのチャンネルを再生する、あるいは時間帯ごとにチャンネルを自動的に切り換える、といった設定が行えます。水上印刷さんも、時間によってチャンネルが自動的に切り替わるように設定しています。
プレゼンテーションラウンジではマイクが4本使用できるようになっていますが、複数の方が同時に話した際にもハウリングが発生しないよう、「MTX5-D」に搭載されている「Dugan Automixer」を活用してハウリングマージンを一定に保つようにしています。
横田氏:
PCに「ProVisionaire Control KIOSK」というソフトウェアを入れてもらいましたが、これは音響システム全体の管理と操作が行えるもので、弊社のユースにあわせてカスタマイズした操作画面を作っていただきました。一画面で館内全ての音響システムの状況がわかって非常に便利です。また音響システムを一括してミュートできるボタンも作っていただきました。これも助かります。
新社屋で新たなスタートを切った水上印刷ですが、今後どのような会社にしていたいとお考えですか。
河合氏:
会社も含めて現代社会ってストレスとの戦いだと思うんです。ですから会社経営の観点からも、できるだけストレスを軽減する環境が大切だと感じていますし、ひいてはそれが人材の定着率にも関係してくると思います。我々の一番の資産は、やっぱり「人」なんです。ですから働く環境の整備、研修などの教育機会の確保など、あらゆる角度から人が活躍できる場づくりに力を入れていきたいと思います。コロナ禍がきっかけとなり今後はある程度リモートワークが増えてくる。そうなると、オフィスで直接コミュニケーションをとる時間は贅沢なものになるでしょう。だからこそ行くのが楽しいオフィス、ここに集まりたいと思えるような会社にしていきたいと思っています。
横田氏:
音響面では、楽器演奏ができる社員もいますので、プレゼンテーションラウンジで簡単なライブ演奏ができるようになれば…という思いもあります。また、先日屋上で社内バーベキューを開催したのですが、やはり音楽があればいいなと思いました。場所柄あまり大きな音は出せませんが、検討したいと思います。
本日はお忙しいところ有難うございました。
水上印刷株式会社
https://www.mic-p.com