記憶に残る名アレンジを再び! エレクトーンシティ渋谷uphillコンサート 5セレクションズ・コンサート ~蘇るエレクトーンモードvol.4~

『エレクトーン5セレクションズ(以下〈5セレ〉)』とは、エレクトーンのための編曲集として1975年(昭和50年)よりシリーズで発刊され、プレイヤー個々のハイセンスな編曲技法と、また、斬新な装丁で話題を呼んだ曲集である。エレクトーン学習者には、レッスンやコンクールで忘れられない名アレンジも多い。そこで〈5セレ〉にスポットを当て企画されたのがこのコンサートである。リクエストも募った。演奏者は川田祐子と小寺久美子。STAGEA2台に加え、当時の主要機種であったD3-R、E-70、そしてFX-20も並べられた。

コンサート1曲目は、定番中の定番、岸田哲編曲「アニバーサリー・ソング」。川田のD3-Rに始まり小寺がE-70で続く。川田がFX-20に移り小寺がSTAGEAへ、と古い楽器から新しいものへ移る趣向を凝らした。2曲目は道志郎編曲「涙のトッカータ」。岸田、道両氏とも客席で聴いている。演奏する二人は相当緊張したのでは……。

その後、「エーゲ海の真珠」「イパネマの娘」と昔懐かしい曲が当時のサウンドで蘇る。演奏者二人の師匠の話があり、川田は沖浩一編曲の「ラヴ・フォー・セール」をジャジーに、小寺は太田惠子編曲の「歌の贈り物」を朗々と披露した。その時、宮内良氏が歌で登場。宮内は『NHKおかあさんといっしょ』の4代目・うたのお兄さん。その時、小寺が伴奏で一緒に出演していた、という古いつきあいが故の特別ゲストであった。

オリジナルでは柏木玲子の「ドリーム・オブ・ドリーム」、平部やよいの「ブラック・ホール」。そして最後は、これも人気の高かった松田昌の「ロンドン橋のロンド」で締めくくった。

楽器の機能を活かしたもの、当時流行の音楽スタイルを取り入れたもの、繊細な感性でリハーモナイズされたもの等々、エレクトーンの編曲の妙は面白い。

〈5セレ〉は計64冊発刊されている。今回演奏されたのは14曲。ほかの名曲・名アレンジを聴きたいものである。

エレクトーンシティ渋谷・記

(上から)写真1:エレクトーン演奏/川田祐子、小寺久美子|写真2:特別出演/宮内 良(vo.)

2011年1月30日 エレクトーンシティ渋谷