【導入事例】神戸電子専門学校 様 / 兵庫
Japan/Hyogo Aug. 2025
神戸電子専門学校は、「創って学ぶ」を教育のコンセプトに掲げ、AI・ITなどの先端テクノロジーから、ゲーム、エンターテインメント、デザインまで、20もの多彩な学科を通じてプロフェッショナルの育成に力を注いでいます。
このたび、同校にヤマハ デジタルミキシングコンソール「DM7」が導入されました。導入の背景や選定のポイント、授業での使用感などについて、教育第2部サウンド分野の宗行 悟史 氏にお話をうかがいました。
まず神戸電子専門学校の概要について教えてください。
宗行氏:
神戸電子専門学校は、1958年に設立された神戸電子学園を前身とし、2025年で創立67周年を迎える歴史ある専門学校です。コンピュータがまだ一般的ではなかった時代からコンピュータの基礎研究に取り組み、時代の変化とともに学科を拡充してきました。現在は20の学科を展開しており、音響分野の学科は1997年に開設されました。私自身、サウンド系学科の第2期生で、卒業後は現場でPAエンジニアとして経験を積み、教員としてこの学校に戻ってきました。
音響を学ぶ学科は、具体的にどのようなコースがありますか
宗行氏:
私が担当している音響・照明・映像・レコーディングを学ぶ「サウンドテクニック学科」、さらに音楽制作や音響効果、ゲームサウンドなどを学ぶ「サウンドクリエイト学科」、そして声優・タレント・ナレーター・俳優を目指す「声優タレント学科」の3学科が「サウンド分野」として音に関する専門教育を担っています。
当校の特色は音響だけ、照明だけといった一分野に特化するのではなく、エンターテインメント業界における技術者の業務を幅広く学べる点にあります。1年次にはそれらの基礎を幅広く学び、2年次からはステージ系とスタジオ系の選択授業を通じて、自分の適性や本当にやりたいことを見極めていくことができます。
神戸電子専門学校ではずっと
「業界標準機」のヤマハミキサーを使用
これまで授業ではどんなミキサーを使用していましたか。
宗行氏:
これまでは「CL5」を使ってきました。ちなみに私が入った頃はヤマハのアナログミキサー「PM3000」で、ここではずっとヤマハのミキサーを使い続けています。ヤマハの製品は、PA業界において「標準機」として広く認識されています。他社製のミキサーにも音質や機能面でそれぞれの魅力がありますが、ヤマハのミキサーはオールマイティで、どんな現場でも安定して使えることが大きな利点です。
また誰が操作しても一定のクオリティが保てますし、操作性にも優れているので、自動車学校の教習車のように、基本を学ぶのに適した設計だと思います。実際、私が知る大手のPA会社でも、何らかのヤマハ製品が必ず導入されており、学生が学びの段階でヤマハの操作に慣れていることは、現場での即戦力につながります。
こうした点が、ヤマハ製品を教材として採用する大きな理由のひとつです。
次世代のスタンダード機となる「DM7」を導入
このたび「DM7」を導入した理由をお聞かせください。
宗行氏:
「CL5」の導入から10年が経ち、生産も完了してしまったため、機材の更新を検討していました。ちょうどそのタイミングで「DM7」が発表され、調べてみるとデジタルミキサーのフラッグシップモデル「RIVAGE」に近い性能を持っていることが分かり、学生が実践的に学べる教材として最適な選択肢だと判断しました。また、大手のPA会社がフェスなどで「DM7」を使い始めているのを目にし、これが今後の業界標準になっていくだろうと直感したことも導入理由の一つです。
もう一点、大きなポイントはイマーシブオーディオへの対応です。 当校では比較的早い段階から立体音響に取り組んでおり、イマーシブが「サラウンド」と呼ばれていた頃から、サウンドクリエイト学科の学生たちはサラウンドミックスの楽曲制作を行ってきました。ヤマハの製品は、こうした取り組みとの親和性が高く、導入の大きな決め手となりました。導入は2025年2月で、新年度の4月から本格的に運用を開始しています。また「DM7」は当校のソニックホールのメインミキサーとしても運用しています。
2画面を備えた「DM7」は音響の教育に最適
教材として「DM7」が優れている点はありますか。
宗行氏:
指導の場面では液晶画面が2面あるのがとても便利です。たとえば学生が中央の画面で操作している横で、私が左側の画面で調整するといった使い方ができます。「CL5」で教えていた際は画面が1つだったので、学生の隣に立って直接手を出して教える必要がありました。また各オペレーターが自分の使いやすいように画面構成をカスタマイズできる機能も非常に役立ちます。催し物の種類(バンド演奏、講演会など)に応じて設定を保存し、すぐに呼び出せるので切り替え操作を極力減らすことができます。
学生たちは「DM7」をどのように運用しているのでしょうか?
宗行氏:
学内のイベントなどでは学生たち自身が「DM7」のオペレーションを担当しています。細かい失敗はありますが、そこから学べるものは大きいと思います。時には私がWi-Fi経由のiPadで手助けをすることはありますが、あくまで学生自身に操作を任せることを重視しています。
96kHz駆動によって圧倒的な高音質を実現
エンジニアとして「DM7」の音の印象はいかがでしょうか。
宗行氏:
96kHz対応になり音質が格段に向上したと感じました。極端な言い方をすればどんなスピーカーでも驚くほど良い音で鳴らせるようになった印象です。現在ホールで使用しているスピーカーでも音が変わったことはすぐに分かります。これは「違いが分かる人には分かる」というレベルではなく、誰もが音の良さを実感できるレベルです。以前は何かのフィルターがかかったような、特に中域にもこっとした感じがありました。しかし「DM7」導入後はそれが一切なくなり、ピュアでダイレクトな音になりました。
今後は「DM7」でライブレコーディングや配信も教えたい
今後「DM7」を使ってやってみたいことはありますか。
宗行氏:
「DM7」でライブレコーディングに挑戦してみたいですね。少し前に「DM7」を録音用のミキシング卓として使ってみましたが、次はPAとライブ録音を同時にやってみたいです。PA用にミックスした音と、ラインで録音するための音のニュアンスをいかに揃えるかは、なかなか難しい作業ですが、「DM7」の2画面の片方をPA用、もう片方をレコーディング用と使い分けることで、同時運用が可能なのでは、と期待しています。
さらに、コロナ禍以降需要が高まっているライブの同時配信にも取り組みたいです。配信もののイベントでは、これまで2台のミキサーが必要とされてきましたが、「DM7」なら1台でいけるんじゃないかと考えています。
本日はありがとうございました。
神戸電子専門学校
https://www.kobedenshi.ac.jp