【導入事例】ホテルグランバッハ東京銀座 様 / ホテル・レストラン / 東京

Japan/Tokyo Jan.2022

『食と音楽を通して癒しと感動を提供する』ことをコンセプトに、熱海、京都、仙台にてホテルを展開してきたホテルグランバッハ。2021年11月、その“音楽”と“食”への思い入れを一段と深めた新たなホテルを東京・銀座にオープンしました。音響設備として導入されたのは、シーリングスピーカー「VXCシリーズ」、ラインアレイスピーカー「VXL1B-8」、サブウーファー「VXS10ST」など。さらに、144の客室すべてにサウンドバー「YAS-109」を設置しています。

その背景にはどのような意図があったのか、ホテルグランバッハ東京銀座の総支配人であり総料理長でもある佐藤敏浩氏と、音響システムの設置・調整といった実務をマネジメントされた株式会社グリーンホスピタリティーマネジメント(取材時所属)の鈴木岳氏にお話しをうかがいました。

ホテルグランバッハ東京銀座 総支配人・総料理長 佐藤 敏浩氏
ロビー階に備えられたヤマハの自動演奏機能付きピアノ「S6X-ENPRO」とともに

『食と音楽を通して癒しと感動を提供する』
その深化形としてこだわりぬいた“音”と“音楽”

“グランバッハ”という名称は、“音楽の父”と呼ばれるJ.S. バッハに由来するそうですね。

佐藤氏:
ホテルグランバッハは、既存のホテルやリゾート施設などの運営支援を数多く手がけてきた株式会社グリーンホスピタリティーマネジメントが自社ブランドとして展開しているホテルです。“グランバッハ”という名には、バッハの音楽のような美しい調和、静謐と洗練、品格と心地よさを兼ね備えることで心に響く出会いを提供するとともに、音楽と家族に深い念を抱いていたバッハと同じように、お客さま一人ひとりに喜ばれる“念(おも)い”にあふれたホテルでありたいとの理念が込められています。生演奏をお楽しみいただくなど、“食と音楽による癒しと感動”の追求を深めてきました。

そして、ここ東京銀座では、『バッハとウェルネスキュイジーヌで心身が癒されるステイ』をコンセプトにさまざまな企画を展開されるのだとか。

佐藤氏:
このコンセプトを定めたことで、音と音楽にかける思いはさらに深まりましたね。館内に流れるBGMは、ほぼJ.S. バッハの作品です。時間帯や季節によって趣が異なり、それぞれにふさわしい楽曲でお客さまを静謐な環境へと誘います。1階と2階に導入したヤマハの音響システムと、全客室に装備したヤマハのサウンドバーは、そのために不可欠なものでした。また、2階のフロントロビーに備えたヤマハの自動演奏機能付きピアノは、無人でただ演奏させるだけでなく、演奏中の映像と同期再生させたり、ピアニストによるライブ演奏を客室のサウンドバーでお楽しみいただくなど、これまでにない“音”の体験につなげていきたいと考えています。

フロントロビーでひときわ存在感を放つヤマハ ディスクラビア™「S6X-ENPRO」

内装デザインとの協調で、天井や壁面に溶けこむようなスピーカー設置が実現

ホテルエントランス(左)からレストラン『Wald Haus』の入り口(正面)に設置されたシーリングスピーカー「VXC6W」

ホテルは地上15階建てで、3階以上が客室です。レストランが置かれた1階は、BGMの再生が中心とのことですね。

佐藤氏:
レストラン『Wald Haus(ヴァルト ハウス) -森の家-』では、心まで元気になる美味しい“癒し”として、美味しさと栄養バランスを追求した“ウェルネスキュイジーヌ”を提供します。『Wald Haus』ならではのメニューを、お客さま同士の会話、そして私たちホテルスタッフとの会話を楽しみながらご堪能いただきたい。そのためにも、レストランに流れる音は耳に心地よいものであってほしいのですが、ヤマハのこのスピーカーはその期待にしっかり応えてくれています。

銀座みゆき通りに直結する専用の出入り口も設けられているレストラン『Wald Haus』
4台のシーリングスピーカー「VXC6W」からバッハの音楽が心地よく聴こえてくる

音響システムの設置や調整といった実務のマネジメントを担当された鈴木さんにお訊きしたいのですが、使い勝手はいかがですか?

鈴木氏:
文句のつけようがないですね。操作性がよく、アンプはキャッシャーなども置いているラッピングカウンターの下段に収めていますが、日常的な操作は壁面の外付けコントロールパネルで済んでしまいます。

カウンター下段に収められたパワーアンプリファイアー「MA2120」(左写真)と壁面のデジタルコントロールパネル「DCP1V4S-US」
実務面のお話を聞かせてくださった 株式会社グリーンホスピタリティーマネジメント(取材時所属)の鈴木 岳氏(左)と佐藤 総支配人

レセプションカウンターのある2階には、FGM(フォアグラウンドミュージック)としての音楽再生も想定されることから、ラインアレイスピーカー「VXL1B-8」とサブウーファー「VXS10ST」が導入されています。でも一見したところ、スピーカーがどこに設置されているのかわかりませんね。

佐藤氏:
導入するスピーカーのプランが内装デザインの企画段階でほぼ固まっていたこともあり、内装とロゴデザインをお願いした株式会社240designstudioさんがスピーカーの形状や特性をうまく生かした意匠を考えてくれて、天井や壁面にそれとわからないように設置することができたんです。ヤマハ製スピーカーの音質のよさは想像以上で、どこからともなく聴こえる音につつみ込まれる心地よさは格別です。

フロントロビーからバーラウンジにかけての広い空間
天井の細い溝がある意匠は、ラインアレイスピーカー「VXL1B-8」の形状から生まれたもの
ボードルーム「『Wald Tür』(ヴァルト トゥール) -森の扉-」のラインアレイスピーカー「VXL1B-8」は天井パネルの裏に配置
格子状のパネルの隙間から音がふりそそぐ
壁面キャビネットの内側にうまく格納されたサブウーファー「VXS10ST」

2階に導入されたラインアレイスピーカー「VXL1B-8」とサブウーファー「VXS10ST」について、設置や調整に立ち会われた鈴木さんの印象を教えていただけますか?

鈴木氏:
「VXL1B-8」は非常にスリムでコンパクトながら十分な音量と優れた音質で再生可能とのことなので、空間の広い2階フロアに打ってつけだと思います。また、サブウーファーを併用したことで音に広がりが出て、BGMのバッハの曲も、より心地よく感じられます。一方、同じ2階のボードルーム「『Wald Tür』(ヴァルト トゥール) -森の扉-」は、オープンキッチンを併設していますので、いわゆる会議室としてだけでなく、シェフが皿を仕上げる様子を目の当たりにしながら料理を召し上がっていただけるダイニングルームや、食にまつわるセミナーの会場などとしてもご利用いただけます。立席であれば30名様ほどのパーティーにも対応できますので、明瞭にと拡声してくれるラインアレイスピーカーを導入したのは正解でした。また、壁面コントロールパネルを3カ所に配置しているので、仕切りによって2室に分けたときもそれぞれのエリア内で音量調整などが操作でき、利便性が確保されています。

ボードルーム『Wald Tür』に併設されたオープンキッチンでは、シェフの手もとが大画面に
『Wald Tür』ではデジタルコントロールパネル「DCP1V4S-US」を3カ所に導入

2階フロアの音響システムを支える機材は、フロントロビーの壁面キャビネットの内側に格納されています。ここにマウントされているのは、2Fフロアの全スピーカーを担うパワーアンプリファイアー「XMVシリーズ」と、映像など各種再生装置の音声をとりまとめるマトリクスプロセッサー「MTX3」です。

鈴木氏:
一見すると複雑なシステムのようですが、マトリクスプロセッサー「MTX3」でプリセットパターン化されていますので、日常的な調整は壁面コントロールパネル「DCP1V4S-US」で十分対応可能です。シチュエーションに合わせて音以外の映像装置も同時に操作したいときには、AMX社のタッチパネル操作で行います。専門知識のないスタッフでも事前のレクチャーのみで容易に操作できるのがいいですね。

フロントロビー壁面キャビネットの音響機材ラック
ラックに格納されているのは、パワーアンプリファイアー「XMVシリーズ」、マトリクスプロセッサー「MTX3」、インプットエクスパンダー「EXi8」など
AMX社のタッチパネルで映像・音声・BGMなどを一括コントロール
ラック右手の棚の奥にはデジタルコントロールパネル「DCP1V4S-US」も

全客室にヤマハのサウンドバー「YAS-109」を装備
ディスクラビア™とのリンクで客室にいながらライブ鑑賞も

全客室のサウンドバー「YAS-109」は、どのような使われ方をされるのでしょう?

鈴木氏:
チェックインしたお客さまが客室のドアを開けると、サウンドバーからJ.S. バッハの名曲『G 線上のアリア』が流れるとともに、ロールスクリーンが自動的に巻き上がり、お部屋の中へと誘う『ウェルカム・メッセージ』と名づけた演出をご用意しています。バーチャル3Dサラウンドモードによって、前後左右だけでなく、高さ方向からの音場も再現されるので、音楽の世界観にたっぷり没入できると思います。

最上階にあるスイートルーム(83㎡)では、ダイニングリビング(左写真)とベッドルームの2カ所でサウンドバーの臨場感あふれる音を楽しめる
クラシックソムリエの田中泰氏が選曲したバッハの作品(20曲)を客室のBGMとしてサウンドバーで聴けるという贅沢な演出
音楽やバッハを感じさせるオブジェの数々が客室に彩りを添える

フロントロビーでは、時間帯によって、ヤマハの自動演奏ピアノ「ディスクラビア™ ENSPIRE PRO 〈S6X-ENPRO〉」による音楽も楽しめるのですね。

佐藤氏:
じつは、将来有望な若手アーティストたちに、この場所、このピアノで演奏していただいて、鍵盤やペダルの動きを演奏データとして記録するとともに演奏風景を録画する、というオペレーションを開業前から進めていて、すでに10人以上、30曲を超えるアーカイブができています。この演奏データと演奏風景の録画再生を同期させると、映像の中の人があたかもこのピアノで演奏しているかのように感じられて、とてもユニークな音楽体験をお楽しみいただけます。
このピアノを使ったサロン・コンサートも、定期的に開催しています。アーティストと親密なひと時をお過ごしいただきたいと考えています。なお、サロン・コンサートのライブ映像は、サウンドバーの上質な音とともに各客室でもご鑑賞いただけます。

こちらのホテルならではの“ウェルネスキュイジーヌ”も相まって、肥えた耳、肥えた舌をお持ちの多くのお客さまがきっと何度も訪れたくなることでしょう。ご多忙の中、貴重なお話をお聞かせいただき、どうもありがとうございました。

ホテルグランバッハ東京銀座 <公式>
https://www.grandbach.co.jp/ginza/

製品情報

シーリングスピーカー VXCシリーズ
ラインアレイスピーカー VXL1B-8
サブウーファー VXS10ST
パワーアンプリファイアー MA2120XMVシリーズ
マトリクスプロセッサー MTX3
デジタルコントロールパネル DCP1V4S-US
サウンドバー YAS-109
ディスクラビア™ ENSPIRE PRO S6X-ENPRO