【導入事例】OSA Stage Arts(オサステージアーツ)様 / 舞台音響 / 大阪
Japan/Osaka May.2024
OSA Stage Arts(オサステージアーツ)は、建設工事や不動産業を手掛ける株式会社 長工務店の舞台音響専門事業部として7年前に設立されました。大阪を中心に、舞台や演劇の音響、劇場管理など、幅広い業務を行っています。
このたびOSA Stage Artsにデジタルミキシングコンソール「DM7」、「DM7 Compact」が導入されました。導入理由や使い勝手などについて代表取締役 長 将司 氏およびスタッフのみなさんにお話をうかがいました。
最初にOSA Stage Artsについて教えてください。
長氏:
株式会社 長工務店は、私の祖父の代から続いている工務店です。その会社内に、舞台音響を手掛ける事業部としてOSA Stage Artsがあります。主に東京や大阪の劇場で、お芝居やミュージカルの音響の仕事をしていますが、小規模なイベントからアリーナクラスまで、いろいろな仕事を手掛けています。
このたびヤマハのデジタルミキシングコンソール「DM7」、「DM7 Compact」を導入されましたが、それまではどんな機材をお使いでしたか。
長氏:
「DM7」を購入する直前までは、96kHzで稼動する他社のデジタルミキサーをDanteカードとともに使用していました。私のポリシーとして、音はできるだけデジタルで処理し、可能な限り96kHz以上のサンプリングレートを使うことを基準に機材を選定しています。
96kHzにこだわるのはどうしてですか。
長氏:
クラシック、オペラ、能といった静かな音を出す仕事に携わることがあるんですが、48kHzと96kHzの音の滑らかさが明確に違うことがわかります。やっぱりお客様に高品質な音を提供したいと思っています。
「DM7」、「DM7 Compact」の導入理由も96kHzでの稼動がポイントだったのでしょうか。
長氏:
はい、96kHzで動作することが導入の決め手でした。ヤマハから96kHz対応のRIVAGE PMシリーズが発売されて導入を検討しましたが、半導体不足やコロナ禍で発注のタイミングが合いませんでした。そんな時に「DM7」が発表され、Dante対応、96kHz動作、12フェーダーというスペックを見て見積を取る前に即決しました。
「DM7」と「DM7 Compact」は、どんな順番で導入されたのですか。
長氏:
最初に「DM7」とエクスパンションコントローラー「DM7 Control」、そして「Rio3224-D2」を2台導入しました。「DM7 Compact」は、仕事先でもよく見かけるようになり、必要性を感じて「じゃあ、買おう」と決めました。「DM7」でその実力は十分に知っていたので、迷いはありませんでした。
「DM7」と「DM7 Compact」は、どのように使い分けているのですか。
長氏:
主に大きな現場では「DM7」、小さな現場では「DM7 Compact」を使用しています。当初、「DM7 Compact」で20〜30chのバンド系コンサートを操作するのは難しいと思いましたが、実際に使ってみると快適にオペレートできて驚きました。
エクスパンションコントローラー「DM7 Control」の導入理由を教えてください。
長氏:
シアターパッケージがバンドルされていたからです。大きな芝居になると役者さんのダブルキャストの設定が必要になりますがシアターモードはその機能があるんでとても便利です。また同じくバンドルされているブロードキャストパッケージにラウドネスメーターが含まれているのもポイントでした。
これまで配信イベントのために別途ラウドネスメーターを購入して使っていましたが、これらが「DM7 Control」1台でカバーできるならコスト的にも有利です。
それから実際に使い始めてわかったことですがエクスパンションコントローラーで2本のフェーダーが増えたことで操作性も向上しました。
たとえばバンドものやタレントさんの公演ではボーカルフェーダーなどを必ず簡単に触れるポジションに立ち上げておくんですが、デフォルトセッティングではそのすぐ隣に2本のステレオフェーダーがあるので、いつも触ってしまいそうで怖かったんです。でも「DM7 Control」の追加で、少し間隔をあけてフェーダーが2本ある状態になったので安心してオペレーションできるようになりました。
「DM7」、「DM7 Compact」を実際に使ってみた感想はいかがですか。
長氏:
音の面ではこれまで使用していた96kHzのミキサーよりも「DM7」や「DM7 Compact」の方がクリアで、原音に忠実です。無理な加工や味付けがない、いい意味で無味無臭感が高いので、得手不得手がなく、いろんなジャンルで使えると思います。
操作性はいかがですか。
長氏:
私自身で言えば、これまで「PM1D」や「PM5D」「QL5」など長年ヤマハのミキサーを使ってきた経験があるので、ほとんど説明書を読まずに音を出せました。しかしいわゆるスマホ世代の若いスタッフが「DM7」を操作する様子を見ると、タッチパネルを直感的に使いこなしていて、時には横で見ていて「それ、そういじるんだ」と驚かされることも多いです。
スタッフの皆さんにもおうかがいします。「DM7」、「DM7 Compact」を使ってみて感想はいかがですか。
川手氏:
私は前職でも「RIVAGE PM10」を使っていましたし「PM5D」もかなり使い込んでいたので「DM7」はとっつきやすく、操作性に関してはやっぱり安心のヤマハだなという印象です。私が携わる現場の9割がお芝居なんですが、この夏にもダブルキャストの予定のお芝居があるので「DM7」のシアターモードを使いこなしたいです。
藤本氏:
私はまだオペレータ経験が浅いんですが、私にとって「DM7」はスマホのように触りやすいと思いました。「このボタンを押して、この階層まで入る」という操作ロジックではなく、「これを触りたい」というところの画面をタッチすればその操作ができるので、オペレーションのハードルが少し下がったような気がします。
それと屋外の催しの時はテントの下でも液晶画面が暗くて見えないことがあるんです。でも、先日高校の体育祭の現場でDM7を使いましたが画面がとても明るくて操作しやすかったです。
長氏:
「DM7」は確かに画面が見やすいと思います。経験が浅いスタッフと仕事をする場合は、私がサポートに入って二人羽織みたいに「ここはこうした方がいいよ」ってアドバイスするんですけど、以前のミキサーだと横から液晶が見えにくいのでやりにくかったんですね。でも「DM7」は斜めからでも液晶がよく見えるので助かります。今後は屋外フェスのように過酷な現場でも活躍してくれそうです。
恒𠮷氏:
私はまだ現場で「DM7」、「DM7 Compact」はまだ触ったことがなくて「DM3」を使っています。
「DM3」はどんな用途で導入したのですか。
長氏:
「DM3」はこれまで使っていた小型アナログミキサーの置き換えとして使用しています。非常にコンパクトで使い勝手がいいです。先日、取引先の工場にある倉庫の2階で行われたお笑いイベントで「DM3」を使用しましたが、川手、恒𠮷ともに女性でも問題なく運ぶことができました。
川手氏:
恒𠮷と二人で機材を運ぶことになったんですけど、このサイズ感でしたので、階段も何の苦も無く、運ぶことができました。
「DM3」の使い勝手はいかがでしたか。
恒𠮷氏:
「CL5」や「QL5」を使ったことがあったので「DM3」の操作はわかりやすかったです。スマホのように画面をピンチして広げられる点もいいですね。それと画面に鍵盤が出るのが好きです。エレクトーンをやっていたので、例えばハウリングしたときに数値ではなく鍵盤を見て「このあたり」と直感で操作できるので助かります。
「DM7」の上部にモニタースピーカーとして設置されている「MS101-4」の選定理由も教えてください。
長氏:
オペラやミュージカルでは、舞台袖にキャスト・スタッフ用の小型スピーカーが数多く必要です。小型でスタンドに立てられ、前面にボリュームがあり、かつリーズナブルであるのが理想的です。これまで多くの現場で「MS101III」が使用されていましたが、後継にあたる「MS101-4」にはマイクスタンドのネジ穴やキャノン端子入力、マイク/ラインの切り替え機能が追加された点が特に気に入っています。
今後「DM7」と「DM7 Compact」はどうやって運用していく予定ですか。
長氏:
「DM7」と「DM7 Compact」の違いは入力数とフェーダー数だけで性能は同じです。大きなホールでの仕事で「DM7」が別の現場に出ていても「DM7 Compact」にデータを入力しておけば、戻ってきたときにそのデータを使うことができます。「DM7」と「DM7 Compact」の両方を持っていることを強みにしながら、今後も「DM7」シリーズを活用していきたいと思います。
本日はありがとうございました。
株式会社 長工務店 ステージアーツ事業部(OSA Stage Arts)
https://osa-arts.com/