音楽劇・四季シリーズ「冬」を初演 荒川久美江コンサート

3年ほど前から取り組んでいる一人芝居の音楽劇。四季シリーズと題し、日本の美しい抒情歌や唱歌、童謡、時にはポップスなども織り交ぜて、女性の人生を語る作品を作ってきました。今回はシリーズの中で「春」「秋」に次いで「冬」バージョンの初演です。

日本の童話作家として名高い新美南吉の「手袋を買いに」を二人芝居に脚色し、キツネの親子のその時々の心情にピッタリの曲を選び、音楽劇を作り上げました。それを教え子である小学5年生の小さな女優さんと一緒に演じ、穏やかな心温まる作品に仕上げました。

舞台装置や背景などない中での芝居作りにおいて、エレクトーンの多種多様な音は状況をイメージさせるのに大きな役割を果たしてくれました。時には深々と降り積もる雪であったり、ぴょんぴょん飛び跳ねる元気な子ぎつねの姿だったり……。

リハーサル中に伴奏者の宮崎誠さんにいろいろな音を出してもらい、その音を聴くことでまた新たな演出プランが浮かぶこともあり、エレクトーンは私に制作者としても俳優としてもインスピレーションを与えてくれる力強いパートナーとなっています。

エレクトーン渋谷でコンサートを開くのは今回が2回目ですが、お客様が近く、息づかいや反応が手に取るように伝わってくるので、心地よい緊張感のもと、集中して歌う事ができ、また音の響きもとても気に入っています。

前回のコンサート同様、第一部はおしゃべりと有名ミュージカルナンバーで綴るミュージカルコンサート、第二部を音楽劇としました。終演後、出口でお見送りしたお客様の笑顔や温かい感想がとてもうれしかったです。

次回は、四季シリーズ「夏」を検討しています。エレクトーンの音色がまた私に新たな作品作りにチャレンジするパワーとアイデアを与えてくれることでしょう。

ミュージカル女優、ボイストレーナー/荒川久美江

エレクトーン演奏/宮崎 誠

2010年12月4日 エレクトーンシティ渋谷