【導入事例】株式会社ムーサ・エンタープライズ 様 / SRカンパニー / 兵庫県神戸市

Japan/Hyogo Mar.2024

コンサート、レコーディング、イベント、演劇などのエンターテインメント分野だけでなく学会などといったアカデミックな分野の音響、そして修理・メンテナンス保守サービスなども手掛ける株式会社ムーサ・エンタープライズ。2021年の設立よりデジタルミキサーを始めとした数々のヤマハPA製品をご使用いただいております。同社は2024年3月にDM7、DM7 Compactを導入し、早速様々な分野の現場でご使用いただいております。

DM7、DM7 Compact導入の理由について、同社代表取締役社長 加登匡敏氏、濱田夢花氏、大北真未氏、池田匡彦氏にお話しを伺いました。


株式会社ムーサ・エンタープライズに関してご紹介いただけますでしょうか?

加登氏:
私が大学・大学院で音楽工学を学び、その後2年間大学に残り研究員生活を終え、2009年に友人たちと前身組織であるムーサ・エンタープライズを創業しました。当時は私の個人事業主の屋号でしたが、おかげ様で事業も軌道に乗り、個人事業主の枠で仕事をする事が難しくなり、創業13年目の2021年1月にコロナ禍中でしたが法人化し、現在4期目となります。濱田とは法人化前の2011年頃より共に仕事をしており、法人化後、徐々にスタッフを増やしてきました。

音楽/イベント、学会などのPA/配信業務の他、レコーディングを行っており、それらの業務を主軸としながら、修理やメンテナンス、保守点検の業務なども手掛けております。音楽ジャンルは幅広く、アイドルから現代音楽に至るまで様々なものを手掛けています。

株式会社ムーサ・エンタープライズ 加登氏

楽器のご経験も?

加登氏:
3歳からピアノを習っていまして、学生時代はバンドでギターもやっていました。大学で音楽工学を専攻し、そこで出会った恩師に様々な事を教わり現在に至っています。その恩師に出会わなければ、現在の自分はありません。

大学が芸術大学だったので、現代音楽のアーティストなどとの交流がよくあり、その方々との仕事も得意としており、そこは弊社の強みだと思います。現代音楽関連は複雑なマイクセッティングなどもありますが、自分自身も音楽をやっていたということもあり、試行錯誤しながらアーティストと一緒に舞台を作り上げています。

DM7、DM7 Compactを導入した理由はなんだったのでしょうか?

加登氏:
個人で起業した頃から01V96を使用していました。その後、TF5を導入しています。

TF5は特にGainFinder™やQuickPro Presets™等のオペレート補助機能に大変興味があり、製品発表後すぐに販売店に連絡して手に入れたので、シリアルナンバーは一桁なんですよ(笑)

その後、QL1、QL5を導入してしばらく運用しておりましたが、業務拡張の折り、QL1の追加導入を検討していた時に、DM7シリーズが発表になりましたので、DM7 Compactの導入を決めました。また、QL5の増強も検討しておりましたので、DM7とDM7 Controlをメイン卓として導入を決めました。QLシリーズを使用している時から、Rio3224-D2、Rio1608-D2も使用していましたので、その資産も活かせると考えました。

今回搭載されたSplit Modeにも惹かれました。同じ現場でも2元中継などをすることもあり、その都度、01V96とQL1といった感じで2台使用していたものが1台になるならとても魅力的だと思いました。

また、BUSの数の豊富さにも惹かれました。今後イマーシブをはじめとする多チャンネル再生をすることが多くなってくると思いますが、それらを踏まえれば、バスの数が多い程、自由にサウンドデザインをすることが出来ると考えています。現在、イマーシブ関連のソフトを導入して実験などをしています。

濱田氏:
画面が2枚あるのがいいですね。DM7 Compactは小さいながらもUTILITY画面があり非常に便利です。それにUser Defined Keysの数も沢山あり、魅力的です。

株式会社ムーサ・エンタープライズ 濱田氏

加登氏:
そうですね、何かのメッセージなどが出る場合はメイン画面ではなくUTILITY画面に出てくるのでオペレートに集中することができますね。

濱田氏:
筐体が意外と小さいな、と思いましたが、小さくても画面が大きくて触りやすいのでポジティブに捉えています。

加登氏:
筐体が小さいのでSplit Modeを使用して二人でオペするのはつらいかなと思いました。よっぽど仲良くないと無理(笑)

でも、12フェーダーになったのはよかったですね。今までは8縛りでしたのでRIVAGE PMシリーズに寄っていったのだなと感じました。

実際に触ってみていかがでしたでしょうか?

池田氏:
今までのヤマハデジタルミキサーの流れから考えたら戸惑う部分はありましたが、直感的にわかるし、パラメータなどが全部見えていてTOUCH AND TURNノブもあるので慣れるのには苦労しなかったですね。また、画面に角度がついたことによって、オペレートしながらもステージが視野に入るので非常によいと思っています。

株式会社ムーサ・エンタープライズ 池田氏

濱田氏:
そうですね、ステージを見ながらも卓も見ることが出来るし、またその逆も出来る。同一視野で両方確認できるのでうまく考えられているなと思います。

あと、単純に音が良かった。48kHzから96kHzになった、ということもあるかもしれませんが、HAの分解能が非常に上がっていると思います。

Dan Dugan Automixerがすぐ使える、使えるチャンネルが増えた、というのもいいですね。今までも多用していましたので。

加登氏:
Dan Dugan Automixerに関してはスピーチ以外の用途でも積極的に使っています。特に芝居では動きがあるので、その動きに合わせて卓を操作するのではなく、Dan Dugan Automixerを使用して動きがある中でもしっかりと音を聴かせることが出来る様に工夫しています。

学会等の中継時、いわゆる-1(マイナスワン)が必要な現場でも、積極的に使用しています。中継先へ送る会場マイクが複数ある場合に、Dan Dugan Automixerを使用すると、中継先へ送る会場音声の明瞭度が劇的に改善できるので中継先からはとても喜ばれています。

濱田氏:
アイドルの中音(モニター音)だけにかける、ということもよくしています。Dan Dugan Automixerを上手く設定して使用すると、歌っている演者の前のモニタースピーカーのみで求められる音が出せますので重宝しています。フロントと中音のバランスがかなり違う時は、この手法でDan Dugan Automixerをよく使いますね。なので、使えるチャンネル数が増えるのはありがたい。さらにアサインしやすくなっているのも嬉しいです。思い立ったらすぐに使える。

加登氏:
ダンスやバレエといった音源再生時のメイン、バックアップ再生の自動切り替えで使用する等、Dan Dugan Automixerは様々な用途で工夫して使っています。一度Dan Duganさんご本人に、これらのスピーチ以外の積極的な使用方法を直接説明させてもらう機会があったのですが、ご本人は想定外の使用方法だとおっしゃっていました(笑)

濱田氏:
PCとUSBで直接つながり、音のやり取りが出来るのも便利ですね。現在、QLabを使用していますが、オーディオインターフェースがなくてもMacから直接入力できるので。

池田氏:
チャンネルネームなどの日本語対応は役立っています。特に学会では英語で表記するのが難しく、英語で書くと意味がすぐに分からない表記も多いので。

濱田氏:
「演台」とか(笑)

全員:(笑)

大北氏:
そうですね、学会などのアカデミックかつ長時間の現場では、オペレートを途中で交代することもあるので、その際に日本語で書いてあると引継ぎがスムーズです。アルファベットで書いてあると理解にちょっと引っかかることがあるので。「演台」だと「ENDAI」になってぱっと見てもすぐにイメージが何かわからない。それが日本語表記だと直感的に理解できます。

株式会社ムーサ・エンタープライズ 大北氏

濱田氏:
そういった意味ではチャンネルのアイコンはもっと絵文字を増やしてほしいですね。色々な用途に使えるので。「→」があって助かったりしましたね。でも、「!」はあるのに、なんで「?」はないんやろ(笑)マネーマークとかもあるのに(笑)

大北氏:
User Defined Keysにネームディスプレイがあるのも便利ですね。

池田氏:
そうですね。QLシリーズはマスキングテープをよく使っていますが、DM7ではもう使わなくていいかな、と感じています。

濱田氏:
CHANNEL LINKとPAIRがどちらもあるのが便利ですね。

DM2000やDM1000の時は両チャンネルのSELECT KEYを長押しでPAIRが出来ていたんですよ。

池田氏:
そうなんや~。M7CLからしか触ったことがなかったので新鮮です。

あと、個人的にライトの色が変えられるのを発見した時は、めちゃめちゃテンション上がりました! 仕事中なのに、SNSで社員全員に共有しましたもん。側に居たスタッフがちょっと引いていました(笑)

加登氏:
EQの画面にチャンネル名が大きく表示されているのは良いですね。間違って別のChをEQしてしまっている、ということもなくなるし。EQの表示を大きくしているのは正解だと思いますね。エンコーダーも機能によって色分けがしっかり表示されるので非常にわかりやすいです。

池田氏:
プラグインエフェクトの「DaNSe」を使ってみましたがものすごく便利だと思いました。学会等では声が小さい方やマイクから遠い方が多いので、GAINを上げると暗騒音がどうしても上がってしまう。掛け過ぎるのは良くないと思いますが、調整すればかなり使えます。一人がしゃべり終わって他の方が急にしゃべることもあって、ひとつのマイクだけにかまっていられません。「DaNSe」を使用するとある程度ほったらかしにしていても大丈夫なので非常にありがたいですね。

加登氏:
個人的にはAssist機能の発展にとても期待しています。現在β版という事で、幅広く意見を集めているのも現代的で良いと思います。

TFシリーズが発表された時に、オペレート補助機能について私は強い関心をもったのですが、今後こういった補助化や自動化の機能はどんどん進化していくでしょうし、我々はそれらを積極的に活用していくべきだと考えています。どんどん自動化されていく中で、音響技術者はその価値をどこにみいだすのか…それを自ら考えて行動していく。

現在、母校の大学で教鞭もとっているのですが、学生たちと一緒にこの命題を日々考えています。

ヤマハ製品は他にどんなものをご使用されていますか?

加登氏:
01V96、TF5、QL1、QL5。スピーカーではDXR12、DZR15-D、古いものではMSR800Wなどですね。どれも気に入って使っています。

修理やメンテナンス業務も行っているので、実際に中を開けて見たりもするのですが、ヤマハPA製品のパーツや回路構成をみていて、「必ず音を出す、音を止めない」設計にしているのがよく解ります。何らかの電気的トラブルがあったとしてもそれに耐えて「音は出し続けるぞ」という強い意思が伝わってきます。他のメーカーと比べてもそこはしっかりとしていて、絶大な信頼を寄せています。この点は、我々が主要な機材にヤマハ製品を使用している大きなポイントだと思っています。

株式会社ムーサ・エンタープライズ 加登氏、濱田氏、大北氏、池田氏
日本音響株式会社 布野氏、河本氏
(撮影:TAKUMI-Folio 八重尾氏)

本日はありがとうございました。

Yamaha Digital Mixing Console DM7

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