アコースティックギターインタビュー、高田漣 presents ギターミーティング at 銀座
2026.7.17
高田漣、ヤマハギターとアコースティックギターセッションを語る
「ヤマハのアコースティックギターの魅力を届けるという主旨のライブが出来ないか」という企画が動き始めたのは2025年末のこと。その時点で「ホスト役は高田漣さんで」という考えに異を唱える者はいなかった。マルチ弦楽器奏者として数々のセッションやレコーディングに引く手あまたのアーティストであり、信頼されている存在である。そこに加えて、ヤマハホールという最良の音響空間を存分に生かし楽しんでくれるゲストは二人。それぞれのソロ演奏に加えて、ここだけでしか聴けないコラボもふんだんに、となると「日頃、なかなか共演することのないアーティストにオファーを」ということで、多くの候補から“矢井田
瞳”“ROLLY”のお二人に決まるのに時間はかからなかった。ここからは具体的に「コラボするならこの曲で」という一番の見どころ聴きどころを出演者それぞれが検討し、具体的な曲名が決まってくると、あとは「これは早く聴きたい!届けたい!」という空気がみなぎって来て、ライブ当日は期待以上の盛り上がり。最後はスタンディングオベーションで締めくくられた。
そんな約半年に渡る準備期間を経て実現した第1回(2026年5月29日開催)を振り返り、ホスト役を務め終えた高田漣氏にお話を伺った。

アコースティックギターの魅力を届けるライブ企画だと聞いた時の印象は?
案外、アコースティックギターに特化したイベントってそんなに多くないんです。なのでシンプルに「楽しそうだなぁ」と思ったのと、楽器自体を通じて、ゲストの音楽との出会いを聞けるというのは面白いアプローチなので、いい企画だなと思いました。
高田漣さんが思うアコースティックギターの魅力は何ですか?
楽器本体で音が出るというのが魅力なんですが、ということは「弾こうと思った瞬間に、チューニングさえしてあれば、すぐに作業できる」つまりやりたいことを始められるわけです。
なので僕の場合、アコースティックな音楽であろうとなかろうと、家で作曲する際は基本的にアコースティックギターを使います。言ってみれば、僕にとっては筆記用具みたいなものという感覚に近いですね。
「そこに立ててさえあればすぐに弾ける」という身近さが魅力かな。
ヤマハホールは、どんな印象でしたか?
何よりも“響き”がきちんとあるので、アコースティックギターを弾いていると包まれるような感覚があって気持ちがいいんです。逆に、演奏する時に気を付けることは、気持ちよさに引っ張られ過ぎないことでしょうか。「あぁ気持ちいいなぁ」と手が止まっちゃいそうになる感じがあるんです。それぐらいの響きの良さがありますね。
”ヤマハギターの魅力“について伺いたいのですが。まず出会いとしては、お父さん(故・高田渡)がヤマハギターを使っておられました。漣さんにとってヤマハギターとの最初の出会いはそのギターですか?
確かに、子供の頃から、父が使ってたヤマハギターはそばにあったんですけど、厳密に言うとあれは既製品ではなくて、特別に作られたオーダーモデルなんです。商品ラインのものとはちょっと違った楽器だったので、あれを本来のヤマハギターとしては語るのは難しいですね。
僕の、ヤマハギターの印象は今もそうなんですが(実際に爪弾きながら)どこを弾いても、常にピッチもいいし綺麗な音が出る。当たり前のようなんですが、けっこうアコースティックギターってここがなかなかうまくいかないんですよ。その点、ヤマハギターはハイポジションとローポジションの響きの違いが非常に少なくて、その点が優秀ですね。
僕が思うヤマハギターのコンセプトは「どんな状態でも使えますよ」という意味の”オールマイティ“ですね。

今回のライブで、矢井田 瞳さんと高田漣さんが共に使用されたヤマハのフラッグシップモデル「FG/FS9シリーズ」について感想をお聞かせ下さい。
僕と矢井田さんは、同じモデルでボディサイズが違うギターを弾いたんですが、歌を必要としているタイプの音だなと感じました。歌ってる時って、歌に集中したいでしょう?その点、このギターはいい意味で「俺が俺が」と主張して来ないところが、歌手にとってはありがたいですよね。伴奏にとても向いてる気がします。
あと、バランスがいいから、他のギターだと使わない和音の動きとかも試してみたくなったりしますね。
マニアックな話ですけど「ネック裏の処理」とかも重要かもしれません。このギターは長年使った後みたいなサラサラとした質感(*セミグロス仕上げ)になってるんです。海外のブランドってそういうのがないんですよ。このおかげでポジションの移動がスムーズにできますし、音のバランスが良いのと相まって、演奏中に「ハイポジションの和音を混ぜてみようかな」と思う場面もありました。このギターだから広がる演奏の幅みたいなものがあると思います。
ギタープレイヤーとして普段気を使っていることは?
フラットピックを使う場合と指で弾く場合がありますが、僕は後者が多いので、楽器そのものよりも常に気にしているのは爪です。爪のケアは何より大事です。で、面白いことに、ある程度調整出来てる良い楽器の時は、爪の減りもそんなにないんですが、調整が悪いと右手に不要な負荷がかかって、爪が欠けたりします。
言ってみれば、楽器のコンディションを整えるというのと、爪の状態を整えるというのは同じぐらい大事だと思います。

「ギターミーティング Vol.1」を終えての感想をお聞かせ下さい。今回は、ROLLYさんと矢井田 瞳さんがゲストでした。
ひと言で「アコースティックギターを弾く」といっても、様々な形があるんだなぁと実感しました。演奏スタイルも含めて、いろんな間口があるんだなと思いました。
矢井田さんの歌いながらのコードワークだったり、 ROLLYさんの演奏も、バックバンドが居ると気付けなかったことが、バンドのフィルターがなくなって、素のアーティスト性を見られましたね。
そういう意味では、最初のコンセプトの話に戻りますが「アコースティックギター縛り」という趣向は間違ってませんでしたね。
次回Vol.2に関して。ゲストは鈴木茂さんと佐野史郎さんです。
まず佐野史郎さんは、僕が高校生くらいの頃に初めてお会いしたんです。
その後もことあるごとに様々な演奏の場ではないところでも共演してきました。佐野さんのアルバムに参加したり、僕がまとめ役を担当したイベントに佐野さんをお呼びしたり。
ただ、二人だけでご一緒するのは今回が初めてなので、そこは楽しみですね。
そして鈴木茂さんですが、細野さんも含めて、僕にとって憧れのプレイヤーなので共演歴はかなりあるんです。僕のレコードにも参加してもらってたくさん弾いていただいてます。
ですが!茂さんがアコースティックギターを弾くというのは初めてかな。
なので、どういうアプローチをされるのか興味津々です。
楽曲に関しては「何曲か、あれはやるだろうな」というおぼろげなイメージはあるんですが、そこまでは今はまだ時期尚早なので置いておくとして。
たとえば茂さんが「普段エレクトリックギターならこうやるところをアコギでどうするんだろう」という別の側面への興味だったり、佐野史郎さんの普段は見ることができない、知ってるようで知らない側面が見られたらなぁと、僕も楽しみにしています。
ひとりでも多くの方に目撃・体感してほしいですね。
百戦錬磨の高田漣氏にしても「あらためてヤマハのアコースティックギターを見つめ直す」貴重な機会であり〝新たな発見のあるライブ〟だったことが伝わってくるインタビューだった。
さて、今回は異質な三人によるライブだったが、次回Vol.2のゲストは、共に長い付き合いのある二人(佐野史郎・鈴木茂)である。とはいえ、高田漣本人も言っているように「まだ知らない一面」や「どんなアプローチをしてくるのかわからない未知の演奏」と遭遇できるのは間違いない。乞うご期待!
文:東野ひろあき
次回公演情報
2026年10月9月(金) 高田漣 presents アコースティックギターセッション at 銀座 Vol.2
会場:ヤマハホール
出演:高田 漣、佐野 史郎、鈴木 茂

