【導入インタビュー】株式会社ライブデート / 青木 繁男 氏
Japan/Tokyo Feb.2022
昨今DAWが音楽制作だけではなくライブシーンでも活用されるようになり、より良い音をお客様に届けたいといった思いから、2018年に音楽クリエーターとPAチームがタッグを組んだ株式会社ライブデートが設立されました。クリエーターとPAチームを含め、総勢11名で運営されています。
今回、株式会社ライブデート代表取締役であり、ご自身も音楽クリエーター/マニピュレーターを務めていらっしゃる青木 繁男 氏にI/Oラック「RUio16-D」とプラグインホストソフトウェア「VST Rack Pro」導入後のご感想や使用用途、今後の展望などについてお伺いしました。
「RUio16-D」の所感を教えていただけますか?
青木氏:
まずコンセプトについて、新しい分野へのチャレンジが見られるような、とても興奮するプロダクトだと思いました。弊社の考え方に共通する部分もありますが、DAWとPAの距離が近くなっている中、パソコンのテクノロジーとPA機器を結び付けて、より良いサウンドを届けられる一つのアイテムではないかなと感じました。とても可能性が見える、面白いというかユニークな製品であるというのが最初の印象でした。
「RUio16-D」はどのようなシーンでの活用が考えらえますか?
青木氏:
PCの中で動いている、ネイティブで動作しているプラグインを使用できるということが大きな可能性を秘めていると思います。他社にも類似製品がある訳ですが、「RUio16-D」ではSteinbergの技術であるVST(Virtual Studio Technology)を使用できるので、それをPAの環境で使用できることは、間違いなく大きな可能性を秘めていると思います。
ソフトウェア「VST Rack Pro」に触れてみて、第一印象を教えていただけますか?
青木氏:
シンプルな作りになっていて、パソコンが詳しくない方でも直感で触れるような仕様ではないかと思います。色々なことが出来てしまうと、どうしても複雑化したUIになってしまいます。「VST Rack Pro」のUIはDAWを少し触られたことがある方であれば、すぐにわかるようなパラメーターの並びなので、問題なく使用できるのではないかと思います。「CL/QLシリーズ」など昔からのヤマハミキサーに見られたような、ここを触ればこうなるのではないかといった、共通の操作感(例えばここを押せばリンクできるのではないかといったような)に通ずるようなところがすごく多いので、DAW操作に不慣れな方でもヤマハミキサーの「こうなったらこうなるのでは?」といったところをぶつけていただければ、同じように触れるのではないかと思います。
「RUio16-D/VST Rack Pro」システムはどのような用途での使用が考えられますか?
青木氏:
最初から付属しているエフェクターも私が「Cubase」で馴染み深いプラグインだったりするので、基本的にはどんな使い方にも対応できると思います。チャンネルにインサートして使用するのもどんどんやっていってほしいのですが、MIXバス/マスターバスでビシッと決まるプラグインをかけていただくことで、いままで聴いてきた音や作ってきた音とはまたちょっと違う感触を得ることができるのではないでしょうか。このようなシステムを使用するのであれば、MIXバスまたはマスターバスで使用いただいて、VSTを知っていただくことをお勧めします。
ライブ現場での「RUio16-D」のI/Oラックとしての使用用途を教えてください。
青木氏:
「RUio16-D」はシンプルに接続でき、卓の横に置けるコンパクトなサイズです。卓の種類によっては、インプットがすぐに埋まってしまい、マイクをあと1本追加したいとか、そのような状況が多々あると思いますので、2chインプットが増やせることは、色んな場面での保険になるかと思います。更にアウトプットがXLRでL/R付いていますので、FOHでモニター用のスピーカーを組んで、検聴することもできます。1系統のヘッドホンアウトはオペレーター二人で色々なものを検聴するためには、一見少なそうに見えますが、アナログ2in/2outと組み合わせることを考えると十分な仕様であると思います。
Danteが標準搭載されていることもメリットです。この手のコンパクトなDante機器ではRJ45端子が使われること多いのですが、「RUio16-D」はetherCONが搭載されていて、まさしくプロ仕様とわかるようなプロダクトだと思いますね。
「Cubase」を使用していらっしゃいますが、推奨のVSTプラグインを教えてください。
青木氏:
長年Steinbergの「Cubase」で音楽制作をしている立場から申し上げますと、「Cubase」に付属しているプラグインの多くは、基本的にナチュラルサウンドで色付けをしないエフェクターです。差しただけで音が変わるようなユニークなプラグインが世の中にたくさん出ており、ミックスでは、割とそういったものが重宝されるかと思いますが、PAの原音を変えずに音をきちんと整えるという目的では、Steinbergのプラグインは非常に相性がよいのではないかと思います。その中でいくつかご紹介します。
【EnvelopeShaper】
先ず、アタック感やリリース感をコントロールできる『EnvelopeShaper』というプラグインがあります。例えばキックにちょっとパンチがないと思ったときに少しアタックを足したり、逆にストリングスの立ち上がりが強すぎて、もう少し柔らかくしたいときにアタックを少しソフトにすることもできます。もちろん現場によって毎回楽器の鳴り方は変わってきますので、「いつもの音にしたい」、「もっとこの現場を立ちのいい音にしたい」といった時に、是非とも試していただきたいプラグインの一つです。
【Quadrafuzz v2】
私が「Cubase」の中でよく使用している『Quadrafuzz v2』というプラグインがあります。4バンドの歪み系エフェクターなのですが、例えばベースの低音はきちんと出ているがベースラインがちょっと聴こえにくいようなときに、例えば高音部分だけに歪みをちょっと加えてことで、ベースラインを明瞭にしてあげるということができたりします。ベースにきちんとローはいるけど、何を弾いているのかわからないといったときに、ちょっとお試しいただきたいプラグインの一つです。
【REVerence】
あとはサンプリングリバーブの『REVerence』ですね。サンプリングリバーブの実機はものすごく高価ですが、それをプラグインで使えるのはパソコン環境がもつ特権だと思いますので、是非利用していただきたいと思うエフェクターですね。
ライブ配信で活躍できそうなVSTプラグインはありますか?
青木氏:
例えば、ライブ配信では最終の出力レベルを監視する必要があると思います。今回アナライザー系プラグインの『SuperVision』が搭載されていて、是非お試しいただきたいのですが、最終的な音圧の調節には『Maximizer』もお勧めのプラグインです。音圧が少し足りないなと感じたらマスターバスにかけてあげることで簡単に音圧が稼げますので、非常に効果的なエフェクターではないかと思います。
今後どのような現場で使用を検討されていますか?
青木氏:
そうですね。初めての製品なので、マストアイテムのようなポジションにおいて、どういうところに効果的なのか、色々模索しながら使ってみたいと思います。さまざまな現場にマッチできるような仕様になっているので、この現場で使いたいと直感的に思い浮かべるというよりは、効果的な使い方を我々で見出せたらいいなと思っています。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
株式会社ライブデート
製品情報
I/Oラック | RUio16-D |
プラグインホストソフトウェア | VST Rack Pro |