洗足学園音楽大学赤塚博美門下生によるコンサート・シリーズ サウンドフェアリーズVol.11

一年間の大学の授業が終わる3月、1年生にとっては初めての、そして4年生にとっては最後の演奏会となるサウンドフェアリーズのコンサート。今年で11年目を迎えました。音楽の素晴らしさ、演奏の楽しさを、大学にいる4年間で味わってほしい。それが、一番の私の願い…。そんなことから始まりました。実際、大学での演奏会に学生全員が出演できるわけではなく、大きなステージに立たないまま卒業してしまうこともあることに、これで良いのかと感じていました。

そこで、縁あって指導することになった学生たちに、演奏活動をしている私が与えられるものはないのだろうか? そんな自問自答をしているうちに考え出した結論が、演奏会を開く……ということ。単に好きな曲を演奏するということだけでなく、演奏会に至るまでに、企画、予算立て、日時の設定、スケジュール管理などたくさんの段階を経なければなりません。

このコンサートが長く続いていくようにと、テーマの頭文字を毎年アルファベット順に変えていくというスタイルをとっています。例えば、“D”の年は、世界のダンスをテーマに展開、今年は“J”で“Journey”をテーマに演奏曲目や演出などを考えていきます。今回は、日本を飛び立ち、世界へ旅行するという設定。フライトアテンダントに扮した学生が登場し、各国の言葉で挨拶を。そのバックには、映像が流れるといった演出で、お客様を外国に誘っていきます。

学生たちは、自分たちで企画し、演奏をする楽しさ、素晴らしさを身をもって知ると同時に、たくさんの人々に支えられ音楽をできる喜びを感じています。達成感を得、満面の笑みを浮かべている彼らを見ている私も、彼ら以上に幸せでいっぱいになります。一人ひとりの情熱が結集し、大きな力となり、演奏会を成功へと導いていくのを実感して卒業していく学生は、きっと、いつまでも素晴らしい音楽を奏で続けることでしょう。

洗足学園音楽大学教授/赤塚博美

2011年3月4日 エレクトーンシティ渋谷