【導入事例】株式会社 スターテック 様 / SRカンパニー / 東京
Japan/Tokyo Sep.2023
株式会社 スターテック(以下、スターテック)は、コンサート、演劇、イベントなどの音響を手掛けるPAカンパニーです。このたび同社が音響を担当している「GENERATIONS LIVE TOUR 2023 "THE STORY"」の全国ホールツアーおいて、ヤマハのデジタルミキシングコンソール「DM7」が導入されました。
本日はツアー中の「やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)」の現場にうかがい、オペレーターを務めるスターテックのサウンドエンジニア 高田 義博 氏に「DM7」の使用感などを聞きました。
取材/撮影場所:やまぎん県民ホール
https://yamagata-bunka.jp/access/
96kHzのDanteで稼動するコンパクトなコンソールを探していた
「GENERATIONS LIVE TOUR 2023 "THE STORY"」の全国ホールツアーで、「DM7」を導入された理由を教えてください。
高田氏:
「GENERATIONS LIVE TOUR 2023 "THE BEST"」のアリーナツアーでは、ヤマハのデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM10」を使用しました。今回ホールツアー「GENERATIONS LIVE TOUR 2023 "THE STORY"」を行うにあたり、「RIVAGE PM10」はホールで使うには大きすぎる、ということで小振りなミキサーを探していたところ、ヤマハから96kHzで動作するDante対応のコンパクトな「DM7」が発売されたので導入を決めました。
選定理由としてDanteの96kHzで動作することが第一条件だったのですか。
高田氏:
はい。アリーナツアーで96kHzのシステムを構築していましたし、今回のホールツアーでもモニター卓はアリーナツアーと同じく「RIVAGE PM10」を使いますので、I/Oラックの「RPio622」の入出力をシェアするためにもDanteの96kHz駆動は前提でした。
2つの画面とタッチパネルで抜群に操作性が向上
実際に「DM7」を現場で使ってみた印象はいかがですか。
高田氏:
まず画面が2つあるのが非常に使いやすいと感じました。ヤマハの「CLシリーズ」や「QLシリーズ」は画面が1つだけですから、それと比べると操作性が抜群に良くなっています。新しく設定された7インチのユーティリティ画面も非常に使いやすいと感じました。メイン画面に表示されるSelected Channel View画面も見やすい配置になっていて、直感的に操作できます。コンプレッサーやゲートなどのダイナミクス系のヒストリーが表示できるようになったので、サウンドを耳だけでなく、視覚的にも認識できて使いやすくなりました。
入出力や音質などについてはいかがでしょうか。
高田氏:
このサイズで120chのミキシングができて、出力に関してもステレオ2系統に加えて48MIXバス+12MATRIXも出せるので入出力に関しても十分です。音も「CLシリーズ」と比べると、はるかにパワーも上がっていますし、クリアさでは一皮むけた感じがあります。音がクリアでよく見えますし、音像が近く感じられます。下手なミックスをしたらバレてしまうから適当なことはできないぞ、という緊張感はありますね(笑)。
これから「DM7」ホールツアーで持ち回るということですが、可搬性や設置性はいかがでしょうか。
高田氏:
ツアーというユースにおいて「DM7」のコンパクトさは非常に価値が高いです。重量も軽いし、弊社で作ったケースも軽量化したので、今日は2人だけで卓が搬入できました。また設置の面でもかなりコンパクトなのでPA席で潰れる席数も少なくなり、ホールで一人でも多くのお客様に見ていただけるようになったのも良かったと思います。
4バンクEQ/DYN機能はコンサートでも使い勝手がよさそう
今後機能強化パッケージとして「Broadcast Package」と「Theatre Package」が追加される予定です。使ってみたいものはありますか。
高田氏:
「Theatre Package」ですね。「RIVAGE PM」にも搭載されていますがもう使うシーンは想定しています。たとえば4バンクEQ/DYN機能は主にミュージカルなどのダブルキャストの時にAは主役1人目、Bは主役2人目と設定して切り替える機能だと思うんですけど、これは使い方を工夫すればコンサートでもかなり使える機能だと思っています。
たとえばギタリストがガットギターとスチール弦のアコギを持ち換える場合、これまではシーンリコールでパラメータを切り替えたり、AとBでバンク切り替えをしたりしていましたが、4バンクEQ/DYN機能でギタリストのチャンネルに持ち換えのギターのEQやレベルを別のキャストとして設定しておけばすぐに切り替えられますし、煩雑な設定も不要で、オペレーション上でもミスが防げそうです。ほかにもアイディア次第でいろいろ応用ができそうで今から楽しみです。