【導入事例】有限会社ペイントボックス 様 / SRカンパニー / 茨城県古河市
Japan/Ibaraki May.2024
茨城県古河市を拠点に音楽やイベントのPAをはじめとした音響を手掛ける有限会社ペイントボックス。同社はフットワークの軽さと北関東各地へのアクセスの良さを活かし、様々なイベントを手掛けています。
今回はプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の試合が開催されている群馬県太田市「オープンハウスアリーナ太田」で、導入されたばかりのヤマハのデジタルミキシングコンソール「DM7 Compact」をオペレートしている現場におじゃまし、「DM7」「DM7 Compact」の導入理由と運用状況などについて有限限会社ペイントボックス 代表取締役 サウンドエンジニアの杉田 崇允 氏と同 サウンドエンジニアの竹沢 早紀 氏にお話をうかがいました。
高分解能なDM7のサウンドで選手には勇気を与え、
観客には最高の体験を提供したい
最初にペイントボックスについて教えてください。
杉田氏:
弊社は茨城県の古河市に拠点を置く音響会社で、1982年に事業を開始し1986年に法人化しました。主にアーティストの専属音響スタッフとして会場に同行することが多く、FOH、モニター問わず様々なアーティストのオペレートを担当しています。
今日の現場はBリーグですが、ライブ以外の音響も多く手掛けているのですか。
杉田氏:
そうですね。音響機材のレンタル業務や行政のイベント、放送局の公開収録や地元のお祭りなど、さまざまなイベントの音響を手掛けています。今日はBリーグの音響ですが、プロスポーツの案件は今季から手掛けるようになりました。
御社でこれまで使用していた主な機材は何ですか。
杉田氏:
近年は主にヤマハのデジタルミキサー「CL5」「QL5」「QL1」などを使っていました。古くは「PM3000」、「PM4000」、を使用しておりました。
気付いたらずっとヤマハのコンソールですね(笑)
「DM7」導入の決め手はDanteの96kHz駆動
このたび「DM7」および「DM7 Compact」を導入された理由を教えてください。
杉田氏:
弊社の「CL5」は導入して10年以上が経過したので更新を考えていました。私たちにはDanteネットワークが必須なので、ヤマハ以外のコンソールは選択肢にはなく、そろそろ新製品が出ないかなと思っていたタイミングで「DM7シリーズ」の発表があり、見積より前に発注しました。最初に導入したのは「DM7」です。
Danteネットワーク対応が必須なのはどうしてですか。
杉田氏:
Danteで全てをコントロールしたいのが最大の理由です。弊社は私と竹沢の2人だけなので、ネットワーク上で一括して様々な機器をコントロールできることがとても助かるんです。ヤマハのコンソールならPC等が無くてもワイヤレスマイクやNEXOのパワーアンプなどを卓上から操作できるので非常に重宝しています。一昔前までは24chのマルチケーブルをそれこそ100メートルぐらいの距離で4系統も引いていましたが、DanteならLANケーブル2本で済みますから。
もう一つ、「DM7」はDanteの96kHzの稼働も決め手でした。
具体的にはどのような場面で96kHz稼動する恩恵を感じますか。
杉田氏:
96kHzの音質は非常にクリアです。たとえばモニター卓が「DM7」や「DM7 Compact」でイヤモニを使う時が顕著ですが、アーティストは音の違いに敏感なので、その音の違いがわかる人が多いです。ミックスの側としても音がクリアなので補正に労力を取られることがなく、とてもやりやすいです。またゲストオペレーターの方にリハーサル後、本番終了後と感想をお伺いすのですが、「初めて触ったがいいコンソールだった」など概ね好評なようです。
Bリーグのアリーナで高音質を実現するために「DM7 Compact」を導入
「DM7」を導入後、すぐに「DM7 Compact」も導入されましたが、その理由を教えてください。
杉田氏:
「DM7」は基本的にライブなどの音楽用途で使用していますが、実際に使ってみてその分解能と解像度の高さに感動しました。一番の決め手は音の距離感や奥行きがとても素晴らしいなと。オペレートしていてコチラもワクワクするコンソールだと思いました。これならコンパクトな「DM7 Compact」であればBリーグの音響に最適ではないかと考えて導入しました。
Bリーグのようなスポーツイベントで高音質が必要だと考えた理由は何ですか。
杉田氏:
音は目には見えませんがエンターテイメントにおいて非常に重要で不可欠な要素です。Bリーグの音響を担当するにあたって、プランニングする際に竹沢と話をして「アリーナにいる誰もがワクワク、ドキドキを共有できるミックスを届けよう」というビジョンを設定しました。
群馬クレインサンダーズは音への関心が高く、演出にも力を入れているので、ここ、オープンハウスアリーナ太田を日本一素敵な音が鳴っているアリーナにしようと決めました。
そこで、可搬性や取り回しだけでなく、音質やスペックまでとことんこだわりたいなと考え、そのために「DM7 Compact」が必要だと思いました。
小型な「DM7 Compact」を選んだ理由は何ですか。
杉田氏:
こういったスポーツイベントではどうしても音響席のスペースに制約があります。ですからできるだけコンパクトな機材がいいと考えました。実際に使ってみて「DM7 Compact」のサイズは取り回しもよく全く問題ありませんでした。
ミキサーを「DM7 Compact」に変えたことで反響はありましたか。
杉田氏:
変えたタイミングですぐにアリーナMCの方から「今日、音が全然違うけどどうしたの?」と言われました。それにDJの音もDanteインターフェース「Ri8-D」を介してDanteで伝送していますし、ワイヤレスマイクやパワーアンプもDanteの96kHzで稼動しているので、全体的に分解能が高く抜けのいい音になりました。
「DM7 Compact」は音の分離がよく、プレミアムラックへのアクセスも容易
今日のBリーグの試合でオペレートを担当している竹沢さんにうかがいます。「DM7 Compact」を使ってみてどんな印象ですか。
竹沢氏:
音の分離が良くなって、非常にクリアな音質だと感じます。特に高音がきれいに聴こえるようになりました。Bリーグの試合では大きいレベルのVTRの音声やSEをMCの声を同時にミックスすることが多いのですが、分離がいいので以前より楽にミックスできるようになりました。
「DM7 Compact」の操作性の面はいかがですか。
竹沢氏:
以前この現場では「QL1」を使っていましたが、それと比べると「DM7 Compact」はプレミアムラックへのアクセスがとても容易になりました。プレミアムラックでは「ダイナミックEQ」をよく使いますが、インサートの数も4つまで使えるようになってその点も便利です。それとホームキーがついたので、どの画面にいてもワンプッシュでホーム画面に戻れます。
フェーダー数が必要な時は「DM7」、可搬性を重視する時は「DM7 Compact」
「DM7」と「DM7 Compact」の使い分けについて教えてください。
杉田氏:
「DM7」はフェーダー数が多いのでバンドのPAなどで使用しています。一方「DM7 Compact」はチャンネルが少ない時や設置場所が限られている時、可搬性が必要な時に使用します。音質的にはどちらも全く遜色ありません。Danteで簡単に接続できるので、同時に使うこともあります。
「DM7」と「DM7 Compact」を同時に使う具体的な例はありますか。
杉田氏:
イベントや音楽フェスで「DM7」をFOHに使い「DM7 Compact」をモニター卓や運営卓として使うという用途です。ラインナップの設計思想としてもそんな使い方を考えて作られているように思いました。
今後「DM7」でこんなことがしてみたい、といったことがあれば教えてください。
杉田氏:
弊社では今後は「CL5」に代わってフェスや音楽イベントなどで「DM7」を使用する機会が増えると思いますし、音響業界全体をみても「DM7シリーズ」は今後PAのスタンダードになるのではないでしょうか。そう考えると、できるだけ早くに導入し慣れた方がアドバンテージになり、よりクリエイティブなミックスができるのではと思いました。
今後は担当するイベント、コンサートで「DM7シリーズ」を使用し、当たり前のことですが、私たちは様々なセクションと連携してクライアント様やお客様のニーズに合った音を届けることがミッションだと考えております。
会場にいる全員に最高の体験と感動を提供したいなと思っています。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。
取材協力
群馬クレインサンダーズ
https://g-crane-thunders.jp
SPC peakperformance
西片明人
the band apart
https://asiangothic.net