フルート奏者、ソプラノ歌手とのコラボレーション・コンサート Songs from My Heart~夏の夜の夢~

このコンサートニュースに何回か登場いただいているエレクトーン奏者・神田将を中心に器楽・声楽の仲間が集まってのコンサートが開かれた。今回はフルート:玉村三幸、藤原美沙季、ソプラノ:伊藤真友美、中安千晶とのコラボレーションである(プログラム参照)。

過去の紙面で神田を紹介した(寄稿いただいた)ものには、崔宗宝(テノール)の北京でのリサイタル、姜建華(二胡)と全国を廻る民音コンサート、青少年文化センター主催でこれも全国規模の学校訪問コンサート、そして個人リサイタル等がある。神田はヤマハ所属ではない。エレクトーンを専門楽器として音楽活動を続け、その活動の場は多岐にわたる。

コンサートは神田のソロ『オペラ座の怪人』の名場面から始まり第一部はフルートの二人。藤原はピッコロ協奏曲を、玉村はフルート協奏曲を演奏。デュオ2曲を含めフルートの魅力をたっぷりと聴かせた。第二部は歌。中安は夏にちなんだ日本歌曲で聴く者の心をなごませ、伊藤はオペラのアリアを熱唱した。

そもそもこのコンサートはヤマハ銀座アネックスで展開中の「オペラ講座」「オーケストラ講座」の受講生募集の一環、また、広く若手オペラ歌手の育成プログラムの一環として藤原歌劇団とのタイアップの下スタートした。が、音楽教室では30人で満席。「もっと広い会場で……」「もっと大勢のお客様に……」の要望が多く、メンバーで協議・相談して会場をエレクトーンシティ渋谷に移し、これが3回目となる。

器楽・声楽のメンバーは替わるが神田はフル出演。オーケストラ譜からエレクトーンヘのリダクションもピアノ譜からのオーケストレーションも、音楽・音色作りの繊細さを演奏からうかがい知ることができる。また、長年培った経験からくるものであろうが、ソリストの呼吸・コンディションに素早く対応することで「伴奏者」としての評価がすこぶる高い。本人は「本番は、楽譜も鍵盤もほとんど見ない」と言う。

構成としては、ソリストが4名、神田ソロを加えて5部構成と言えなくもないが、それぞれとり散らかることなく、「音楽の楽しさ・素晴らしさを伝えたい」、「エレクトーンの多様性をより多くの人に届けたい」……そんな出演者の願いが伝わってくる上品なコンサートであった。

プログラム

1)ミュージカル「オペラ座の怪人」より/A.ロイド=ウエッバー
2)歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より“間奏曲”/P.マスカーニ
3)オラトリオ「ソロモン」より“シバの女王の入場”/G.F.ヘンデル
4)ピッコロ協奏曲RV443より“ラルゴ~フィナーレ”/A.ヴィヴァルディ
5)フルート協奏曲より“第3楽章”/A.I.ハチャトゥリアン
6)2本のフルートのための華麗なるワルツ/K&A.F.ドップラー
7)日本の歌~夏編より “われは海の子”“浜辺の歌”“みかんの花咲く頃”他
8)歌劇「運命の力」序曲/G.F.F.ヴェルディ
9)歌劇「リゴレット」より“慕しい人の名は”/G.F.F.ヴェルディ
10)歌劇「ルチア」より“狂乱の場”/G.ドニゼッティ

(上から)写真1:エレクトーン奏者・神田将の迫力のソロ演奏|写真3:フルートの玉村三幸、藤原美沙季と(第1部)|写真4、5:ソプラノ、中安千晶と伊藤真友美は、日本の歌曲とオペラ・アリアを(第2部)

2009年7月16日 エレクトーンシティ渋谷